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食べ過ぎを防ぐ方法:私たちはなぜ目の前の食べ物を平らげてしまうのか?

食べ過ぎを防ぐ方法:私たちはなぜ目の前の食べ物を平らげてしまうのか?

多くの人が食べ過ぎに悩んでいます。目の前に食べ物が出されると、つい残らず平らげてしまいます。空腹が満たされても食べるのをやめられません。いったいなぜ? 今回は、こうした食べ過ぎのメカニズムと、その防止策を紹介します。

誰だって食べ過ぎてしまうことはあるでしょう。しかし、毎回のように食べ過ぎてしまうなら問題です。体重が増えるのはもちろん、食事の度に気持ち悪さを感じているはず。食べ過ぎの原因はまだ解明されていませんが、いくつか要因は考えられます。

食べ過ぎの心理的背景

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ポテトチップスを食べていると、ひと袋を食べ切りたい衝動にかられませんか? 多くの人が食べる量をコントロールするのが苦手です。目の前においしい食べ物を出されると、残らず食べたくなります。以前、食べ過ぎのメカニズムを紹介しましたが、ほかにも、食べ過ぎに関するさまざまな研究があります。

2005年のある研究では、自動補給型のスープボウルを使った実験が行われました。スープボウルの底にチューブが取り付けてあり、飲んだ分だけスープが自動補給されるようになっていました。結果は驚くべきもの。被験者たちは、通常のスープボウルで飲んだ場合に比べて73%も多くのスープを飲んだのです。そして、その自覚はまったくありませんでした。

2006年の別の実験では、入れ物のサイズに注目しました。ボウルいっぱいに入ったM&Ms(チョコレート菓子)と、「大きなスプーン」を渡された被験者たちは、スプーンいっぱいのM&Msをとり、全部食べてしまいました。「小さなスプーン」を渡した場合も、そのスプーンいっぱいに入れ、全部食べるという同じことが起きました。つまり、「スプーンのサイズ」が食べる量を決めていたのです。これは「ユニットバイアス」と呼ばれる現象です。行動心理学者のMatt Wallaert氏は、「NPR」のインタビューに答えて「ユニットバイアス」を次のように説明しています。

リンゴを「1プラス4分の1個」食べようと思う人はいませんよね? リンゴは「1個」がユニットです。リンゴは「1個」食べるものなのです。同じことがポテトチップスにも当てはまります。ポテトチップスの袋のサイズが20%大きくても、20%小さくても、人はポテトチップスを「ひと袋」食べ切ろうとします。

基本的に、私たちは食べるのをいつ止めたらいいかわからないのです。食べ物がパッケージされて出てくれば、それを1回の食事量として扱ってしまいます。また、ウォールストリートジャーナルの記事にもあるように、「一口サイズ」のお菓子は、自動補給型のスープボールと同じく、食べ過ぎの原因となるそうです。

あるタイプの人々──自分の見た目を気にする人や、食事量の制限が特に苦手な人──は、一口サイズの食べ物を「ゼロカロリー」と認識しています。そのせいで通常サイズの食べ物よりも食べ過ぎてしまうのです。フランスのビジネススクール「Insead」で摂食行動を研究しているPierre Chandon教授はそう指摘します。「25キロカロリーしかない食べ物は『食事』とは認識されません。私たちは食べている自覚なしにボリボリ食べるのです」

目の前の食べ物をぜんぶ食べてしまうのは、無自覚だからです。また、食べるのを止めろという明確なサインも出されません。食べ過ぎには、空腹感よりも環境的な要因がより影響しています。また、ジャンクフードだけが問題ではありません。健康的な食べ物でも、食べ過ぎれば食後の不快感に苦しみます。

食べ過ぎを防止する方法

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食事量のコントロールは意外と難しいものです。レストランだけでなく、自宅で料理する場合も同じです。私たちは基本的に、目の前の食べ物を全部食べてしまいます。ですので、最初から適量の食事を準備するのが大切です握りこぶしで適正な食事量を計る方法もあります。適量の食事を済ませた後には、空腹感も満たされているはずです。

もちろん、健康的な食べ物を適正量だけ食べるのが一番。例えば、巨大なアイスクリームの代わりに1カップのブルーベリーか、アーモンドを少し食べるほうが良いに決まっています。じゃあ、そうすればいい? いえいえ、そう簡単にはいきません。食生活をガラリと変えるのは思った以上に困難です。

前述のとおり、食べる量はパッケージにも大きく左右されます。袋入りのポテトチップスや、箱入りの冷凍食品などは、1袋や1箱を1回の食事量だと認識してしまいます。しかし、よく見れば適正量以上の食べ物が入っているのに気づくでしょう。そんなときは、袋や箱から直接食べずに、ボウルなどに取り分けて食べるようにします。ボウルが空になってもまだ食べたいときは、継ぎ足せばいいのです。

お皿のサイズも同じ。小さめのお皿を使えば、食べ過ぎも防ぎやすくなります。フォークのサイズを変えるだけで食べる量が変わったという報告もあります。もちろん、必ずそうなるとは限りませんが、食事量を制限する簡単な方法の1つです。

ゆっくり意識的に食べる=マインドフルに食べる

最近では「マインドフルに食べる」というアイデアがあります。食べるときに、食べていることをしっかり意識すれば、食べ過ぎる前に気づくという考え方です。「マインドフルに食べる」とは、ゆっくり意識的に食べることであり、自己管理の実践でもあります。果たして効果は? 賛否両論があります。ゆっくり食べれば空腹が満たされたことに気づきやすくなります。しかし、実践するのがかなり難しいのも事実です。

最後に。食べ過ぎを防止すればすべてが解決するわけではありません。健康的な食事や、エクササイズも重要です。ただ、食事量のコントロールは思っているよりずっと難しいことであり、さまざまな工夫が必要だということをお伝えしておきます。

Thorin Klosowski(原文/訳:伊藤貴之)

Title illustration by Tina Mailhot-Roberge. Photos by Kritacher, and Crystal.
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