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「ジョジョの戦略」を日常のビジネスに応用する

「ジョジョの戦略」を日常のビジネスに応用する

ジョジョの戦略 最後に必ず勝利する方法』(富田英太著、あさ出版)は、根強いファンを持つ漫画『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦作、集英社)内で示された考え方や方法論をビジネスに応用しようというユニークな書籍。では具体的に、『ジョジョ』のどの場面が「使える」のでしょうか? 第5章「一発逆転をねらう」に焦点を当ててみます。

攻めてもダメなら、相手にとり込まれてみる。(185ページより)

山を賭けたんだぜ

シュトロハイム!

皮膚もだめ...

眼ん玉もだめ...

表からがだめなら内部からだ!

一か八か賭けたぜ!

喰うときなら

じかに波紋が流せると思ってな...

(サンタナに波紋攻撃をしかけたが通用しなかったため、ジョセフ・ジョースターはわざと攻撃を受けてサンタナの体内にとり込まれ、内部からの破壊を試みる。『ジョジョの奇妙な冒険』第7巻からの引用)


「相手に取り込まれてみる」というジョセフの発想は、M&AにおけるLBO(レバレッジド・バイアウト=取引先の資産を担保に資金調達し、買収後に事業改善などを行うこと)のようなダイナミックな戦略だと著者はいいます。2006年にソフトバンクがボーダフォンにしかけたLBOがその典型。リスクとリターンを判断し、最善の手段で最大のリターンを狙うべきだというわけです。

形勢不利でも、自らに残ったすべてを総動員して、勝機をつかむ。(189ページより)

受けた『傷』も我が肉体!

今までの『ダメージ』も我が能力!

全てを利用して...

勝利をつかむッ!

(ワムウが自らの両腕を切り落とし、それを発射させて勝機をつかもうとした場面。『ジョジョの奇妙な冒険』第11巻からの引用)


もう死んでいると思えば怖いものがなくなり、思い切った選択ができるようになる。ビジネスも「自分のもの」としてとらえれば、マイナス要素も自らのものだとわかる。それを認めたうえで、プラスに変える方法を考えればいいということです。

ギリギリまで決定打を隠す。(197ページより)

ぼくがさっき気を失った時

「法皇」を出していたのを忘れたのかい?

そして法皇を地面にもぐり込ませ

隠したのさ

眠りに入る前にね...

(花京院典明が、隠していたスタンド「法皇」を眠りに入る直前に出し、「死神13」を倒すシーン。『ジョジョの奇妙な冒険』第19巻からの引用)


タイミングを見計らって秘策を出し意表をつくことは、ビジネスにおいても大きな効果をもたらすとか。2012年10月にソフトバンクの孫正義社長が、米スプリント・ネクステル・コーポレーションに対するM&Aを発表したことがいい例。結果的にソフトバンクは世界第3位規模に成長しています。

逃げ場がないなら真正面から突っ込む。(205ページより)

わざとつぶれてーッ

その空気圧で

ぶっ飛んでやるッ!

うがああああああ

(天空の神「ホルスト神」のペット・ショップとの動物対決で、イギーがわざと氷に押しつぶされ、その勢いを利用して突撃する場面。『ジョジョの奇妙な冒険』第24巻からの引用)


ここに顕著なのは「退路が断たれたときには、正面に勝機がある」ということ。そしてそれを戦術化したのが、古代中国の「井陘の戦い」で、少ない兵力を奮い立たせて勝利した韓信軍の策略である「背水の陣」。逃げ場がないなら腹をくくり、全力で困難にぶつかってみるべきだということです。

強い責任感と執念が勝利へと導く。(213ページより)

オレの

ジッパーじゃあなければ...

ダメだ...

さもないと......

皆殺しになる...

(「ノトーリアスB・I・G」の攻撃から逃げ切るには、ブチャラティの両腕を犠牲にするしかなかったという場面。『ジョジョの奇妙な冒険』第58巻からの引用)


ここから学べるのは、ギリギリの勝負を勝ち抜くには決死の覚悟が不可欠だということ。自分を犠牲にするくらいの気持ちを持った人間が揃わない限り、大きな成功は収められないということ。失敗の責任を部下になすりつける上司では誰もついてこないし、有能な部下も育たない。気持ちを強く持てる人間が増えなければ、強い会社は生まれないわけです。

最後に救ってくれるのは、人とのつながり。(221ページより)

人の出会いも「重力」!

(変わらない運命のなかでエンポリオを救ったのは、徐倫に手渡されたウェザー・リポートの能力だった、というシーン。『ジョジョの奇妙な冒険』第17巻からの引用)


この場面で重要なのは、「どの出会いがどう影響するかわからないのだから、どんな人との関係もおろそかにしてはならない」ということ。ただしそれは、見返りを求めて媚びることとは違います。「人々が自分に調和してくれるように望むのは非常に愚かだ」というゲーテの言葉にあるように、意見や気持ちをただ合わせるだけでは、お互いのメリットとなる化学反応は生まれないわけです。

実をいうと個人的に、『ジョジョの奇妙な冒険』は苦手でした。恥ずかしながら第6巻で挫折したので偉そうなことをいう資格はないのですが、本書を読み終えた時点で「もう一度、『ジョジョ』を読みなおしてみようかな」と興味が沸いてきたのも事実。そういう意味でも、ここに示された視点のユニークさには感心しました。

本書を手に取った方は、どんな感想をもったでしょうか。Facebookページでも下記のコメント欄でも、ぜひ教えてください。

(印南敦史)

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