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優れたビジネスリーダーとオーケストラ指揮者には共通点がある

優れたビジネスリーダーとオーケストラ指揮者には共通点がある

リーダーに必要なことはすべて「オーケストラ」で学んだ』(桜井優徳著、日本実業出版社)の著者は、プロの指揮者として活動するかたわら、大手企業などで管理職向け研修の講師も務めているという異色の人物。そんな立場から、指揮者に求められるノウハウは、チームを擁するビジネスの現場でも有効であると主張しています。

では、リーダーに求められるべきものとは何なのでしょうか? 第4章「ビジネスリーダーと指揮者の共通点」のなかから、「良きリーダーの条件」をクローズアップしてみます。

メンバーが主役

指揮者はコンサートのステージ上で、観客に背中を向けているもの。一方、観客に顔を見せて演奏するのがオーケストラ。これは、コンサートの主役はオーケストラのメンバーであることの証明なのだとか。

そしてリーダーは、優れた能力を持つメンバーと、顧客との間のつなぎ役になる責務を負うもの。あくまで裏方として、チームの発展に寄与することがミッション。よきリーダーならば、常にメンバーが主役であることを忘れてはならないといいます。(89ページより)

公正・公平

メンバーのスキルを活かしてチーム力を活性化させるためには、メンバーを公正に見て公平に殊遇することが必要。メンバーにとって、「自分はリーダーから、ちゃんと見てもらえている」という安心感は、タスク達成のために心のよりどころとなり、モチベーションの厳選にもなるからです。(91ページより)

情報に敏感

チームの業務遂行に関わるあらゆる情報を受信し、それをメンバーに向けて発信することがリーダーの役目。そこで必要に応じて適時適切に正確な受発信力を発揮し、チームの情報を循環させる「サーキュレーター」として機能すべき。(92ページより)

メンバーの個性を見極める

理想のチームには、「縁の下の力持ち」「下支え役」「女房役」「ムードメーカー」など、得意分野の異なる多種多様なメンバーが必要。そして真のリーダーは、メンバーの個性やスキルを迅速に見極め、適材適所で活躍できるようにハンドリングして、チーム全体のクオリティアップに結びつけられるもの。(94ページより)

責任はリーダー、手柄はメンバー

指揮者の世界には、「うまくいけばオケ(オーケストラ)の手柄、失敗すれば指揮者の責任」という不文律があるのだとか。ビジネスの現場でも同様で、事情はどうあれ、チームのメンバーにミスが出たなら、すべての責任はリーダーが背負うもの。(95ページより)

アイデア・想像力が豊富

同じ曲を同じオーケストラで演奏しても、指揮者によって聞こえ方が変わるのは、それぞれの指揮者のイマジネーションや思いが違うから。だからこそオーケストラのメンバーは、楽譜どおりにしかできないノーアイデアな指揮者に対しては抵抗を示すもの。そしてそれは、一般企業やプロジェクトチームでも同じだといいます。

リーダーに確固たるビジョンがあるのは当然。シンプルに、プロジェクトやメンバーに対する思いや願い、愛情、想像力があるか否かで、チームの生殺与奪を決してしまうことさえあるといいます。(96ページより)

簡単にブレず、自分の判断をマネジメントできる

指揮者は練習の際にビジョンを示しますが、それを実現するための指示に対して突っ込まれたとき、「じゃあ◯◯に変更」と簡単にブレるようでは信用されないもの。リーダーが確固たるビジョンから出した決断に、チームのメンバーは納得してついていくので、自分の判断をマネジメントすべく、リーダーはセルフコントロールを強化することが必要。(98ページより)

負の感情を容易にコントロールする

個人的な負の感情をコントロールできることも、よきリーダーの条件。特に「怒り」の感情を抑えることは重要。どんな場合でも怒らず、冷静に間違いを正し、チームをよい方向へ導く。また「ネガティブシンキング」を排除し、いつでもポジティブに、アグレッシブによい方向へ導くことも求められるそうです。(100ページ)

孤独を恐れない

指揮者はあらゆる場面で「孤独感」を味わうもの。しかし、孤独は誰にでも起こりうる感覚で、リーダーはもちろん、中堅メンバーも新入社員も同じ。怖いのは孤独感よりも「孤立感」であり、これはリーダーとしては最悪の心理状態。そのネガティブなムードは周囲に悪影響を及ぼしかねないので、状況判断を適切に行ない、孤立感に陥らないようにセルフコントロールすることが大切。(101ページ)

想定外を想定

リーダーは、突発的なトラブルシューティングのオペレーションを強いられる機会が多いもの。指揮者であれば、なにが起こっても演奏を継続しながら立てなおすことが使命です。「まさか起こり得ないであろう」ことは必ず起こり得るので、トラブルシューティングのための「ベストエフォート(最悪の視点による最善の準備・努力)を怠るべからず。(103ページより)

このように、指揮者のポジションを確認しながら読み進めていける、とてもユニークで、かつ説得力のある内容。同時にオーケストラについての豆知識を得ることもできるので、読みごたえは抜群。ぜひ手にとってみてください。

(印南敦史)

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