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自分の葬儀をプロデュースしてみせた金子哲雄さんの「生きざま」

自分の葬儀をプロデュースしてみせた金子哲雄さんの「生きざま」

生きるということ、そして死ぬということは果たしてどういうことなのか。『僕の死に方 エンディングダイアリー500日』(金子哲雄著、小学館)は、長い歴史のなかで人間が直面してきた普遍的な問題について、改めて考えさせてくれる書籍です。

ご存知のとおり、著者は流通ジャーナリストとしてテレビ、ラジオ、雑誌などで活躍した人物。しかし2012年10月、「肺カルチノイド」という急性の難病によって41才という若さで急逝されました。体調を崩した著者が宣告を受ける場面から始まる本書では、生い立ちにはじまり、流通ジャーナリストとなるまでの経緯、さらには死に至るまでのプロセスが冷静な筆致でつづられています。ふたつのことに驚かされました。まずは、確実に訪れる死と直面しながらも、著者が決して取り乱さない点。「目を開けている間は泣き続けた(99ページ)」というような表現は何度か出てくるのですが、どんなときにも落ち着いて、自身の状況を見つめているように思えるのです。

そしてもうひとつは、死をはっきりと意識してから、自分の最期をプロデュースしてみせたこと。遺産整理、お墓の選定、葬儀の準備、お礼の食事会までを自ら手がけ、周囲の人に迷惑がかからないようにすべての段取りを整えたのです。ここまで徹底した自己管理能力を持っていたからこそ、生前著者は成功できたのかもしれません。

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正直に言うと、今すぐ死にたい。この苦しみから解放されたい。誰かが死なせてくれるなら、喜んで死ぬという気持ちにもなる。

でも、もう動けない。

(中略)

天命に従うしかないのだろう。

自分の人生を選択してきたつもりだったが、最後の最後になって、終わりの瞬間を選べないとは。

でもいい。

自分は最後まで、自分に正直に生きてきた。濃い人生だった。そのことを、誇りに思う。

(161ページ)

この記述に続き、最後のページでは関係者への感謝の気持ちを述べ、そしてやはり冷静に締めくくっています。

なんだか、最期のメッセージが淡白で、色気のない文章になったことを、お詫びしたい。

(163ページ)

さらに心を打つのは、奥様による「あとがき」です。そこでは、著者が旅立つまでの描写が克明に、しかし客観的に描写されています。

あの世に向かっているんだな。

そのことがはっきりとわかりました。

(中略)

だんだんと音が静かになっていきます。

そのうちに、いつものような寝息に近い状態になりました。静かな静かな寝息です。すーっと吸っては止まる。すーっと吐いては止まる。その繰り返しです。

そのリズムが、だんだんとゆっくりになり、そして止まりました。

最期の呼吸が止まった瞬間に、金子の体が物体になったのがわかりました。金子の体はここにあるけれど、でも、金子がここにいないことは、よくわかりました。

(186ページ)

これを読んでいる人たちの多くは若く、まだ死というものを実感できないかもしれません。しかしそれ以前に、「いつか死ぬために、どう生きるか」を考えるうえで、とても参考になる書籍だと思います。

本書を手に取った方は、どんな感想をもったでしょうか。Facebookページでも下記のコメント欄でも、ぜひ教えてください。

(印南敦史)

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