料理は化学実験! ライフハッカー書評『Cooking for Geeks』
編集委員のひらたです。9月、各地で台風が大変でしたが、下旬になって涼しくなり、過ごしやすくなってきました。いわゆる秋の到来ですね。読書の秋、いや、食欲の秋でもあるのですが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。
わたしは最近、ちょっと料理なるものに手を出しています。コンピューターばっかりやって時間が足らないなあ...と思っていた20代には決して手を出しませんでした。そんな20代のある日のこと、いまやMITメディアラボの所長さんになってしまったジョーイさんが「ぬか床」のメンテナンスの話をしている際、「平田くん、料理は化学実験みたいなものだから」と言われたのは妙に印象深く覚えています。
仕事も急がしく、料理だけには手を出すまいと思いつづけて、あれから10年以上経ちました。いま、手にとっている本のタイトルは『Cooking for Geeks』。まさに、読書の秋と食欲の秋を両方満たすギーク向けの本といえるでしょう。邦訳が出ると聞いて早速予約しました。先日届いて、いま楽しく読んでいるところです。
ということで本の書評でもしようかと思ったのですが、届いてみてびっくり。索引もいれると400ページ以上もあります。全部読みきるのも、料理を試してみるのもちょっとムリだなあとあきらめて、流し読みして気になったところをピックアップしつつ、この本の魅力を紹介してみたいと思います。
最初の章のタイトルが「ハロー、キッチン」。キッチンは世界ですね。まずは料理の世界の基本が紹介されています。料理の世界について、f(g(x)) != g(f(x))...つまり順序は重要だとか、味 == フィードバックといった風に、非常に興味深い表現で説明してくれています。
2章は「キッチンの初期化」。道具の使い方だけでなく、整理方法などもしっかり書かれています。わたしは片付けができないのですが、上手に料理をするために道具を探すコストをO(1)にする方法なども紹介されています。
Photo by dh.
3章は「入力の選択」。インプットするのは食材ということで、風味と食材について書かれています。だんだん難しく、匂いについての化学物質の話とか、食材の品質など、非常に多くのページを割いて詳しく解説しています。非常に参考になったのですが、それ以上に気になったのが、この章にあったコラム「レゴでアイスクリームメーカーを自作する」というもの。これを試すためにレゴを買いにいこうかと思ったほどです。
4章になって、やっと料理っぽい話が「時間と温度」についてです。食中毒とその予防法については、加熱することの意味やその反応だけでなく、細菌と温度の関係やどういう状況だと増殖しやすい(=痛い目に遭いやすい)のか、逆にどうすれば食中毒を防ぐことができるのか、具体的に書かれていて勉強になりました。殺菌のための温度管理と時間が重要なのですね。
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5章は「空気」焼き菓子などについてです。グルテンとかイーストとかベーキングパウダーとかいろいろ書かれているのですが、この章ではギークに欠かせない「ピザ」について、その作り方が書かれています。
早速試そうと思ったら、ピザストーンなるものを使えば、家庭でも上手に焼けるとのこと。その存在自体を知りませんでしたので、早速探すための旅に出たいと思います。ちなみにレシピを読むと、アメリカンなピザのようです。また、C++プログラマを辞めて自分でピザ屋を始めたというジェフ・バラサーノさんのインタビューもとても興味深いです。ピザ焼きは芸術であると言いつつ、最適点をひとつ見つけるための多変数アプローチであるということにも合意するという話は、この本ならではなんでしょうね。
6章は「食品添加物の使い方」です。塩や砂糖といった伝統的なものから化学的に合成されたものまで、幅広く紹介しています。この章で紹介されていたプリザーブドレモンはとても気になりました。機会があれば作ってみたいですね。また、砂糖が安価な殺菌剤になるという話も初めて知りました。これまた勉強になります。
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7章は「ハードウェア」の話。まず、「真空調理法」が紹介されています。この章で紹介されている真空調理法でつくるビーフステーキ、写真もなく文章だけで見ても美味しそうです。そういえば、大学のときに真空を扱う実験を毎日のようにしていたのですが、あれを料理に応用しようとは、当時は全く思いつきませんでした。
液体窒素のほうも、いろいろな使い道があったのかというくらいしっかり調理法が紹介されていました。この章でもピザの紹介があったのですが、こちらは高温で焼く薄いピザ。400度で焼き上げる薄いピザが紹介されているのですが、これってイタリアのピザの伝統的な方法ですね。ああ、やっぱりピザが食べたくなってきました。
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この本で紹介されている「夕食を焦がすことを恐れるな」という料理習得のコツは、失敗のプレッシャーによるネガティブループを回避する上で重要ですね。これは、あらゆることに通じると思います。「プログラマが新しい言語を習得するときと同じようなことをすればよい」というのも、とても勇気づけられる言葉だと思いました。
ということで、書評を書きながら、まずはピザ生地を作るべく、コネコネしてみたところです。いい具合に膨らんできました。いまはお腹がいっぱいなので、焼くのは後日。しかし、どうにかしてピザストーンを入手しなければならない気になってきました。はい。
(ライフハッカー[日本版]編集委員・平田大治)
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