
Maker Faire Tokyo 2013の会場でもひときわ目を引くピンクカラー。「SAKURAボードユーザ会」の展示ブースをのぞいてみると、何やらぴかぴか光るカチューシャと、可愛らしい呼び込みのお嬢さん。
「ソーシャル・カチューシャ」は、特定のウェブページで操作を行うと、データはクラウドで処理され、カチューシャについたマイコン(マイクロコンピューター)へ送られます。すると、カチューシャについたLEDが光るという仕組み。ウェブ経由で操作を行うため、どれだけ離れていても、どこにいても、カチューシャが光ります。
「え、それだけ?」と思うかも知れませんが(もちろん、そのクラウド処理の部分ではさまざまな技術が働いています。詳しくは雑誌『日経Linux』2013年10月号に掲載とのこと)、ソーシャル・カチューシャはあくまで一例。つまり、「クラウドを経由してマイコンを制御できれば、さまざまなことができる」のです。
スマホ、クラウド、デバイスの親和性が高まっている
たとえば、マイコンで制御した先に電子楽器を付ければ、スマホから遠隔操作をして鳴らすことも可能です。お話を伺ったSAKURAボードユーザ会の事務局長である小暮敦彦さんは「スマホとクラウド、そしてクラウドとデバイスの親和性が高まっている」と話します。まるで「見えないパーツ」としてクラウドが加わった、というイメージでしょうか。
Wi-FiやBluetoothといった接続方法も一般化しつつありますが、これらはどうしても近距離でなければいけません。その点、クラウドを使えば、距離の問題はクリアできるといえそうです。電子工作というと、ついラジオや小型ロボットなど「自分の手の届く範囲」のものを思い浮かべがちでしたが、クラウドによって可能性がグッと広がっているのだなと感じました。
電子工作はアイデアひとつで新しい世界が広がる
隣は、メイド喫茶『秋葉原橙幻郷』のしおんさん。はんだづけが得意だとか!
展示をしていたSAKURAボードユーザ会は、主に開発したマイコンを搭載した小型ガジェット(電子工作ボード)を用いた電子工作を行っているコミュニティ。会員は500名ほどおり、「知と萌えの融合」をテーマに、「電気の街」秋葉原を応援しているのだそう。「海外へ流れがちなものづくりを、あらためて日本で盛り上げたい。みんなで手を動かし、考えて、ものをつくる喜びを楽しもう!と活動しています」と小暮さん。
「今や電子工作は、アートや手芸などと組み合わせて、アーティストの表現技法としても使われている」と、SAKURAボードユーザ会のパンフレットにはありました。折しも、電子部品の店舗が連なる秋葉原ラジオセンターが閉館するニュースもありましたが、アイデアひとつで欲しいものがつくれるのが電子工作の良いところ。クラウドという味方を得た今、新たなアイデアに触れるのが楽しみです。
(長谷川賢人)