特集
カテゴリー
タグ
メディア

「黄色いバス」が教えてくれる、悩ましい人間関係について大切なこと

「黄色いバス」が教えてくれる、悩ましい人間関係について大切なこと

もしも突然、未経験の業界に飛び込まなければならなくなったとしたら。しかもそこには自分を受け入れてくれる土壌が皆無で、多くの人たちから反発されることになったとしたら──。

どんな世界でも起こりうる、そのような状況での身の振り方を考えさせてくれるのが、『黄色いバスの奇跡 十勝バスの再生物語』(吉田理宏著、総合法令出版)。倒産寸前だった北海道帯広市の小さなバス会社に転職を余儀なくされた男性が、10年間にわたる紆余曲折を繰り返しながら会社を立てなおした実話です。

本書はミュージカルにもなり、大きな話題を呼んでいるのだとか。はたして、どのようなストーリーなのでしょうか?

決意

主人公である野村文吾は、33歳の夏に父親から突然呼び出されます。そこで聞かされたのは、父が長年経営してきた会社である「十勝バス」をたたむことにしたという話。文吾は当時、西武グループに務めていましたが、結果的には父の跡を継いで十勝バスの再生を決意します。(7ページより)

試練

ところが「社長の息子」として入社して感じたのは、従業員たちの戸惑いの空気。社長である父からも「一切口を出さない」と言われ、文吾はいきなり苦境に立たされることになります。(25ページより)

苦悩

そして会議で、「苦境を脱するために営業をしましょう」と訴えるものの、返ってくるのは「東京と違って帯広では無理だ」という素っ気ない反応。しかも顧客からのクレームが入る現場にはホスピタリティの精神がまったくなく、絶望的な状況。いくら改善を提案しても「昔からそうやっているので...」という返答があるばかり。(39ページより)

先輩の助言

そんななか文吾は、若い経営者や次期経営者が集まる帯広青年会議所に入会。そこで2人の先輩と出会いますが、飲んだ席で口から出るのは愚痴ばかり。やがて先輩から「おまえが会社をダメにしているんだ」と指摘され、戸惑うことに。しかしその理由を聞いて、我に返ります。(55ページより)

「一緒に働いてくれている人たちのことを、もうちょっと愛せよ。おまえは十勝バスで働いている人たちのことを『敵だ』と思ってるだろ。そう思っているうちは何も変わらないよ」(64ページより)

この言葉を聞いて衝撃を受けた文吾は、言われたとおり、従業員を愛することを意識しようと考えはじめます。そして叩かれ続けながらも従業員の言葉に耳を傾け、それらを肯定し、地道な努力を重ねていきます。するとその結果、「奇跡」が起こることに...。(55ページより)

この先を書いてしまったら読む楽しみがなくなってしまうので、ここまでにしておきますが、続いてクライマックスが訪れます。会話の表現がやや薄くリアリティに欠けていると感じたことも否めませんが、とはいえそのストーリーからは、どんな業種にも通じる本質を読み取ることができるはず。

特にオフィスでの人間関係で悩んでいる人にとっては、なんらかのヒントになりえる一冊です。通勤途中などを利用して短時間で読めるので、手にとってみてはいかがでしょうか?

(印南敦史)

swiper-button-prev
swiper-button-next