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プロ雀士の考え方に「戦う姿勢」を学ぶ

プロ雀士の考え方に「戦う姿勢」を学ぶ

麻雀には詳しくないので、専門的に語る資格はありません。また、「なぜこの本を?」と疑問を持つ方がいらっしゃっても不思議ではないと思います。しかし、それでも紹介すべき価値はあると感じたのが、『人生勝たなきゃ意味が無い』(佐々木寿人著、星海社新書)。2005年にデビューして以来、驚異的なスピードで昇段し続けているというプロ雀士が、「勝利に向かう哲学、その根っこにある考え方」の価値を説いた書籍です。

本書に書かれた専門用語や麻雀牌の並べ方のイラストなどは、知識がないと理解しづらいでしょう。けれども留年をきっかけに大学を中退して地元に雀荘に「就職」し、そののち新宿歌舞伎町の雀荘メンバーとして働いたという著者のプロセスからは、どんな職種にも応用できる「戦う姿勢」を学ぶことができます。

印象に残った箇所を、いくつか引き出してみたいと思います。

これしかないと思うと強くなれる(27ページより)

著者の麻雀人生は、大学二年の夏に「雀荘メンバー」という仕事に就いたところから始まったそうです。しかし店長から「新人としては上出来だ」と言われたものの、一カ月トータルの成績表ではマイナス。しかもよく見ると、「プラス域」になっている者がひとりもいなかった。そこで、

「ならば俺がプラスを獲ってやる! プラスになって初めて一人前だ」

と自分に言い聞かせて臨むのですが、結果的にはマイナスが増える一方。しかもそんなときに大学中退問題がのしかかり、窮地に立たされたのだといいます。ところが以後は4カ月連続でプラスを獲得し、打ち手として評価されることに。

これしかないと思うと、強くなれるのだろうか──。

退路を断たれた結果、本当の強さを発揮できたということです。

「残念だったね」という屈辱(44ページより)

「頑張ったけど残念だったね」と、勝者を礼賛するよりも、敗者の方にスポットライトが当たることが多くなったと著者は言います。理由は、敗者は美談になりやすいから。

ただ、私はこう思うのだ。負けた本人が心の底から満足できるのならば構わない。しかし、「本当は勝ちたかった」と後悔するのならば、勝つことにこだわるべきだ。(44ページより)

生きていくためには、食べていかなければならない。食べていくためには、勝たなければならないという考え方。だからこそ、「勝敗の良し悪し以前に、勝利は生きる道でもある」というわけです。

プレッシャーには敢えて向き合う(87ページ)

アマチュアの人から「プレッシャーに打ち勝つためにはどうすればいいのか」と聴かれると、著者は次のように答えるそうです。

「今、プレッシャーを感じているということは、次のステージへ進んでいけるチャンスです。だからプレッシャーには敢えて向き合ってみてください。常にあるものだと思って、受け入れてみてください。そしてなんとしても乗り越えてください。どんなに時間がかかっても構いません」(88ページより)

当たり前のことではあるのですが、特に「受け入れてみる」という部分は、問題に直面した際の気持ちの持ち方として、とても大切なのではないでしょうか?

プレッシャーとは周りからの圧力である。それに押しつぶされれば敗北が待っているが、うまく力に変え、プレッシャーを利用すれば、次のステージに飛躍できる。(89ページより)

麻雀の知識なくして本書を楽しむことができたのは、著者の「熱さ」に、どんな職種にも共通する本質を感じたから。特に巻末の「最後に伝えたいこと」は、多くの人の心に突き刺さると思います。一文だけ、引用しておきましょう。

結果が出ていないのに「努力をしていたからOK」「プロセスが良かったからOK」というのは言い訳にすぎない。言い替えれば自己満足の世界なのだ。言い訳をして自己満足をする時間があるのならば、次に勝つための時間に当てた方がいい。負けても、次に勝てばいいのだ。(219ページより)

(印南敦史)

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