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とにかく何かを始めよう〜「スタンフォードの奇跡の教室」から学ぶこと

とにかく何かを始めよう〜「スタンフォードの奇跡の教室」から学ぶこと

ベストセラー『スタンフォードの自分を変える教室』のケリー・マクゴニガル(その仕事への取り組み方については、過去記事「仕事にデスクは不要!『スタンフォードの自分を変える教室』の著者、ケリー・マクゴニガルの仕事術」でも紹介しました)が、今年2月に来日。東京で特別講義を開催し、500人の定員があっという間に埋まってしまいました。いかにも人気の高さを言い表すエピソードですが、その講義の模様を収録したDVDブックが、『最高の自分を引き出す法 ~スタンフォードの奇跡の教室 in JAPAN~』(ケリー・マクゴニガル著、 神崎 朗子訳、大和書房)。

「自分を変える」ための具体的な手段、著者が実際に使っている方法、果ては「他人を変える」ためにすべきことなどが、わかりやすく解説されています。第6章「日本のみなさんの疑問に答えます」を見てみましょう。

Q:上手に「ものの見方を変える」にはどうすればいいですか?

この問いに対する著者の返答は、少し意外でもあります。

ものの見方を変えるのに最もよい方法は、自分自身の考えと闘ったりすることではなく、新しい考え方が生まれるような、心と体のゆとりをつくりだすことだと思います。

(101ページより)

理由は、頭のなかで考えていることをコントロールするのは非常に困難で、考え方を変えようと思えば思うほど、かえってその考え方にとらわれてしまうから。ものの見方を変えたいなら、むしろ体の状態を変化させて心を落ち着けるのがよいという考え方です。

また、自分がお手本にしている人のことを考えて、その人だったらこの問題にどう対処するだろう、と想像してみるのもよい方法だといいます。

Q:「科学」によって意志力の「何」がわかりましたか?

知恵の多くは哲学や宗教からきていますが、科学は基本的にそれらの考え方を支持しているといいます。ですから、ある意味では科学は物事を考えるためのひとつの方法であり、哲学や宗教などの知恵になじみのない人に考えを伝える方法でもあるということ。(106ページより)

しかし科学が解き明かしてくれたこともあり、そのひとつが、私たちのなかには複数の自己がいて、それらがしょっちゅう切り替わるということだとか。

哲学にはすばらしい考え方がたくさんありますが、このことについては、私は科学から学びました。

ですから科学は物事について考えるためのひとつの方法になると思いますが、だからといって哲学や宗教などに取ってかわるものではないと思います。

次は、脳科学とビジネスとの関係について。

Q:脳科学を「ビジネスに生かす」にはどうすればいいですか?

グーグル社で行われているトレーニングプログラムでは、従業員に瞑想やストレス緩和、思いやりのスキルを教えているのだそうです。そんなことからもわかるとおり、シリコンバレーの企業の多くは、通常の勤務時間内にそのようなトレーニングを行う取り組みを始めているのだとか。(106ページより)

それはストレスを緩和するためのツールを従業員に提供する必要があるからで、瞑想のための部屋を設け、従業員が脳を鍛え、意志力を回復できるようにしているのだそうです。こうした取り組みは、今後も重要になってくるといいます。

Q:「将来の自分」をイメージする方法を教えてください

意志力を鍛えるにあたっては、難しいことほど効果があるそうです。しかし自分の将来とつながる方法を見つけようと努力すれば、結果的に実りはもっと大きくなるのだとか。難しいことを継続して行うほど、大きな効果が得られるというのが、意志力に対する基本的な考え方だからだそうです。(108ページより)

たとえば著者が学生にやってもらうエクササイズのひとつが、将来の自分から現在の自分に宛てた手紙を書くというものだとか。いま一生懸命に取り組んでいる目標を達成した自分の姿や、現在抱えている問題を克服した姿を想像し、将来の自分から現在の自分へ感謝の手紙を書くのです。たとえ将来の自分が書いているようなつもりにはなりきれなかったとしても、いまちゃんとこれをやっておこう、という具体的なアイデアを得ることができるわけです。

なお、この項の最後には著者からのメッセージが添えられています。

とにかく、始めましょう。

何をしたらよいかわからなくても、自分の思い描く大きなビジョンや変化につながりそうな小さな一歩を見いだして、とにかくやってみましょう。

そこから必ず道が開けていくと信じて。

(111ページより)

翻訳された講演内容に加え、英文テキストも収録されていますので、より深く読み込んでみたい人にも最適。また日英2カ国語音声のDVDには、69分におよぶ本編に加えて特典映像もついていますから、とても読みごたえ(そして見ごたえ)があります。だからこそ、多くのことを学べるのではないかと思います。

(印南敦史)

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