クラウドリーディング:vol.33『会社で「ブランド人」になれ! 組織で生き抜く10のルール』
「組織で生き抜き出世する!」と言えば、どういう処世術を想像するでしょうか?
一般的には「実力があり実績を出していれば出世する」、「とにかく真面目に淡々と仕事をしていれば出世する」と考えがちです。しかし! 一般社員から、大企業のCEOまで登り詰めた著者が教える処世術は、全く違います。
本書を読むと、むしろ、過大な実力は出世の妨げにさえなるのではないかと思います。なぜか? そこには、やはり組織で働くという事情があります。
同じ組織の人間の全員が、あなたの出世を心から願っていれば別ですが、大半の人はそんな事には、なんの興味もありません。むしろ、同期や後輩の出世は、うとましく思うのが人情でしょう。
そんなわけで「実力さえあれば出世できる!」、「結果さえ出しておけば文句ないだろう」と思うのは、大間違い。むしろ、そんな事とはなんの関係もない事が、出世に大きく関わっているんです。
続きます。
まずは、驚きの解雇の事例から、フォード社の社長が会長から解雇された事例です。
クヌードセンはマスタングを台無しにし、ろくな経営理念がないからクビになった、と書きたいところだが、直接の原因は、そんな事ではなかった。真の理由は、ノックせずに、何度もフォード二世のオフィスに入ったためである。ノックをしない。それだけの理由だった。
こんな事で、解雇されるのはたまったもんじゃないですよね。しかもフォード社の社長が。
しかし、マナーは上司や同僚、部下に対する敬意を示す手段です。日本でも昔から「親しき仲にも礼儀あり」と言われます。毎日会う相手を、いつもいつも不快にさせていたら、そばにいたくないと思われても当然ですからね。
マナー・礼節の不足に続いて、悪い事例を挙げると、
会社生活で自滅するいちばんの近道は、他人に上司の悪口を言うことだ。「侮辱された上司ほど恐ろしいものはない」侮辱された上司は、とにかく方法を見つけて、あなたを破滅させる。
そして、悪口を言わないのはもちろんのことですが、
うんざりするかもしれないが、スポットライトは上司に譲るべきだ。そして、上司が気前良く光を分けてくれる事を望むしかない。
上司が非常に嫌な奴だとしたら、これは本当にうんざりで苦行ですが、組織で生きていくには欠かせないことです。
そして、驚くべきは米国の本の翻訳だというところ。欧米の会社は、もっと個人主義・実力主義かと思っていましたが、欧米でこんな感じだと、和を重んじる日本の会社では、さらに徹底しているのではないのか? と思ってしまいますね。
保身に関する話題が続きましたが、お待ちかねの、ブランド力を高め、出世するために重要な資質は...
・会社にカネをもたらす・正直である
・慎み深い
・約束を守る
・あなたのために働きたいと人に思わせる
の5項目です。
ただ本書を読むと、組織で働くということは、出世やブランディング以前に、自滅や他人に足を引っ張られる事を、まずは防ぐことが重要なようですね。
本書の中にも、サラリーマンの一日をシミュレーションして詳しく解説してありますが、人に嫌われる機会というのは、一日の中に驚くほどたくさんあるものです。
同僚と差をつけるために、ITスキルや英会話を身につけたりすることが、ブランディングとなり、出世の道も! と、僕も思っていましたが、この本を読むと、そんな事をしても、周りから警戒されたり疎まれたりするだけで、なんの得にもならないかとも思ったり...。
もちろん、ITスキルや英会話が業務に直結してるなら、それを頑張るのは当然ですが、あまり関係ないことを勉強するより、上司のご機嫌伺いでもしていた方が出世しそう。
本書を読んでの出世するタイプを、一行で無理矢理表すと「普段はニコニコと温厚で礼儀正しいけど、時おり鋭いナイフがちらりと胸元から見える」タイプかな。
温厚なだけだとなめられるし、普段からナイフ振り回してると誰も近寄ってこないし、バランスが重要ですね。
●目次より
ルール1:自分のへそより先を見る!
ルール2:上司はあなたのブランドの共同構築者
ルール3:上司のタイプを見抜く、セラピストになる
ルール4:ピクルスフォークはどれ? マナーを忘れない
ルール5:勝負するとき、逃げるとき、を見きわめる
ルール6:24時間ショータイム、気を抜かない
ルール7:正しい敵を作れ
ルール8:成功に酔ってはいけない
ルール9:高く飛ぶものは撃たれやすい
ルール10:強いプレーヤーであり続ける
(聖幸)
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