わらしべ長者的に話の面白い人になる方法!
素晴らしくもややこしい人間社会というものは、やはり人と人の会話を中心に回っているわけです。そして、数多くの人に会ってみると、驚くべきことに世の中には話の面白い人とそうでもない人がいることに気付きます。
特に、日本人同士のコミュニケーションパターンでは、初対面の人同士が突然わらわらと単刀直入な話を始めることがなかなかレアです。初顔合わせの人たちがたくさんいる状況だと沈黙が重くのしかかり、咳払い一つにも気を使うようなシチュエーションに遭遇することもあります。
とはいえ、大人になると初対面の人と会う機会も多いわけで、社交的な集いに参加する際にはそういう場面で使える、いわゆる「アイスブレーカー」と呼ばれる会話のネタの一つや二つを手みやげに持参することがけっこう重要だったりします。特に、どこの誰なのかがさっぱり分からない人たちと会話をする場合には、なるべく誰も不快にならないような内容の話が必要です。
では、面白い話というのはどうやったら仕入れられるのでしょうか?
まず、面白い話と一口に言っても、面白いかどうかの判断は至って主観的な問題であり、全員にウケる話というのは、ぶっちゃけこの世の中に一つもありません。よって、自然と自分が面白いと感じる話になるかと思います。そういった話をどうやって仕入れて来るかというと、人に教えてもらう、または盗んで来るのがベストな方法です。
とはいったものの、唐突に面白い話を他人に求めるのはさすがに社会人として憚られる場合が多いので、面白い話が聞きたい場合、まず自分が面白いと思っている話をなんでもいいのでどこからから探してきます。これを「ネタ1」とします。面白い(と自分が思う)話をしてみると、「面白い」の感覚が似ている人がそれを聞くと、その話を面白いと感じ、その人が知っている面白い話をしてくれる可能性がグッと上がります。この場合の面白いの定義は「笑える」でも「興味深い」でもなんでも構いません。
ここからが肝心なのですが、その人から面白い(とその人が思っている)話を聞き出せた場合、その話が自分の話よりも面白いかどうかを査定します。自分のネタの方が面白いと感じたら、なにもしません。引き続き、ネタ1を使い回します。
もし、その話が自分の話よりも面白かった場合、その話をそのままそっくり頂戴、または若干のアレンジを加え、これを「ネタ2」とします。ネタ2は、ネタ1よりも面白いので、より多くの人に受け入れられるはずです。そして、次の社交的な集いに行く時には、ネタ2を持って行きましょう。前回使ったネタ1も持っているわけなので、これでネタは2つに増えたわけです。
次に、この2つのネタを使ってさらに面白い話を誰かから聞き出します。この段階では自分にとっての最上の手持ちがネタ2なので、これよりも面白いと思われる話を誰かが教えてくれた場合、これを「ネタ3」とし、これもそっくりそのまま頂戴します。これで、ネタ3が自分の最上のネタ、サブのネタが2つと、ネタを3つ持つことに成功したわけです。この要領でわらしべ長者的に最上のネタを更新しながら、面白い話をどんどんストックしていきます。
ネタが増えてくると全てを覚えておくのは大変なので、ネタ帳的なモノに自分の今の最上ネタを常に書き込んでおくと良いかと思います。この手法でいくと、ネタを仕入れるたびに話の面白さのレベルは着実に上がっていくはずです。同じ話を何度か違う人にしていると、その話をするのが上手くなっていく自分に気付くこともあるでしょう。このような成長は、プレゼンなどの際にも役に立つかもしれません。また、ネタのストックができると、この人にはこのネタがウケる、この業界の人にはこのネタがウケるなどが、少しずつ予測できるようになります。さらに何度も話していると、自分の持っているネタは若い女性にはウケるが、年配の男性にはウケない、あるいはその逆、などの傾向があることに気付くかもしれません。これは進歩です。
こういった傾向に気付いたら補足しておきたいところですが、いずれにしても、一般的におっさんとして認識されている年配の男性が面白いと思うであろう話、通称「おっさんウケする話」は外さずに持っておくと良いかと思います。社会の階段を順調に登って行きたいと考えている人であれば、この「おっさんウケする話」、もっと言うと「おっさんにだけは絶対にウケる鉄板ネタ」と言うのは特に重要です。というのも、彼らは社会に戻ればそれなりに権限のある人だったりするので、気に入ってもらえて損をすることはさほどありません。運が良ければ仕事を振ってくれたり、人を紹介してくれたりします。
また、率先して話をしていると覚えてもらいやすくなり、しばらく話して名刺交換した人が違うパーティーに誘ってくれたりと、色々と得をする場面も増えてきます。そのようなパーティーに参加した際に、その人が自分を他人に紹介する時に、「こいつ面白いんだよ〜」とハードルを上げてしまうという迷惑行為を働くこともありますが、その頃までにはネタもかなり増えているはずなので、なんとか乗り切りましょう。
とここまで話したので、参考までに僕が一時期頻繁に使っていた「冷蔵庫に象を入れるための三つの手順」というネタをご紹介しておきます。
このネタは、
「冷蔵庫に象を入れたいのだけど、それを三つの手順で行なわなくてはなりません。さて、どうしたらよいでしょうか?」
という至って単純なクイズです。
ここで多くの人たちは「大きい冷蔵庫を買って来る」とか「小さい象を見つけて来る」とか「象の鼻を折り曲げる」と言います。しかし、手順が三つまでしか許されていない以上、そんなことをやっている暇はありません。
これは、中島らもさんの「ガダラの豚」という小説に書いてあった話なのですが、どういうわけか僕の周りにいるデザインを職業とする人たちは瞬時に正解することが多いです。
気になるこのクイズの正解は、
- 冷蔵庫を開ける。
- 象を中に入れる。
- 冷蔵庫を閉める。
というシンプル極まりない三つの手順となっています。
これだけでもなかなかウケが良い(憤慨する人もたまにいらっしゃいます...)のですが、このネタの優れたところは、二段構造になっているところで、実はこのネタには「冷蔵庫にキリンを入れるための四つの手順」と言う続編があります。
これは象の時と同様、
「冷蔵庫にキリンを入れたいわけですが、今回はそれを四つの手順で行なわなくてはなりません。さて、どうしたらよいでしょうか?」
というものです。ちなみに「続編」というのがこのネタのポイントです。
このようにネタをいくつか用意し、自分の手持ちの最新ネタ(=最上ネタ)を中心に色んな人と話をし、常に面白いネタがないかどうかを探し続けていると、新しいネタはそのうち必ずやってきます。わらしべ長者的に面白い話をどんどんレベルアップさせながら増やしていくことは、その気になればさほど難しくないということが分かっていただけたでしょうか?
とはいえ、あくまでもこの手のネタはアイスブレーカー、または潤滑油的なものであり、それがメインになると芸人になってしまうので、注意が必要です。
最後になりましたが、「冷蔵庫にキリンを入れるための四つの手順」の正解は......
- 冷蔵庫を開ける。
- 象を冷蔵庫から出す。
- キリンを中に入れる。
- 冷蔵庫を閉める。
でした。
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(まいるす・ゑびす)
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