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Baidu IMEで見えてきた。どうなる日本語IMEのこれから

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パソコンの文字入力はIME(Input Method Editor)と呼ばれる日本語入力システムを使います。Windowsの「MS-IME」、Mac OSの「ことえり」のように、OSにはIMEが標準搭載され、買ってすぐに日本語が入力できますし、ライフハッカー読者諸兄のように、パソコンでたくさん文字を入力するユーザー以外は、IMEの性能についてあまり意識をすることはないかもしれません。とはいえ、日本語入力がスムーズにできるかどうかはパソコンの操作性に大きく影響する部分であり、性能の良いIMEを使うだけで使いやすさが劇的に変わることもあります。

今では無料のIMEもたくさん公開されていて、簡単に選択できるようになってきましたが、「意識して選んでいる人」はまだまだ少数派なのだとか。

そこで今回はバイドゥ株式会社が開発、提供している無料日本語入力システム『Baidu IME』の事例を元に、日本語IMEのこれからをちょっと考えてみたいと思います。
 

■「IMEを使っていない」と答える人が実は多い

日本語入力システムの開発は、国内の企業であってもなかなか大変なこと。しかも、検索の会社であるバイドゥが日本語入力ソフトの開発を手がけているのか、不思議に思う方も少なくないでしょう。

しかし、よく考えてみると、普段何気なく使っているMS-IMEや他の日本語IMEも、提供している会社はそもそも日本の会社ではないことが多いのです。

しかも、我々が普段使っている漢字は、元はと言えばお隣の中国から輸入されたものであるということを考えると、中国最大のIT企業のバイドゥが日本語IMEを提供するのは、ある意味必然性のあったことと言えるかもしれません。

そもそもバイドゥは、インターネット検索サービス会社として10年前に中国で設立され、米・ナスダックにも上場しています。現在は、欧米マーケットよりアジア圏を主要ターゲットとしているそうですが、その動きの中で日本は2番目に重要な市場と位置づけられているのだとか。

2006年12月の日本法人立ち上げと同時に、日本市場向けに検索サービスをスタートさせましたが、検索でのキーワードを入力するのに少なからず関連する日本語IMEもユーザーの満足度向上のためには必要だと考え、09年に最初の文字入力システムを提供。2011年3月に、さらにパーソナライズ性に優れた日本語入力システム『Baidu IME』(Windows版)を公開しています。

バイドゥが行った調査によると、日本のWindowsユーザーの4分の3はパソコンにプリインストールされているMS-IMEをそのまま使っていて、何の不自由も感じていないと回答しているそうです。けれども、そうした人達のほとんどは「IMEを使ったことがない」とも回答しています。つまり、使っているのに、存在さえも知らない人がほとんどと言えるのです。

日本語IMEを変えるメリットとして、変換効率の差がありますBaidu IMEを使うと、「自然言語処理」によって、長い文章を入力した上で少ない操作で効率良く変換できるようになります(参考:2010年7月にBaiduが開催した「不自然言語処理コンテスト」)。さらに学習機能や辞書機能が備わっているので、一度変換した操作を記録して、次に候補として表示してくれます。数ある日本語IMEの中で、Baidu IMEのスタンスや特徴を、中の人は次のように語っています。

「日本語IMEはいろいろな種類があって、特徴もそれぞれ違っています。たとえば、各社が注力する「難しい漢字も正しく変換する」機能をさらに特化させたり、「大阪弁への変換」といった特殊なものもあります。そのなかでBaidu IMEでは、先に述べた中国市場で得た経験を元に、日本語解析技術に力を入れ、少ない文字数で候補を表示する予測変換がしやすく、さらにネットでよく使う話し言葉などを変換しやすくしています。そうした基本機能に加え、他にもオプションで辞書を追加したり、文字を変換する以外の機能も追加したり、拡張性の高さに加えて、ユーザーの生活や好みに合わせてカスタマイズできる点も特徴の一つになっています」

このあたりは、Baidu IMEのターゲットが「インターネットユーザー」を意識していることを示していますね。メールや検索、オークションやチャット、ブログなど、あらゆるサービスで文字を入力するシチュエーションが増えているから、いわゆる初心者ユーザーでも「ネットライフがより快適になる」ためのIMEという位置付けなのです。


■IMEの選択基準は「高機能」とは限らない

Baidu IMEの開発では、主にプログラミングと変換処理のアルゴリズム、辞書などの開発が行われていますが、特徴の一つとなる日本語解析技術にはかなり力を入れられているようです。そのあたりは、中国語と日本語は同じ2バイトで漢字を使うので開発環境が非常に近く、欧米よりも開発がしやすいのかもしれません。

世界で最大の人口を抱える中国には、中国語を入力するIMEが数十もあり、それぞれの企業がIMEの性能や機能を向上させたり特色を出して、なんとかユーザを獲得しようと、しのぎを削っています。

中国のユーザーは、各社から提供されているIMEの中からより優れたもの、あるいは自分にあったものを選択することができる環境なのだとか。IMEの選択基準として一般的と思われるのは、「変換効率」や「軽さ」ですが、ユーザーのニーズや評価基準の厳しい中国では「変換効率」や「軽さ」などの性能の他に、たとえばIMEのデザインスキンをカスタマイズできる機能などユーザーのニーズを満たすための努力が常におこなわれていのだそうです。「IMEを選ぶことを知らない」ユーザーがもっとも多い日本とは、ユーザーの考え方は違うのでしょうか?

しかし、バイドゥが行なった、日本のBaidu IMEユーザーへのアンケートでも、単に「変換効率」や「軽さ」などの性能の他に、使う人個人個人に合わせた機能などを求める声も多いのだとか。

普段使用しているペンなどの筆記用具が一人一人異なるように、日本のユーザーの中からも、ようやく自分の生活や好みにあった日本語IMEを望む声が上がり始めているのかもしれません。


■Baidu IMEが大切にしているものとは

IMEを選んで使う便利さは、文字をたくさん入力するユーザーや、いわゆるPC慣れした人にはすぐ伝わるものの、そうでない人に違いを実感してもらうのはなかなか難しいもの。特に初めてIMEを選ぼうとする人に多く共通する「選ぶ基準」があるのだそうです。

それは何かというと...。

最初に自分の名前を入力して正しく変換できなければ、そこで使うのをやめてアンインストールしてしまわれるユーザーが多いのです。それは日本に限らず中国語IMEでも同じ傾向が見られます。

Baidu IMEは中国語の変換についてはもともと優れていますから、中国人名はもちろん、日本人名についてもほぼ間違いなく正しく変換できるようにしています。Baidu IMEが大切にしているのは、ライトユーザーにも使うと便利だとわかる機能を提供することなのです。たとえば、予測変換の機能では、日本語に不可欠な敬語をできるだけ簡単に変換できるようにしています。

「ありがと」と入力すると「ありがとうございます」や「ありがとうございました」、「おせわ」と入力すると「お世話になります」「お世話になっております」というように、最初の数文字を入力するだけで定型文の候補をいくつか表示するように配慮されています。

この機能は年配の方に好評で、シニア向けのパソコンスクールで、Baidu IMEを使うようにしたところ、今までより少ない文字入力で丁寧な文章が書けるのでメールを書くのが楽しくなったというコメントも聞かれるのだそうです。

また、バイドゥでは今まで別のIMEを使っていたユーザがBaidu IMEを使い始めた時に、今まで使っていたIMEとの操作の変化が少なくなるよう、デフォルトの変換キーを押す回数を変更するなど、「劇的に機能がアップするのと引き換えに使い勝手が変わってしまうよりも、使い続けているうちに感じられる良さ」などにも配慮されています。

さらに、ネットで使うことを意識して、固有名詞やカタカナ変換が的確にできるよう、話題の有名人や新しいドラマ、映画などに関する辞書を常に更新し、ホットワードとして表示されやすくしています。また、1200個近くプリインストールされた顔文字のような、ユーザーの間で好評な機能は基本に加えていくようにしているのだとか。

一部の人だけが必用とする専門用語については、用途に合わせて辞書として追加可能にしていて、たとえばファッションブランド辞書を追加すると、「さまんさ」と入力すると、Samantha ThavasaやSamantha Vegaなどが候補に表示されるなど、使う人がカスタマイズできるようにしています。

こうしたオプションとなる辞書は、IT用語辞書やことわざ、四字熟語、といったビジネスなどでよく使いそうなものから、ワールドカップ開催に合わせたサッカー選手辞書などイベントに合わせたものなどもあり、随時追加されているそうです。

もちろん、基本となるサーバー辞書も次々登場する新しい用語を追加して、常にアップグレードされています。

まずはデフォルトの状態で、より多くのユーザーが快適に使えるようにすることを考え、「候補表示の数もいくつにするのが良いか」などの、細かな研究が進められており、更新時に取り入れられています。


■ネット時代の日本語IMEのカタチ

以前のIMEは、辞書も何もかもスタンドアロンなソフトで提供されるのが当たり前でしたが、今はクラウドが利用しやすくなったことやPC側の処理能力も上がったことで、パソコン側に辞書がなくてもストレス無く使えるスタイルが一般的になりつつあります。バイドゥでも昨年リリースされたVer2.3から、クラウド入力機能を搭載しています。新語や入力・検索されることの多いワードをネットから統計的に集めることができるため、人手をかけずに辞書データベースも構築できます。そう考えると、ネットが普及した今だからこそIMEは開発しやすくなり、それに合わせて選択肢が増えたともいえます。

さらに日本語IMEはパソコン以外にもスマートフォンやタブレットなど、あらゆるところでますます必要不可欠なものになっています。すでに登場している音声入力のように、キーボード以外の新しい入力方法が登場するかもしれませんが、それに対応したIMEが求められるなど、IMEの必要性はより高まっています。いままでIMEを意識しなかった人たちも、自然に自らのニーズに合ったIMEを選ぶようになるのかもしれません。

今後もいろいろなIMEが登場するかもしれませんが、使ってから判断するのが一番。まだ使ったことのない方は、無料で使えるBaidu IMEを新たな選択肢の一つに入れてみるのはいかがでしょうか。

バイドゥでは、昨年の12月に、アンドロイドマーケットで最大のダウンロード数を誇る、アンドロイド端末用の日本語入力システム「Simeji(シメジ)」を取得。PCのみならず携帯端末市場でもバイドゥの経験と技術が生かされたサービスが近いうちに登場する予定との話も。日本語IMEのこれからを考える上で、バイドゥの動向にも目が離せなくなりそうです。



Baidu IME 日本語入力システム

(野々下裕子)
 

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