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注意力を鍛えるために科学者たちが使っている訓練技術、フィールドノート

注意力を鍛えるために科学者たちが使っている訓練技術、フィールドノート

多くの人は、同時にたくさんのことに気を取られており、身の回りの世界にしっかりと注意を向けるのが難しくなっています。さらに、私たちの注意の持続時間には限界があり、大半の人はその重要性を過小評価しています。

物事を記憶するには、まず対象に注意を向ける必要があるのは当然ですね。しかし、職場へ急いでいたり、公園をジョギングしている時は、そのことを忘れています。最近、デジタルの世界で「アテンション・エコノミー」という言葉が流行りました。情報を処理したり消費するとき「注意」が限定要因になるという考え方です。これは、「通知機能はオフにすべき」理由の1つでもあります。人は、頻繁に集中力を失い、目の前のタスクから注意をそらしてしまいます。

『The Information Diet』の著者Clay Johnson氏は、単に集中力を鍛えればいいのではなく、どの情報が重要かを取捨選択すべきだと言います。

クリティカルシンキングのスキルを磨くには、取り入れる情報を峻別することも重要です。情報の内容を批判的に考える以前に、情報源についても批判的に考えるべきです。そして、消費する情報の種類についても批判的に考える必要があります。

Johnson氏はニュースの情報源について語っていますが、注意を向ける対象についても同じことが言えます。意志力と同じく注意力も消耗します。本当に重要なものに注意を集中すべきです。

注意力を鍛える1つの方法は、暗記に挑戦することです。米誌『Scientific American』は、長い文章の固まりを暗記するテクニックについて、次のように述べています。

「暗記」は、強制的に注意を向けさせる方法の1つです。暗記をするとき、人は意識を集中し、記憶する対象について徹底的に考え、さらに熟考します。それは普通に注意を向けただけでは起こらないことです。何かを暗記するとき、脳は普段と違うやり方で情報を格納し、処理し、想起するのです。

何かを暗記するとき、あなたはその情報を重要だとみなし、注意を向けるよう脳に命令しているのです。

米紙『Time』の最近の記事に似たような事例が載っています。観察力を鍛える方法についてです。研究者たちによると、観察力をつけるには、フィールド・ノートを持ち歩いて、対象の細部に注意を向けるよう脳をトレーニングすると良いそうです。

観察力を鍛える最良の方法は、古くからある実践、フィールドノートをつけることです。対象の細部について記述し、見たままをスケッチします。「対象をスケッチするとき、書き留める情報を取捨選択することになります」。ハーバード大学の昆虫学者で「Field Notes on Science and Nature」の著者、Michael Canfield氏は言います。「何が重要で何が重要でないかの決断を迫られるのです」。

Time誌によると、スケッチのために対象の細部を探索することで、「ただ見るの」と「観察する」ことの違いを学ぶのだそうです。つまり、何に注意を向けるかを決める訓練になるわけです。

私たちは注意を向ける能力を軽視しがちです。脳を再教育するには、科学者たちが使っている訓練技術、フィールドノートが参考になります。ポイントは、普段目にしているものを、ただ眺めるのではなく、しっかり注意を向け、批判的に考えることです。そして、自分が何に時間を消費しているかについて、意識的になってください。

Thorin Klosowski(原文/訳:伊藤貴之)

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