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トンデモ社員に翻弄されつつ10億円ビジネスを実現した「モーレツ社長」の経営術

トンデモ社員に翻弄されつつ10億円ビジネスを実現した「モーレツ社長」の経営術

日本一のダメ会社 放置自転車で10億稼ぐ!』(稲本勝美著、こう書房)には「トンデモ社員が巻き起こすありえない事件簿と それでも稼ぐモーレツ社長の奮闘記」というサブタイトルがついていますが、たしかに「モーレツ社長」である著者自身の経歴がユニークです。

  • わずか1年のサラリーマン勤めを経て、中古バイク屋さんとして22歳で起業
  • 社員が増えても就業規則は定まらず、「遅刻して当たり前」の風習が
  • 創業15年で法人化して上場を目指すも、「トンデモ社員」によるトラブル頻発
  • 結果、自転車ビジネスなのに、まさかの自転車操業

そして「郵便物も、宅急便も絶対開けない! ほったらかしくん」「スゴんだネタは超・軽犯罪 自称『刑務所上がり』くん」「会社のサーバを自宅に保管! 55歳の強烈新入社員くん」「『CD出すからカネ貸して!』 自称『歌手』くん」などなど、コントかと思いたくなるほど社員の個性も強烈。ビジネス書ではあるのですが、「笑える実話集」としてのインパクトがかなり大きな内容になっています。

こんなカッコ悪いお話を包み隠さずお伝えしようと思ったのは、私自身が経営者として、放置自転車を10億円のビジネスへと変えられたいまだからこそ。どんなにダメ会社でも、やり方次第でうまくやっていけるんだと知ってほしいと思っています。(2ページより)

トンデモ社員の破天荒なエピソードは読んでからのお楽しみにとっておくとして、今回は「数多くの失敗を重ねたからこそわかった中小企業のリアルな経営術」が明かされた第4章「経営者以外、立ち入り禁止!」からいくつかを抜き出してみたいと思います。

食わせる仕組みを作る

トンデモ社員に悩まされながら、著者はそれでも従業員を「みんな人間的には悪いヤツじゃないんですよね」と温かい目で見守っています。

使えないと感じた社員に対して、バッサリ切り捨てるタイプの経営者は、それはそれで敵をつくることにもなり、トラブルを抱え込んでしまうことにもなりかねません。

一方、浪花節で働く経営者もいると思いますが、それだけでは経営がうまくいかないことが多いのも事実ではないでしょうか。

ただ、ご縁があって一緒に働くことになった従業員ですから、幸せになってほしいと思うのは経営者の親心。(194ページより)

だからこそ「みんなが食っていけるようにするにはどうすべきか?」を考え、著者が至ったのは「人に頼らなくても収益の上がる仕組みをつくる」という結論でした。

優秀な社員が辞めたら仕事が回らなくなってしまう状態は明らかなリスクですが、個々の能力に頼らない仕組みをつくれば、従業員が少なくても経営を楽にすることはできるという発想。それがスモールビジネスに徹してビジネスを展開し、少ない従業員数で業績を上げている現在の状況につながっているというわけです。(194ページより)

スター経営者のマネはしない

かつて有名上場企業の経営者を目的にして勘違いしたこともあった著者は、やがてひとつの考えに行き着いたといいます。

スター経営者の成り上がりのサクセスストーリーに心躍らせて「自分もああなってみせる」と夢を描き、チャレンジすることは悪くはありませんが、それだけでは、手痛い目に遭いがちです。(中略)また、大手企業の経営戦略をマネようとする人もいますが、あれはお金があるからこそできることなんです。(205ページより)

中小企業は「目の前のお客様」からお金をいただいて成り立つものだということを、決して忘れるべきではないということ。すべてのお客さまに平等に発信する経営より、目の前のお客さまのためになるような経営が大事だと考えているそうです。(204ページより)

自由な時間とお金

中小零細企業や個人経営者がビジネスを行う上でのポイントは、「シンプルにビジネスを行う」ことだと著者は言います。ビジネスが大きくなるほどコントロールできない要素を抱え込むことになりますが、お金を稼ぎ出さねばならないからこそ、お金を稼ぐことに集中しなければならないというわけです。そのために重要なのが、ビジネスそのものをシンプルにすること。

ちなみに「問題は山積みで、しかも金はない」状況のなかで行き着いたのは、次の結論だったとか。

お金にならない仕事はやらない

忙しい仕事はやらない

儲からない仕事はやらない

物事は複雑にしない

この指針を明確にし、自由な時間とお金という判断基準を旗印にビジネスをスリム化した結果、驚くほど迷いや悩みが消えていったのだそうです。(224ページより)

先に触れたとおり、この章以前には、トンデモ社員との交流のなかで奮闘する著者のストーリーがコミカルに描かれています。読みものとしてもおもしろいので、ぜひ手にとってみてください。

(印南敦史)

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