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「ディズニーの片づけ」から学ぶ、仕事に対する真摯な姿勢

「ディズニーの片づけ」から学ぶ、仕事に対する真摯な姿勢

ディズニーの片づけ』(安孫子薫著、中経出版)は、東京ディズニーランド(以下TDR)でカストーディアル(パーク内の清掃・安全・安心を担当するセクション)部長を務めた著者が、「世界一」と断言するディズニー流の片づけについて説いた書籍。

そんな著者は「はじめに」で、ディズニーの掃除・片づけがすごい理由についてこう記しています。

"なぜ掃除し、片づけるのか"

"何のために掃除し、片づけるのか"

それが明確だからです。(9ページより)

STAGE 1「なぜ掃除し、何のために片づける?」から、この点について書かれたいくつかを引き出してみます。

美観は業績に直結する

ディズニー流の掃除・片づけをオフィスや自宅に取り入れたいときにも、考えるべきは上記2点の「なぜ」です。逆にやってはいけないのは、いきなり「どう掃除し、片づけるか?」というテクニックばかりを掘りはじめることだと著者は言います。そして、もしディズニーが一切思考することなく、機械的に片づけや清掃の質だけを上げようとしたのなら、現在のような清潔さは実現できなかったであろうとも。

つまり、キャスト(スタッフ)が「なぜ掃除し、何のために片づけるのか?」という本質を見失うことなく、誇りを持って取り組んでいるからこそ、得られる清潔さや美観が大きな価値になるというわけです。そしてそれは業績に直結し、自分の生きがいの対象にもなるのだとか。(20ページより)

安全こそが最大のホスピタリティー

TDR(東京ディズニーリゾート)の掃除・片づけにおいて、清潔さ、安全の確保は「グッドショー」の根幹をなすもののひとつ。ちなみにグッドショーとは、ディズニーとして状況やものの良し悪しを表現する言葉。ディズニースタンダードを満たしていればグッドショーになり、反対は「バッドショー」だといいます。

では、なぜグッドショーをつくるのかといえば、それはゲストに「ハピネス」を提供するため。つまり、そのための行動規準として「安全」を最優先に考えているというわけです。そして、その根底にあるのが、「ディズニーの『片づけ』と『行動規準』の関係。

1.Safety(安全)

2.Courtesy(礼儀正しさ)

3.Show(ショー)

4.Efficiency(効率)

S:片づけは、ゲストが安全で安心して過ごせるパークをつくる(Safety)

C:片づけは、心を込めた「おもてなし」の表現(Courtesy)

S:片づけは、エンターテインメント性豊かな美しい景観をつくる(Show)

E:片づけは、いつでも均質的に整った機能的なパーク状態を維持する(Efficiency)

ディズニーの掃除・片づけは、すべてこうした経営哲学、事業理念に端を発しているということです。(31ページより)

TDRと工場の違い

ディズニーの掃除・片づけに対する考え方やテクニックを伝えるために、著者は「TDRのようなエンターテインメントを提供している場所」と「大きな機械を使って、高品質な製品をできるだけ低コストで大量生産し、世界中のライバルと競争している工場」において、「追究すべきことの違い」を紹介しています。

【TDR】

より一般的な意味での安全性

テーマやストーリーの演出

クリエイティビティー、希少性の確保

いままで経験したことがない幸福感や感動の生産

効率やコストの計算は後回し

人や気持ち(自分自身も含む)が相手

【工場】

シビアなアクシデントに対する安全性

作業の正確さ

同質性の確保と大量生産

商品開発されたモノの生産

効率の追求、限界までのコストカット

製品や機械など「モノ」が相手

工場とTDRの最大の違いは、相手にしているものの要素。工場が相手にしているのが画一的な商品や製品、それらをつくり出す機械などの「モノ」であるのに対し、TDRは人が相手であり、究極的には見えない「気持ち」に働きかけるというわけです。

どちらの場合においても、片づけには重要な価値があるもの。ただし目指すものは明確に異なるので、まずはこのポイントを深く考えることが、その場所に合った片づけを探るヒントになるといいます。(37ページより)

ディズニーの片づけが役立つ職種

ディズニーは、ゲストに対してカスタマイズしたハピネスを、そしていまだこの世にないものを生産している場所。だからこそ、本書の読者の仕事がクリエイティブだったり、人が相手の仕事だったり、まだ誰も実現していないジャンルに果敢に取り組む仕事だったとしたら、ディズニーの考え方やが役立つはずだと著者は説いています。(54ページより)

つまり本書が伝えているのは、片づけを通じた、ディズニーの仕事に対する姿勢。そういう意味において、ビジネス書としての強い説得力があると感じました。

(印南敦史)

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