稟議書なんかいらない? 稟議書を華麗に通す方法
稟議書。それは組織において必ず通らなければならない壁です。権限のある上司に対して決裁や承認を得るために必要になりますが、これがなかなか厄介なものだったりします。
数日で決裁が下りるところもありますが、会社によっては数週間に及ぶことも...。それを必要とする「目的」や「効果」などが明確でないと、なかなか通りません。私も以前いた会社で稟議書がなかなか通らず、悪戦苦闘したものです。
そんな面倒な稟議書ですが、ほかの企業に目をやると「なんでこんな企画が通ったのか」と不思議に思うことがあります。例えばライフネット生命など。保険会社なのになぜかモンスターハンターに関する意識調査を行ったり、生命保険を多摩川のハトに選んでもらったり。しまいには富士山の山頂で保険の見積もりをやってみたり...。
「なんでこんな企画が通るんだー」ということで、前回の記事でお世話になったライフネット生命の岩田さんに、稟議書の華麗な通し方を聞いてみました。
私はさっそく麹町にあるライフネット生命保険株式会社を訪ねました。普段仕事をしていて保険会社の人と接するのは保険外交員くらいなもので、なかなか保険会社に足を運ぶ機会はないでしょう。私は前職が金融(!)なので、ある程度の雰囲気はわかりますが、保険会社の社内はさぞコチコチな感じなのでは...と思っている方もいるかもしれません。
しかし、実際オフィスに行ってみると、カメラスタジオとして利用できるラウンジがあり、「あれ? ちょっとイメージと違うぞ」という印象を受けました。社内をキョロキョロ見渡しながら会議室に案内されると、岩田さんが登場。私はさっそく最初の疑問をぶつけてみることにしました。「どうしてあんな(失礼)企画が通ったんでしょうか?」
岩田さんによれば、稟議を華麗に通すには、以下の3つのことがポイントなのだそうです。
- ネタは常にストックしておく
- 社内の理解者を増やす
- 常に発信し続ける
1. ネタは常にストックしておく
手元に情報がなければ何も始まりません。例えば「次こんなことやりたい!」といったアイディアや、新しいWEB広告手法、コラボする相手企業の情報(媒体なら指標となるアクセス数など)を常にストックしておくことがポイント。特にWEB広告や媒体での企画では、クリック数やCPC、CPAなど、稟議を上げる前からシミュレーションしておくそうです。
常にストックしておくことで、事が起こってからリサーチして稟議を作成するよりも、スピーディーに対応(つまり、華麗に通すこと)ができます。
ちなみに岩田さんは、ただやみくもに情報をストックするのではなく「他社がやらないこと」、「他社ができないこと」、「他社がやりたくないこと」という目線で選んでいるそうです。ここに、ライフネット生命の自由な企画実現のキモがあるように感じます。
2. 社内の理解者を増やす
頭のなかに描いていても、アウトプットしなければ意味がありません。ネタがある程度固まったら、それを社内の人に理解してもらいましょう。その時、いきなり「俺はこれをやりたい!」というと周りが引いてしまいますので、徐々に理解者を増やしていくのが良いそうです。ライフネット生命にはたくさんの部活・サークルがあり、公私ともにコミュニケーションの場が存在します。そこを通じて「あいつは面白いことを考えるなあ」とか、「あいつならどんな企画をやってくれるだろう」と周りに思ってもらえれば、キャラ設定に成功したも同然です。
もちろん、たんに面白い企画を提案するだけではなく、その裏にある数字やロジックの面でツボを外さないようするのは言うまでもありません。
3. 常に発信し続ける
物事は、言い続けなければ始まりません。常日頃から周りに「俺はこんなことやりたい」ということを発信しましょう。周りに発信しておくと、色々な部署から声が掛かったり、同僚が参加してくれるようになって、それが企画に発展することもあります。
最近では社内専用のSNSを導入する所が増えてきました。岩田さんによれば、そのSNS内で「私はこれをやります」と宣言してしまえば、同僚からリアクション(いいね!など)が入り、それをせざるを得なくなります。その状況を作り出すようにするのがコツなのだとか。
ちなみに話はそれますが、岩田さんは社内SNS上でホノルルトライアスロン(水泳1.5kmのオリンピックディスタンス)に参加表明したそうです。しかも、今まで1.5km続けて泳いだことがない上での参加表明。「やらない言い訳は簡単です。宣言することが重要なのです。」とのこと。やらざるを得ない状況を作ることも重要なんですね。
では岩田さんに、稟議書とは何か? を聞いてみました。
「稟議書は必要書式。起案している段階で、すでに企画はスタートしていると考えています。稟議書は責任を持って企画を遂行する宣言書であり、そのための『必要書式』なのです。」
なるほど、起案する段階で考えているようでは遅いのですね...。「さあ起案するぞ」と言ってから始めるのではなく、常日頃からデータなどの情報収集と上司や同僚の理解を得ておく。それが稟議を華麗に通すコツなのかもしれませんね。
最後に岩田さんに、奥さんから(趣味に関する購入)稟議を通すハックを聞いてみました。
「それもやはり、朝晩常に『〇〇が欲しい』と言い続けることですね(笑)」
なるほど、おあとがよろしいようで。
(安齋慎平)
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