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Google Chromeが切り拓くウェブ標準、ブラウザの可能性:中の人インタビュー

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Google Chromeが切り拓くウェブ標準、ブラウザの可能性:中の人インタビュー

[2013.04.13 09:00 文章の一部に誤りがありましたので、訂正いたしました]

いつも多彩な新しい技術で我々を楽しませてくれるGoogleですが、先日ライフハッカーでも紹介した「World Wide Maze」は、Chromeでアクセスしたサイトを3Dグラフィックスの迷路ゲームに変えて、さらにスマートフォンをコントローラーにして遊べるようにしてしまうという驚きのサイトでした。

ゲームをプレイするにあたって必要なのは、Chromeにログインして、パソコン版とモバイル版を同期させるだけ。プラグインの追加も必要ありません。

いつも見ているサイトがどうして立体迷路ゲームになって遊べるようになるのか? そんなみなさんの疑問にお答えすべく、ChromeやHTML5などのウェブ技術の開発者に向けた普及を進めるデベロッパー アドボケイトの北村英志さんとChromeのマーケティングを担当している江原有紀さんのおふたりにインタビューを行い、お話を伺いました。

HTML5を中心にしたオープンな仕組み

── 今回発表されたWorld Wide Mazeがすごくおもしろい点は、すでにあるページを3Dの迷路に変えて遊べるところだと思います。一体どんな仕組みになっているんでしょうか?

北村:まず説明しておきたいのは、Chromeがアクセスしたページを勝手に作り替えているのではないということ。情報を専用サーバーに読み込んで、それを元に作られた3Dグラフィックス上でゲームをプレイできる仕組みになっています。

北村さんはWorld Wide Mazeの開発を担当
北村さんはWorld Wide Mazeの開発の技術サポートを担当

北村:また、ゲームに使われている3Dグラフィックスやサウンドの技術も今回のために新しく開発したわけではありません。パソコン版とモバイル版のChromeの同期も含め、さまざまなウェブ標準と呼ばれるオープンな形で公開されている技術の組み合わせで作られています。

江原:少し補足すると、ウェブ標準とはどのブラウザから見ても同じようにウェブサイトを表示するための標準規格となるもの。ページを構築するHTML5を中心に、映像や音楽の再生や3Dグラフィックス表示など、さまざまな技術が新しく開発されています。誰でも使えるよう公開されていて、どのような表現ができるかはアイデア次第です。

Chromeのマーケティングを担当する江原さん
Chromeのマーケティングを担当する江原さん

江原:これまでにもGoogleでは、検索のトップページでのDoodleなどでそうした技術を紹介してきましたが、World Wide Mazeはそうした具体例のひとつ。また、日本発のChrome Experiments で、PARTYAID-DCCFUTUREKと一緒に制作しました。

World Wide Maze
World Wide Maze

北村:ウェブ標準の中でもイノベーティブな新しい技術を見せられるものを使っています。3Dの迷路のところではWebGLという3Dグラフィックを表示する技術を、BGMやボールが転がったりジャンプしたりする効果音にはWeb Audio APIという音を再生する技術を、そして、パソコンとスマホの同期はWebSocketという技術を使っています。その上でゲームがスムーズに動かせるよう、最終的にChromeに最適化したサイトに仕上げられています。

──普段見ているサイトがどれだけ高得点を上げられそうか、つい考えてしまいそうですね。

江原:単純に高得点を上げるならシンプルなデザインのサイトが有利ですけど、迷路としてのおもしろさはまた別なので、どのサイトがおもしろかったとか教えていただけるとうれしいですね。ただ3Dゲームっぽく見せているのではなく、特典によってボールが増えるというように本格的なゲームとして作り込まれていますから、そうしたところも楽しんでいただければと思っています。

──開発にはどれぐらいの時間をかけたのですか?

江原:企画から完成までは半年ぐらいでしたが、企画アイデアにも多くの時間を費やしました。スマホとの同期をさせつつ、インパクトのあるアイデアが必要で、最初はGPSを使ったジオロケーションを応用するというアイデアもあったんですが、紆余曲折の末にようやく今回のアイデアがまとまりました。ゲームといえばスマホアプリで楽しむ人が増えていますが、そのスマホをコントローラーにして、パソコンでもゲームを楽しんでもらいたいという狙いもありました。

Find Your Way To Oz
Find Your Way To Oz

北村:World Wide Mazeは企画から開発まで全て日本で行いましたが、同じようなプロモーションはグローバルでも行われていて、他にも「Super Sync Sports」や、「 Find Your Way To Oz」のようなサイトがあります。特に後者はディズニーとタイアップした映画『オズ はじまりの戦い』とのマーケティングツールとして使われることも意識しています。映画の世界観を活かすような凝ったグラフィックスが使われていて、その中ではウェブ標準のWebRTCというビデオチャットをコントロールする技術を使ったり、より新しいウェブ体験を楽しめるショールーム的な構成になっています。

開発者とブラウザとをつなぐ場所

──こうしたウェブサイトを作ろうとする時に参考になる情報を得られる方法は何かありますか?

北村:デベロッパー向けの情報が集まる場所としては「HTML5 Rocks」があります。また、Google+の中にGoogleのデベロッパーリレーションズチームで管理している「Google Chrome Developers」というページでは、Chrome に関する最新情報が発信されています。他にも、各技術や興味のあるテーマについて交流するためのコミュニティもいろいろあります。私の肩書きである「アドボケイト」は"Googleとデベロッパーをつなぐコミュニケーター"のような役割。Chromeを中心としたウェブ技術に関する情報発信として、毎月ゲストを呼んでYouTubeのオンラインで中継したり、ハングアウトを使った交流なども行っています。

HTML5 Rocks
HTML5 Rocks

北村:最近はウェブのテクノロジーも幅が広がって来て、様々な専門知識が必要とされるものになってきました。そのおかげで、たとえば音楽や3Dグラフィックスが専門の方たちも、ウェブの世界に入ってきています。ブラウザ上で音楽を扱う専門のコミュニティなどもできてきています。

──たとえば、プロモーションでこんなサイトを作りたいというアイデアは考えられても、実際にウェブを制作できる技術を持っている人はまだ少ないのでは?

北村:新しいアイデアを開発してくれる技術を持った人は日本にはたくさんいると思います。もっと言えば、日本の開発技術は世界から見てもかなりレベルが高いので、もっといろいろなジャンルの人たちが交流することで、おもしろいサイト制作がどんどんできると感じています。

ブラウザで、なんでもできる?

──ブラウザ上で何でもできるといって限界がありますし、具体的には日本語のテキスト入力などはまだ難しい状況ですよね。

江原:それが、すでにWeb speech APIという音声入力できる技術があるんです。もちろん日本語にも対応していて、スマホの音声入力のようなことがパソコンのブラウザでもできるようになっています。日本語の変換や辞書機能はGoogle日本語入力がありますし、縦書き表示のようなこともChromeではできるようになっています。

北村:その他にも、先ほどもお話した音を再生できるWeb Audio APIを使ってブラウザ上でリアルタイムに演奏ができるFMシンセサイザーを作った人がいるんですが、画面の中にあるグラフをいじって音質を変えられるなど、まるで音楽アプリのような仕上がりになっています。さらにMIDI通信ができる Web MIDI API という技術を標準として取り込もうという話もあって、ブラウザでできることはさらに拡がっていくと感じています。

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──最近、ブラウザはどこも横並びで面白くないと思っていたんですが、これほどいろいろなことができるようになっていたとは知りませんでした。

北村:特にChromeは主要なOS版は全て揃っているので、新しいデバイスを買ったらまずブラウザをインストールすれば、それだけで他にソフトを入れなくてもすぐに使えるようになりますし、ブラウザがOSになるという話は数年前からありましたが、すでにそれに近い状況になっていますね。

私自身も仕事はほぼ全てブラウザ上で行っていて、これからアプリや技術を開発をする人には、デスクトップではなくブラウザ上で作るようにと言ってるぐらいです(笑)。ブラウザは毎日使っている身近なものだけに新しい進化に気が付きにくいかもしれませんが、ますますおもしろくなっていきますので、ぜひ楽しみにしてください。

World Wide Mazeのプロモーションサイトはブラウザとウェブ制作の新しい可能性を感じさせるのに十分なインパクトを持った内容でしたが、これからもアイデア次第でもっとおもしろいサイトが作れるという北村さんのお話がとても印象的でした。さらに、全てがブラウザ上でできるようになる時代が来ているということを実感させられる、とても興味深い内容でもありました。

ブラウザの開発を取り巻く状況もここ最近で大きな変化があり、どのような方向に向かって進化していくのか注目していきたいところです。

(野々下裕子)

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