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プレゼンに応用できる、劇団四季ならではの「セリフ」8カ条

プレゼンに応用できる、劇団四季ならではの「セリフ」8カ条

劇団四季メソッド「美しい日本語の話し方」』(浅利慶太著、文春新書)は、1953年に劇団四季を結成した著者が、美しく聞き取りやすいセリフを支える独自メソッドを解説した書籍。

そのメソッドとは、母音の発音を徹底的に正すことで五十音すべてをきれいに発音できるようにする「母音法」、長いセリフを明晰に話すための「呼吸法」、そしてどこでフレーズを切るかに重点を置いた「フレージング法」の3つ。そのなかから、ビジネスパーソンのプレゼンテーションにも応用できそうな「フレージング法」を引き出してみたいと思います。

イメージや想念の流れを読む

プレゼンテーションやスピーチで必要になるのは、「書かれた文章を話して伝える」作業。そして読み書きする言葉と話す言葉の大きな違いは、どこでフレーズを切るかということにあるそうです。自分のために本を読むときとは異なり、人に話して伝える場合は、しゃべっている内容が相手によくわかるように、切る場所を考えなければならないということ。(104ページより)

ちなみにフレーズをどこで切るかということを、劇団四季では「折れ」と呼んでいるのだとか。つまりセリフの中にあるイメージや想念の流れを読み込み、その変化する部分を折り、折ったフレーズをどう伝えるか考える技術が「フレージング法」だというわけです。

句読点で折ってはならない

書かれた文章を読むとき、句読点に従ってフレーズを切ればいいというのは誤った考え方。理由は、「。」や「、」などの句読点は、文章を目で読みやすくするために用いられるものだからだそうです。(105ページより)

もちろん、「書く」ときに句読点は必須。たとえば「美しい私の伴侶」と言ったとき、「美しい、私の伴侶」とするか「美しい私の、伴侶」とするかによって、「美しい」が誰を表現しているのかが明確になります。

ただし、話すときに優先されるのはイメージを伝えること。長いセリフの中にはいくつものイメージが含まれていますが、句読点は必ずしもそのイメージごとに打たれてはいないもの。セリフの内容を理解し切れていない勉強不足の俳優は、句読点でフレーズを折ってしまうため、正しいイメージが観客に伝わらなくなるといいます。

なにかの文章を誰かに向けて読み上げる際には、句読点に惑わされずイメージを大切にすべきだということです。

劇団四季の「セリフ」8カ条

著者は劇団員に向けて「折れ」を踏まえたうえでのセリフの話し方について説明するとき、次の8カ条を伝えるようにしているそうです。(107ページより)

  1. そのセリフで、何を語らねばならないかを確かめる。
  2. そしてそのセリフが、どういう構成になっているかを確かめる。
  3. その変化の構造を、カギカッコで囲む(これを折れという)。
  4. お腹の呼吸と、折れの変化を連動させ、母音のみでしっかり話す。
  5. 次に子音を加え、自然に自然に、話しコトバとして語る。
  6. その際、決して入れてはならないのが「感情」である。
  7. セリフは感情を話すものではなく、「コトバ」のニュアンス(イメージ)を語るものである。
  8. その発想された「折れ」に、自分独特の感性、感覚を反映させるのが「個性あるセリフ」である。

つまり、論理的にセリフの切れ目を考え、それを受け入れられやすいかたちで明晰に伝えようということ。プレゼンテーションにも、同じことが言えるはずです。

劇団四季を60年も支えてきた人物であるだけに、著者の論理は説得力抜群。美しく、わかりやすく話すことの大切さを再認識させてくれます。

(印南敦史)

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