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「シルク」を5回続けて声に出してみよう...では、牛が飲むものは?

「シルク」を5回続けて声に出してみよう...では、牛が飲むものは?

近年、日本ではロジカル・シンキング(論理的思考)に関する本が数多く出版され、それに関連したビジネス研修やセミナーも数多く実施されるなど、一種のブームのようになっています。

ところが、アメリカなど欧米では、ロジカル・シンキングはすでに下火と言ってもいい状態です、そしてそれに関して盛んなのが、クリエイティブ・シンキングです。(4ページより)

と、『クリエイティブ・シンキング入門』(マイケル・マハルコ著、白川司訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の訳者は解説しています。その理由は2点。まずは、ロジカルであることにこだわりすぎると、新しい発想が軽んじられ、ビジネスや学問において大切な個性やユニークさが置き去りにされてしまうということ。そしてもうひとつは、インターネットの普及と発展によるグローバル化。すべての労働が、国境の垣根を超えて気軽に発注できる状況になっているから、というわけです。

クリエイティブ・シンキングをするにあたっては柔軟な発想が大切。そのことを認識させてくれる第2章「なぜいつも同じアイデアばかりなのか」から、いくつかを引き出してみます。

やってみよう:意味をカタマリとして認識する

次の文章を読んでみよう。

「ケンブリッジ大の 研究にるよと、単語の最初と最後の字が合ってるいことが 重要だけなで、あはと文字順が どうてなっも問題になはらない。ほかのろとこは、めちゃにくちゃに なっていうよが、問題くな読める。これはいたっん、読み方を習得しまてしえば、次に何が来かるを 頭なのかで 並べかなえがら 予想をすらるかだ。人の脳といのうもは 文字のひとつとひつを 拾っていはるのでなく、全体しとて その単語を認識のしているだ。人間はことういったこを 無意識に行っいてる」

お気づきのとおり、文字の順番を変えても、私たちは意味をカマタリとして認識できます。これは、脳が自動的に情報を修正して完成させ、ひとつのパターンを選択して機能するから。そして、同じ場所にい続けながらこれまでにないアイデアや解決法をひねり出そうとしても、いつもと同じアイデアしか出てこない理由でもあるといいます。

情報は同じ凹みや溝を流れ、同じつながり方しかしないため、いつも同じアイデアしか生み出せないというわけです。(40ページより)

やってみよう:5回クイズ

「絹」を英語で何と言う? そう、「シルク」だ。では、「シルク」を5回続けて声に出して言ってみよう。「シルク、シルク、シルク、シルク、シルク」。

では、牛が飲むものは?

この問いに対しては、ほとんどの人が「ミルク」と答えてしまうといいます。答えは頭に自然と浮かんできて、明快だとすら思えます。しかしもちろん間違いで、牛が飲むものは「水」。つまり「シルク」と繰り返したことで、一時的に思考パターンが作られてしまうわけです。だから「牛が飲むものはなにか?」と問われると、思考パターンが課題をどう考えるべきか勝手に方向づけしてしまうのです。

日常生活の習慣や思考パターンやルーティンが徐々に積み重なると、最後は他の可能性への気づきを著しく矮小化してしまうもの。それは滝が膨大な時間をかけて巨大化していくようなもので、その効果に私たちはほとんど気づかないそうです。滝が意識をある程度削ってしまってから、私たちはその蓄積にやっと気づくということ。(41ページより)

やってみよう:ペアを融合させて発明する

以下の4つのペアについて、それぞれのペアのコンセプトを融合して、新製品を考えてみよう。それぞれの特徴から、共通点と相違点をよく考えること。さて、あなたには何が発明できるだろうか。

(1)バスタブ vs ハンモック

(2)サングラス vs 窓

(3)日焼け止め vs 殺虫剤

(4)自転車 vs 洗濯機

実はこれら4つのペアは、どれもすでに製品化されているのだとか。「バスタブ」と「ハンモック」の組み合わせは、小さなハンモックがついた赤ちゃん用のお風呂に。「サングラス」と「窓」の組み合わせは、紫外線の強さで色が変わる家庭用窓ガラスのアイデアに。「日焼け止め」と「殺虫剤」の組み合わせは、紫外線と虫を同時に防げる新製品ローションのアイデアに。そして「自転車」と「洗濯機」の組み合わせは、リチウムイオン電池がついた運動バイク兼洗濯機に、というわけ。(44ページより)

つまり異質な物やコンセプトを組み合わせると、創造力が刺激され、これまでにない思考パターンが作られ、アイデアとして結実するのだと著者は説明しています。

このように、わかりやすい事例とともに解説されているだけに、知らず知らずのうちにクリエイティブ・シンキングの世界観に引き込まれていくはず。とても興味深い書籍だと思います。

(印南敦史)

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