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よりよく生きるために大切なのは、「孤独」の本質を理解すること

よりよく生きるために大切なのは、「孤独」の本質を理解すること

タイトルがいささかベタなので敬遠しがちだったものの、改めてページをめくってみれば、心に残るフレーズが随所に見つかるなかなかの名著。そう感じさせてくれたのが、『「孤独」が一流の男をつくる』(川北義則著、アスコム)です。

「人生を豊かに生きる」ことに主眼を置いたエッセイによって、20代からシニア世代までの支持を得る著者によるエッセイ。「ぼっち」であることは恥ずかしいというような考え方に真っ向から反旗を翻す、無骨で男っぽい内容です。1章「一流の男は『孤独』を恐れない」から、いくつかを引き出してみます。

若者よ、「ひとり」を恐れるな(23ページより)

水に気体、液体、個体の三態があるように、人間にも三態があると著者はいいます。

  1. 他人と関わる自分
  2. 一人だが外に意識を向けている自分
  3. 一人で内に意識を向けている自分

がそれ。そして、もっとも大切な「ひとり」は3.であるにもかかわらず、いまの若者は3.になりたがらないそうです。「社会と関わっていくには、1.と2.があればいい。しかし、3.をないがしろにしてはいけない」とも。理由は、孤独を特徴とする3.こそが人間の本質だから。

しかし、だからこそ思い切って意識的に「ひとり」になってみるべきだというのが著者の提案。

他人とつながってうれしいのは、寂しさが癒されるからだし、一人で他人のことを思っていれば寂しくない......そういうことを深く理解するためにも、もっと「ひとり」を味わった方がいい。(25ページより)

というわけです。

一流の男は仲間外れを恐れない(26ページ)

仲間外れにされるのは気持ちのいいものではないし、否定されたような気がして、自信がなくなるかもしれない。しかし、孤独に強くなるという意味でも、集団から孤立する仲間外れを忘れない強い心を持つことが大切。

たとえば、ケータイやスマホのリストに百人の人間が登録されていたとしよう。その人間たちはすべて仲間だろうか。仲間でも何でもない。単なる知り合いのほうが多いはずだ。それを仲間と思ってしまうから、おかしなことになる。

クラスメートや会社の同僚などは、広い意味では仲間だが、そこまで枠を広げて仲間意識をもつ必要はないという考え方です。なぜなら仲間意識は、なにかで「同じ想い」を共有したとき初めて生まれるものだから。

何も有益なことを成さないのなら、仲間など必要ない。むしろ余計なものだ

こう断言できる芯の強さは、たしかにビジネスにおいても重要なのではないでしょうか?

一流の人間は「孤独感」とうまくつきあう(32ページより)

メールなどのコミュニケーション手段が発達しても、それだけでは人は孤独感から解放されない。やはり人間には、生身のつきあいが必要だというわけです。

では、どうすれば孤独とうまくつきあえるようになるのか。いえるのは、「そこから逃げないこと」だそうです。いまの自分の状況が孤独だったとしても、逃げずに受け入れるべきだということです。この点について、重要なのはこの部分。

人の心はなかなかうまくできていて、ある事態をストレートに受け入れると、そのことに価値を見出すようになる。ガンであることを受け入れれば、真剣に生きようと考える。(33ページより)

ここではガンを例に挙げていますが、すべてのものごとについても同じことが言えるはずです。

本書には、ひとつだけ欠点があると感じました。タイトルも含め、本文内でも「一流」という単語が多用されすぎているため、「『一流』に執着することがそこまで重要か?」というような誤解を招きやすいという点です。しかし、それが著者の執筆上の癖でしかないことは、濃密な内容を体験してみればわかるはず。すこしばかり昔気質ではありますが、そのぶん説得力抜群。ものごとの本質を、しっかりと見極めることができると思います。

(印南敦史)

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