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『SkyDrive』を使って講義ノートを売っていた、とある大学生の話

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『SkyDrive』を使って講義ノートを売っていた、とある大学生の話

これはある会社員(27歳・男)が大学生だったときの話を元に構成したものです。今でこそ数多くのクラウドサービスを活用している彼ですが、そのスタートは「大学時代の講義ノート」にあったのだといいます。


よほど出席を取るものでもない限り、ほとんどの大学生は毎回すべての講義に出ることはないと思います。ただし、授業に出ないと講義のノートを取れないわけで、必然的に期末テストの時期にはノート集めに必死になります。コピー機前に長蛇の列ができるのは、ある意味風物詩のようなものでした。

中には、几帳面にノートを取っている人もいます。公務員志望だった「マジメな」私の友人もその一人で、彼のノートには黒板に書かれていることだけでなく、教科書の例題の解法まできっちりと書かれていました。そのような「完ぺき」なノートを各講義ごとにかき集め、期末試験前にそのノートを見て勉強するというのが、私たち一般学生の試験対策でした。

■講義ノートをPDF化

ノートを手に入れるたびに毎回何十ページもコピーすることになると、当然ながら印刷代がかかります。私はこの印刷代とコピー機前に並ぶ時間がもったいないと感じました。そして、「そもそも最初からPDF化してあれば、期末にコピー機の前に並ぶこともなくなり、紙に出力することも不要になるのでは?」という考えに至ったのです。

テストが近づくたびにすべてPDF化していたらそれこそ時間のムダになります。そこで、ゼミなどで「やむをえず」大学に顔を出すたび、冒頭で触れた公務員志望の友人からノートを借りて、それを学部棟のコンピュータルームにあるスキャナでPDF化することにしました。

複数の「書記係」から各講義の「議事録」を集めた私は、それらをフォルダ分けして当時ローンチしたばかりだったSkyDriveに入れて保存するようにしました(当時も25GBまで無料で利用できました)。このSkyDriveのIDとパスワードを友人数人と共有したところ、おおむね好評。そこで、これをマネタイズできないかと考えました。講義ノートを販売しようと考えたわけです。当時はmixi全盛期。「講義ノート売ります」と書けば、あっという間に友人たちからのメッセージでいっぱいになりました。販売ツールは「SkyDrive」、広報手段は「mixi」のスモールビジネスの始まりです。

■販売方法について

ここで問題にぶち当たります。顧客である友人学生たちとSkyDriveのIDなどを共有してしまうと、次回以降に何度もアクセスできてしまうのです。それでは商売にならないので、講義ノートのダウンロードを有限にする必要がありました。そこで、ダウンロード期限が決まっているURLを発行する「データ便」で送るという手段を考えました。ダウンロード依頼がくるたびに、SkyDriveに保存したデータから希望のファイルをデータ便で依頼主に送るようにしました。

最初のうちは対個人でファイルを送るのも難しくありませんでした。しかし、次第に依頼主が増えてきたのと、自分で送るのが面倒くさくなったということもあり、最初のアイデアに立ち戻ることにしました。つまり、SkyDriveのID・パスワードをはじめに共有してしまって定期的にそれらを変更するようにしました。データ便のURLを発行するたびに課金するのではなく、お金を支払った人に期間限定でIDとパスワードを教えるという方法を採ったのです。お金を払っていない人でもSkyDriveにアクセスできるという危険性もありましたが、そもそもPDFファイルを複製して共有されてしまうという可能性もあるので、これは気になりませんでした。

■議事係への「報酬」について

ノートを毎回取ってくれていた友人にはマージンを支払っていました。ノート係の友人は、自分のノートが評価されることに快感を覚えるようになってきたのか、講義に出席していなければ得られない「中間テストの日程」や「期末テストに出そうな問題」などの情報を付加してくれるようになりました。これにより、ほかの講義ノートとは一線を画する「お金を取るにふさわしい」ノートができました。製本すれば大学の購買部でも売れるのではないか、と自信をもって言える内容でした。

当時はウェブサービスが今ほど発達していなかったので、素人の学生にできることは限られていました。今なら、「Gumroad」や「Sellbox」といったオンラインサービスを使えば簡単に講義ノートを販売できそう。教授の話す講義内容などをEvernoteに入れて共有したり、Twitterで「今日の講義は出席を取ってます!」などという風に呼びかけのツイートをしたりすることも可能だなあと、社会人になった今でも思うわけです。果たして今の母校の学生が、どのような知恵とサービスを使って単位を取得しようとしているのか気になります。

【編集部注】

この話は、あくまで大学生が友人間で行っていた「講義ノート」の共有についての話です。SkyDriveの利用についてはMicrosoft社の使用条件を遵守するべきであって、利用規定に反する行為を推奨するものではありません。


(安齋慎平)

Photo by kusabi.
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