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真冬でも800円のかき氷に行列ができる理由

真冬でも800円のかき氷に行列ができる理由

なぜ、真冬のかき氷屋に行列ができるのか?』(川上徹也、石附浩太郎著、日本実業出版社)は、1杯800円もするかき氷を目当てに、冬でも行列ができる神奈川県藤沢市鵠沼海岸の有名店「埜庵」の繁盛の秘訣を解き明かした書籍。

「リスクが大きいからこそ、先行者利益が生まれる(第1章)」「『おいしいものをつくれば、人は来る』という考えがドツボのはじまり(第2章)」「集客よりも、もっともっと大切なこと(第4章)」「TwitterやFacebookは商売繁盛には役立たない(第5章)」など、各章のタイトルを見ただけでも、斬新な発想がその根底にあることを感じ取ることができるのではないでしょうか?

果たして同店は、いかにして成功をつかんだのか? エピローグ「真冬のかき氷屋に行列ができた5つの理由」に目を向けてみたいと思います。店主に対して徹底的な取材を行ったという共著者の川上徹也氏は、埜庵が成功した秘密として次の5点を挙げています。

1.3つのワン(ファーストワン・ナンバーワン・オンリーワン)を極める

わかりやすい独自性の持たせ方は、次の3つのワンのいずれかを実行することだといいます。

  1. ファーストワン(日本初、世界初、業界初など、何かで「初を取る」ことができた商品・サービス・売り方)
  2. ナンバーワン(売上トップ、人気トップ、コンテストでの優勝など、何かで「1位を取る」ことができた商品・サービス・売り方)
  3. オンリーワン(日本唯一、世界唯一、業界唯一など、ほかのどこにもない「唯一を取る」ことができた商品・サービス・売り方)

埜庵は結果的に、これらすべてのワンを極めたからこそ「ほかにはない特別な店」になれたというわけです。

2.物語(ストーリー)で魅了する

初期のころ、店主の石附氏がかき氷の物語を熱心に語り続けたことも、埜庵が受け入れられた理由のひとつなのだとか。天然氷、シロップに使われる果物やつくり方、それらに向き合う姿勢などを熱く語る姿が、人の感情を動かしたということです。

3.「自分だけが特別」だと思える接客がある

埜庵の魅力は、かき氷だけでなく、石附氏の接客にもあるそうです。具体的にいえば、かき氷に関する話題のみならず、石附氏は「グチ」が多い。しかしそこにネガティブな印象はなく、むしろ「自己開示」に近いため、お客さんはつい感情移入してしまうのだといいます。

そして結果としてコミュニケーションが生まれ、お客さんは「そこに行けば、自分の居場所がある」という感覚を得ることができる。自分が特別な接客を受けているように思えるからこそ、お店とお客さんとの理想的な関係を維持できるというわけです。

4.メディアに消費されずにうまく付き合う

テレビに出すぎて質を落とし、廃業に追い込まれるような店が多いなか、埜庵はテレビに出る回数を絞っているのだとか。だからこそテレビに出たからといって店を荒らすこともないわけです。それどころか、「こちらの気持ちに沿っているものでなければ断る」という姿勢は、逆に店のバリューを高めることにもなったのだとか。メディアに消費されずにうまくつきあえば、プラスを「さらなるプラス」にできるということかもしれません。

5.「つながり」が「つながり」を生む

あまりかき氷を食べたことがない人に「自分が最初に食べたあの衝撃を味あわせてあげたい」と思わせる、そして、連れてきた人に気を配って話してくれる。埜庵にはそんな「人を紹介したくなる魅力」があるのだそうです。

そして、連れてこられたお客さんもまた埜庵との信頼関係を築き、さらに別のお客さんを連れてくる。まさに「つながり」が「つながり」を生むわけです。

この5点を確認しただけでも、埜庵の成功の理由がわかるはず。そしてこれ以外にも、本書には全業種に通じるビジネスのヒントがたくさん詰まっています。ぜひ手にとってみてください。

(印南敦史)

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