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ダイエットを例に考える「もっともらしい」の落とし穴

ダイエットを例に考える「もっともらしい」の落とし穴

一日一回体重を量れば体重管理はバッチリとか、毎日1マイル(約1.6km)歩けば5年で50ポンド(約22.7kg)痩せるとか、朝食をきちんと取る人の方が痩せているとか...そういった話が出回っています。けれども、米紙『ニューヨーク・タイムズ』が指摘するように、ダイエットにまつわる「定説」のほとんどには、たしかな科学的根拠がありません

例えば、「朝食をきちんと取る人の方が痩せている」という話は本当でしょうか。研究で実際に分かっているのは、太らないように体重管理がうまくいっている人はふつう、規則正しい朝食の習慣があること。つまり、体重管理と朝食には相関関係があるということです。ところが時間が経つにつれて、このデータはまったく違う意味に解釈されてしまいました。

例えば、一般的に朝食を取る人ほど痩せていると思われています。しかし、この考えは痩せている人たちがたまたま朝食を取っていたという調査結果に基づくものです。その後、朝食を取ってなかった人たちと比べて、太っているか痩せているかを調べたところ、朝食を取ることと痩せていることの相関関係を見つけたわけです。ただし、この手の研究は誤解を生みます。なぜなら、「朝食を取る人たちは痩せている」という現象があっても、その理由は「食べる/食べない」とは違うかも知れないからです。朝食を取るグループと取らないグループを作って比較実験をすればもっとはっきりしたのですが、研究者たちはそのような実験を行いませんでした。

とはいえ、もっともらしい話だったので、その形で広まってしまったのです。

(アラバマ大学の)Allison博士は、肥満に関する文献を調べているうちに、ある種の「伝説」や誤解が当然のように思われているのは何故だろうと思いはじめました。やがて博士は、思い込みには「もっともらしさバイアス(reasonableness bias)」が影響していると結論付けました。つまり、アドバイスがもっともらしく聞こえれば、それは正しいとなるのです。例えば、「無理のない目標を立てればダイエットを本気で頑張れる」という考えは、そのとおりと思えますね。

ところが実際は、山ほどあるダイエットの考え方において、本当に効くと証明されているものはほとんどありません。例えば、以下のような「定説」が、専門家から否定されています。

  • 「エネルギーの摂取量や消費量のわずかな変化であっても、長期的には大きな変化をもたらす」(実際にはもたらさない)
  • 「急激なダイエットは、長期的な効果につながらない」(たくさんの人々が、短期間でダイエットに成功し、それを維持している)
  • 「現実的な目標を立てることが大切だ。あまりに高い目標だとイライラがつのり、結局は減量に失敗する」(現実的な目標は、往々にして控えめすぎる)

もちろん、「定説」のすべてが完全なウソというわけではありません。単に証明されていなかったり、十分な科学的裏づけがなかったりするだけです。ですが、きちんと管理された環境で、無作為に選ばれたグループを対象とし、信頼性の高い実験が行われたダイエット研究はごくわずかです。今のところ一番確実なのは、科学的な裏づけがあるダイエットのテクニック(英文)でしょう。

Myths of Weight Loss Are Plentiful, Researcher Says | The New York Times

Thorin Klosowski(原文/訳:風見隆、合原弘子/ガリレオ)

Photo by -Paul H-.
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