
ホームシアター用に使うなら、小型で動作音が静かで、手ごろな価格のパソコンがいちばん。そうなると、35ドルで買える超小型の「Raspberry Pi」は完璧な選択肢ではないでしょうか。この記事では、DIYが簡単なこの小さなシングルボードコンピューターを、ほんの30分で安価で静かなメディアセンターに変える方法を紹介します。
まずは、記事冒頭の簡単なデモ動画を見て、このプロジェクトに必要なものと、最終的に達成できるものを確認してください(動画内の音楽は「Revolution Void」です)。
まだRaspberry Piを買っていないなら、米Lifehackerのこちらの入門ガイドをチェックして、Raspberry Piとはなにか、なにが必要になるのか、どれほど素晴らしいことができるのかを知ってください。米Lifehackerいち推しのメディアセンター「XBMC」になじみのない方は、なんでも再生できるクールなメディアセンターをつくるためのコンピューターガイド(英文記事)をチェックしてください(そのあとで、この記事に戻ってきてくださいね)。
必要なものRaspberry PiでXBMCを立ち上げるのはとても簡単です。でもまずは、必要な材料を集めないといけません。メディアセンターが30分で完成するか、それとも30時間にわたって頭痛が続くかは、きちんとした材料を手に入れるかどうかにかかっています。用意するものを以下に挙げます(もっとも、ほとんどはすでにお持ちかもしれませんが)。
・Raspberry Pi ── どこで買えばいいかわからない場合は、上記の入門ガイドをチェックしてください。
・HDMIケーブルまたはコンポジットビデオケーブル ── Raspberry Piと、テレビやモニターをつなぐために必要です。お持ちでない場合は、「Monoprice」で安く買えます。
・SD カード(8GB Class 10以上)とカードリーダー(コンピューターに内蔵されていない場合) ── もっと小さいものや速度の遅いものでもかまいませんが、8GB Class 10のカードなら最高の性能で、しかもとてもお買い得です。ほとんどのSDカードを使用できますが、なかには互換性がなく、問題が生じるカードもあります。どのカードが使えるのか、インストール済みのオペレーティングシステムと互換性のあるカードをどこで買えるのかについては、こちらのページで確認してください。
・USBキーボードとマウス ── 標準的なUSBキーボードとマウスなら、どれでも使えます。筆者はBluetoothでないワイヤレス型を使ってうまくいったそうですが、Raspberry Piが起動したあとに、いったん外してからつなぐ必要がありました。有線型のキーボードとマウスのほうが面倒は少ないでしょう。
・イーサネットケーブル ── 標準的なものなら、どれでも使えます。
・5Vで700mA以上の電流を供給できる高品質のmicroUSB電源 ── 現在のスマートフォン充電器は、ほとんどが5Vで700mAを供給できますが、すべてがそうではありません。充電器の底面を見て、文字部分を探してください。出力値が記載されているはずです。700mA以上であれば、大丈夫でしょう(700mAではなく、0.7Aと書かれていることもあります)。品質の低い充電器は使わないようにしてください。問題が生じるかもしれません。
・リモートコントローラー ── 設定が終わった後で、メディアセンターをマウスやキーボードで操作したくない場合は、リモコンが必要です。詳しくは、Raspbmc対応リモコンリストとリモコン選択ガイドをチェックしてください。
・USBハードディスク(オプション) ── 別のコンピューターから動画をストリーミングしたくない場合は、USBハードディスクをRaspberry Piに接続する必要があります。
・Raspberry Pi用ケース(オプション) ── エンターテイメントユニットにRaspberry Piボードをむき出しで置いておきたくないなら、ModMyPiが提供しているような専用ケースを買うといいでしょう。
・3.5mmステレオオーディオケーブル(オプション) ── アナログビデオを使っていて、外付けスピーカーやテレビまたはモニターの内蔵スピーカーにRaspberry Piを接続したいという場合にのみ必要となります。
・Raspbmcインストーラー ── Raspbmc(XBMCのRaspberry Pi最適化バージョン)をSDカードにインストールするためのものです。Raspbmcのウェブサイトから無料で入手できます。」できること/できないこと
Raspberry Piを使えば、特にコスト面で、とびきり素晴らしいメディアセンターが実現します。ネットワーク上の別のコンピューターや、ローカル接続したUSBハードディスクにある720p動画を、見事に再生できるXBMCボックスが手に入るのです。とても小さいので、どこにでも収まります。しかも、申し分なく静かなので、ノイズが映画のサウンドと競い合ってしまうことはありません。
ただし、もっと本格的なメディアセンターとくらべると、Raspberry Piではできないこともいくつかあります。インターネット(「Hulu」など)からコンテンツをストリーミングすることはできません。1080p動画は、ぎくしゃくした音や映像になるかもしれません。この点については、動画で使われている音声の種類が若干影響するほか、動画がどこにあるかによっても変わります(ネットワーク上でストリーミングしている場合は、USBハードディスクから直接再生するよりも、ぎくしゃくした動画になりがちです)。ソフトウェアが改良されればこうした点も改善されるかもしれませんが、現時点ではまだ、1080p動画を完璧に再生できると保証はできません。
Raspberry Piのメニューについても、ちょっと動きが遅いと感じるはずです。高解像度のファンアートをロードする場合も、もっと本格的なメディアセンターと同じようにはいかないでしょう。つまりこれは、ゴージャスで性能のいいXBMCスキンを望んでいる人には向きません。それでも、小型テレビ用のサブ的なメディアセンターや、単純な720p動画を再生するためのメディアセンターとしてなら、Raspberry Piは十分使えます。
ステップ1:RaspbmcをSDカードにインストールするRaspberry Piをテレビにつなぐ前に、RaspbmcをSDカードにインストールする必要があります。まずは、SDカードをコンピューターに差し込みましょう。Windowsを使っているなら、こちらのページからインストーラーをダウンロードしてデスクトップ上で実行し、RaspbmcをSDカードにインストールします。MacとLinuxのユーザーは、いくつかのターミナルコマンドを実行する必要がありますが、難しいことはありません。SDカードにインストールしたら、カードを取り出して次のステップに進みます。
Macユーザーは、OS X用のこのプログラムをチェックしてください。面倒な手順なしにRaspbmcをSDカードにインストールできます。米Lifehackerはこのプログラムを実際に試していませんが、何人かの読者からうまくいくとの声が寄せられています!
ステップ2:Raspberry Piを接続し、Raspbmcをインストールするここでようやく、Raspberry Piをテレビにつなぎます。この手順は、説明する必要がないほど簡単です。まず、HDMIケーブルをテレビにつなぎ、イーサネットケーブルをルーターにつなぎます。次にSDカードをRaspberry Piに差し込み、microUSB電源ケーブルを壁のコンセントに差し込みます。コンセントにつなぐと、Raspberry Piの電源が入り、SDカードから起動して、インストールのプロセスが始まります。
このステップのあいだ、なにもする必要はありません。インストーラーがきちんと動いているのだけ確認したら、15~25分後に戻ってくれば終わっているでしょう。インストールが終わると自動的に再起動し、XBMCが起動するはずです。
ステップ3:設定を微調整して、いちばんいい再生状態にするこれでもうほとんど終わりです! 手間はほとんどかからなかったですよね。XBMCが起動したら、あとはいくつかの設定を微調整して、すべてがスムーズに再生されるようにするだけです。以下の調整をおすすめします。
・解像度(Resolution) ── 設定(Settings) >システム(System)>ビデオ出力(Video Output)で見つかります。720p動画しか見ないのなら、これを720pに変更するといいでしょう。システムとメニューの動きが多少は良くなるはずです。
・オーバースキャン(Overscan) ── 設定(Settings)>システム(System)>ビデオ出力(Video Output)>ビデオキャリブレーション(Video Calibration)で見つかります。XBMCインターフェースがテレビ画面の枠からはみ出している場合は、このウィザードを使って調整し、修正するといいでしょう。
・システムパフォーマンスのプロフィール(System Performance Profile) ── プログラム(Programs)>Raspbmc設定(Raspbmc Settings)>システム構成(System Configuration)で見つかります。これはRaspberry Pi固有の設定で、基本的にはオーバークロックするためのものです。これを使えば、すべての動作を少しだけ速く、滑らかにできます。「高速(Fast)」設定を試してみるといいでしょう。すべての動作がスピードアップしますが、安定性は損なわれません。「超高速(Super)」設定にすればさらに速くなりますが、動作が不安定になる可能性もあります。オーバークロックに精通しているなら、さらに高度なオーバークロック調整も可能です。
・MPEG2 Codecコーデックライセンス(MPEG2 Codec License)――Raspberry Piストアから購入し、プログラム(Programs)>Raspbmc設定(Raspbmc Settings)>システム構成(System Configuration)で有効化する必要があります。このライセンスにより、初期設定のRaspberry Piでは対応していないMPEG-2動画を再生できるようになります。MPEG-2動画を持っていないなら、この手順は必要ありません。
すべて終わったら、XBMC完全ガイドへジャンプしましょう。ライブラリーへの動画の追加、アドオンのインストール、設定の細かいカスタマイズなどの方法がわかります。もっと徹底的にこだわりたい方は、OpenELECやXbianなどの、別のRaspberry Pi用XBMCビルドをチェックしてみてください。インストールにもう少し手間はかかりますが、スピードが若干上がるかもしれません。ただし、機能も少なくなりますので、それぞれを試してみて気に入るものを探してみてください!
Whitson Gordon(原文/訳:梅田智世/ガリレオ)
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