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いま求められるのは「やり過ぎる力」。ではその前に、何ができる?

いま求められるのは「やり過ぎる力」。ではその前に、何ができる?

やり過ぎる力 混迷の時代を切り開く真のリーダーシップ論』(朝比奈一郎著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者は「まえがき」で、こんな時代だからこそ「チャレンジ精神」が必要だと主張し、さらに次のように記しています。

他者がやっていることを横目に見ながら、恐る恐る「チャレンジ」らしきことをするレベルではなく、これまでの常識を打ち破る形で何かを「やり過ぎる力」が必要なのではなかろうか。これを単なる「チャレンジ精神」を超えた「やり過ぎる力」と呼びたい。(中略)ある程度の前進を確保するためには、陰に陽に、「やり過ぎ」くらいに大きく打ち出すことが必要だということだ。(12ページより)

では、「やり過ぎる」ためにはどうしたらいいのか。第5章「どうしたら、『やり過ぎ』のための一歩を踏み出せるのか」から、「『やり過ぎる力』を発揮するための3つのコツ」に目を向けてみましょう。

1.PSR

「やりたいことをやれ」と言うのは簡単。しかし現実的には、「やりたいことがわからない。それがわかれば苦労しない」というケースがほとんどだといいます。では、どうすればいいのか? そこで著者がおすすめしているのは、なにか社会のあり方や組織のあり方を「オカシイ」と思う力。負のエネルギーを正のエネルギーに変えていくことが、真にやりたいこと、やるべきことを見つけ、「やり過ぎる」ためのひとつのコツになるという考え方。

つまりここでいうPSRとは、企業の社会的責任を意味するCSR(Corporate Social Responsibility)の「企業(Corporate)」の部分を、「個人(Personal)」に置き換えた造語。社会や次代に対する個人の責任として、所属組織や日本社会のあり方に対し「オカシイ」と感じる部分については、声をあげて、それを正そうとする姿勢を持つべきだということです。(161ページより)

2.M&A

社会や組織に対してなにかを「オカシイ」と感じて「やり過ぎる」ためのエネルギーを持てたとしても、実際に行動に移すのはなかなか困難。そこで、このような状況において有用なのがM&Aだといいます。営利企業間のM&Aはmerger and acquisitionの略で合併・買収などを指しますが、著者はこれを「みんな (M)のアクション(A)」と定義づけています。

ひとりで立ち上がって「やリ過ぎる」ことが難しくても、仲間と一緒なら困難さはかなり軽減されるというわけ。立ち上がる前から仲間がいるに越したことはないけれども、それが難しければまずはひとりで立ち上がり、その後、仲間を見つけるという方法もあるといいます。

いずれにせよ、自分にしか思いつかないオリジナルな考えは存在しないし、同じようなことはどこかで誰かが考えているもの。だからこそ、同じ価値観を持つ仲間と非営利活動間の「M&A」をすることで、やり過ぎるための一歩を踏み出すことが容易になるわけです。(165ページより)

3.タイミング(信頼の蓄積)

「オカシイ」という問題意識を持って自分がやるべきこと、進むべき道を見定め(PSR)、そのための仲間も確保したら(M&A)、次に大切なのは「いつ、どのようにチャレンジするか」だといいます。

大切なのは、いきなり飛び込んでチャレンジする前に、当該分野や人事面・財務面におけるネットワーク構築を進めること、つまり、周囲の信頼を勝ち得ておくこと。逆にいえば、信頼の蓄積なくして「自分の実力」だけを頼りにアクションを起こしても、うまくいかないことが多いのだとか。そういう意味では、目の前の仕事をきちんとこなして信頼を勝ち得るなど、周囲に対して信用の「貯蓄」をしておくことが大切だそうです。(168ページより)

「やり過ぎる力」とだけ聞くとわかりにくい部分もありますが、文体も力強く説得力に満ちているため、実際に読んでみればすぐにその根拠がつかめるはず。著者の主張に違わず、こういう時代だからこそ読んでおくべき価値があると思います。

(印南敦史)

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