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ライフハッカー編集部  - ,,  09:00 PM

現在のAIを超える「汎用型AI」はいつ誕生するのか

現在のAIを超える「汎用型AI」はいつ誕生するのか

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Popular Science:今どきの人工知能(AI)の能力には恐るべきものがあります。チェスや囲碁のような複雑な頭脳ゲームでも、世界チャンピオンを破る力を持っていますし、クイズ番組の『ジェパディ!』でも、人間の回答者を寄せ付けず、最高金額を獲得しました。膨大なデータを人間に代わって分析し、ドライバー不要の自動運転車を操り、音声コマンドに対応し、さらには、インターネットで検索した単語についてさらに掘り下げた答えを返すことまで可能になりました。

このようにAIが日進月歩で発達するにつれて、「ロボットに任せられない仕事」はどんどん少なくなっています。少なくとも、イーロン・マスク氏はそう考えているようです。マスク氏は先日も、AIに侵食される労働市場で人間が競争力を維持するためには、脳をデジタルの力で強化する必要があると述べました。

ただし、もしあなたがAIに仕事を奪われたとしても、その理由は、「あなたの脳より優秀なAI」が科学の力で開発されたためではありません。少なくとも全体的な機能では、今でも、人間の脳のほうがAIより上です。これまでのAIにおける進歩のほとんどは、特定の問題を解くという限られた分野で達成されたものです。こうした「狭い」AIは、オススメの楽曲を選ぶとか、ドライバーの運転のクセから安全度を診断するといった、特定のタスクに関しては素晴らしい能力を発揮します。それでも、人間の思考全体をシミュレートする汎用型AIに関しては、まだまだ道は遠いというのが現状です。

「AI開発のごく初期には、より汎用的なアプローチに関する議論が数多くありました。異なる種類の多くの問題を解決する(中略)システムをつくろうという高い目標を掲げていたのです」と語るのは、ミシガン大学工学部教授でコンピューター科学を専門分野とするJohn Laird氏です。さらに、「その後の50年間、AIは専門分野に特化する方向に進化してきました」とLaird氏は指摘します。

とはいえ、AIの能力を生かして、言語の理解や刻々と変化する環境への適応といった、より複雑なタスクに対応させる研究も進んでいます。香港のロボットメーカー、Hanson Roboticsの創業者で最高経営責任者(CEO)を務めるDavid Hanson氏も、「何より興味深いのは、コンピュータのアルゴリズムが、より汎用的な分野で日に日に賢くなっている点です」と述べています。Hanson氏は、目を疑うほど人間そっくりなロボットを製作してきた開発者です。

また、このような汎用型AIが、将来的にはどのように応用されるかという点に注目し続けている人たちもいます。Laird氏によれば、彼らが興味を持っているのは「一般に人間特有とされている能力を持つシステムをどうやってつくり出すか?」という点です。


汎用型AIがいまだに生まれないのはなぜ?


汎用型AIに関しては、いまだに、誰もが納得する単一の定義は存在しないのが実情です。スマートフォンのセンサーが集めた運転データを分析するサンフランシスコの企業、Zendriveの創業者兼CEOのJonathan Matus氏はメールでの取材に対し、「哲学者なら、汎用型AIには、真の意味での意識が必要なのか、それとも意識のシミュレーションで良しとすべきかについて議論するはずです」と答えています。

とはいえ、要するに「人間がやっていることをするのが汎用型AI」だと簡潔に説明するのは、ワシントン州シアトルにあるアレン脳科学研究所でCEOを務めるOren Etzioni氏です。「今のところは、6歳児どころか、3歳児の能力に匹敵するコンピュータさえ生まれていません。汎用型AIにはまだまったく手が届いていない状態です」というのが、Etzioni氏の現状認識です。

人間と同じように思考する汎用型AIは、知識を集約し、それを生かしてさまざまなタイプの問題を解決する能力を持つものになるでしょう。ロボット開発者のHanson氏も、「汎用型AIの最も強力なコンセプトは、適応性を持つ点だと思います」と指摘しています。「人間の場合、靴ひもの結び方を覚えたら、ほかの場面にもこれを応用し、別の結び方でひもを結ぶことができるはずです。もし、人間と会話できるAIが生まれたら、そのAIは"お店に行って牛乳を1パック買ってくる"という言葉の意味もわかるはずです」

汎用型AIと呼ばれるからには、常識や、日常的に必要となるさまざまな背景知識を身につけている必要があると、Laird氏は述べています。「新しい問題に直面しても、試行錯誤の末に解決できる能力を持たなくてはなりません。また、これまでの経験に関する記憶も保持している必要があります」

「さまざまな質問に答えられるAI」は、これまでも開発されてきました。その一例が、IBMの「Watson」です。Watsonは2011年にクイズ番組『ジェパディ!』で人間の元チャンピオン2人を相手に勝利を収めました。「こうしたことができるためには、たくさんの汎用的な能力を備えていなければなりません」と、Laird氏は述べています。

今ではWatsonも多様化し、医療に関する診断やビジネスミーティングの運営補助、非常に賢いAIをテーマにした映画の予告編作成など、個別の業務に特化した形に発展しています。それでも、「人間のような完璧な適応力はなく、人の能力に肩を並べたとは言えません」と、Hanson氏は言います。

我々は汎用型AIに関して、まだその青写真を描いている途中という状況です。「これらの(人間にしかない)能力すべてを定義すること自体が、問題の1つなのです。それがわかれば、次は、これらの能力をシームレスに統合し、つじつまの合った行動を生み出すにはどうしたら良いのか? という問題を考えることになります」と、Laird氏は解説します。

現時点で、AIは一種のパラドックスに直面しています。「人間にとっては非常に難しいタスク、たとえばトップレベルの囲碁やポーカーをプレーするといった課題なら、マシンにとっては比較的容易にこなせることがわかってきました。一方で、目の前に置かれた物が何かを判別するとか、母語を話すといった、人間には難なくできることで、AIはつまずいてしまうのです」とEtzioni氏は指摘します。

チェスや囲碁をプレーするAIシステムの構築に用いられる戦術は、実世界への対応にはそれほど適していません。現実の世の中はゲームと違い、厳密なルールに従って動いているわけではないからです。「チェスの得意な"ディープ・ブルー"や、囲碁に特化した"AlphaGo"のようなシステムは現在でも存在しますが、これらのシステムに対して、"よし、これから三目並べをやろう"と言って、できるかといったらそれは別問題です」とLaird氏は言います。「狭い用途に特化したAIだけでは対処できない種類の学習があるのです」


SiriやAlexaはどれほど人間の思考に近い?


また、人間が話しかけた言葉の意味を理解できるAIの構築も、非常に難しい課題の1つです。「自然言語の理解は『AIの最終到達点』とも呼ばれるほどです。つまり、これが本当の意味で実現できれば、AIに関する問題をすべて解決したと言えるということです」と、Etzioni氏も述べています。

一方、SiriやAlexaのようなバーチャル・アシスタントの分野ではかなりの進歩が見られます。「これらのシステムには、まだまだ改善の余地はありますが、汎用型AIという課題に取り組みはじめたところとは言えるでしょう」とLaird氏は述べます。とはいえ現状では、「ある質問に関するやりとりが終わったら、次に別の質問をする、といったことの繰り返しで、今話している話題について、人との間で共通理解を育むというところまでは至っていません」というのが、Laird氏の評価です。

これはつまり、バーチャル・アシスタントには、自ら会話を展開していくだけの力はないということです。Etzioni氏も「こちらが言っていることの意味を真に理解しているわけではありません」と指摘します。「これは会話ではないですし、背景知識もありません。その結果(中略)システムが人間の言葉を誤解し、思わず笑ってしまう勘違いをすることもしばしばです」

口語体のくだけた文章からその意味するところを引き出すのは、AIにとっては非常に困難なタスクです。各単語に意味があるだけでなく、語順や、その文章が語られた文脈も意味に影響を与えます。「言葉をもとに、その中にある問題の本質を読み取り、問題解決に用いることができるためには、たくさんの課題が残っています」とLaird氏も認めています。

AIによる自然言語理解の精度を上げるために、Etzioni氏は研究所の同僚とともに、AIを標準テストにかけ、その能力を測定する試みを行っています。これはいわば、AI版のSAT(大学進学適性試験)のようなものです。Etzioni氏によれば、「これはマシン向けの知能テストのようなものだと考えています。しかも、現状ではマシンの成績はあまり良くありません」とのことです。

Etzioni氏によれば、このテストの設問は、チューリングテストよりもマシンの知的能力をより的確に把握できるといいます。チューリングテストであれば、チャットボット的なソフトであっても、小手先の技を使って「合格」したかのように装うことができます。

Etzioni氏はこのテストの狙いについて、「高度な会話に参加し、複雑な質疑応答に対応するには、言語の基礎を押さえているだけでは不十分です。そうした能力は、背景知識や、結論を導き出す能力と密接に結びついているのです」と述べています。

仮にあなたがこのテストを受け、「植物を日の当たらない部屋に移したら何が起きるでしょう?」という質問を提示されたとしましょう。まずは、質問を読み解くために、言語理解力が必要になります。さらに光合成に関する科学的知識も必要です。それに加えて、多少の常識も必要でしょう。「光合成を行うのに光が不可欠なのであれば、暗い場所に置かれた植物は生きていけない」という理屈を導き出すのは常識の力です。

「形式的に光合成とは何かを知っているだけでは十分ではなく、その知識を現実世界に当てはめる能力が必要です」と、Etzioni氏はこのテストについて説明しています。


汎用型AIは人に近い姿であるべき?


研究者たちは、人間の脳に関する知見を活用して、AIを大きく発展させてきました。Laird氏も、「心理学や神経科学で解き明かされた人間の脳の仕組みから多くを学べば、AI研究の方向づけに大いに役立つはずです」と述べています。

AIに関する有望なアプローチの1つ、ディープラーニングも、人間の脳内にあるニューロン(神経細胞)の構造にヒントを得たものです。ディープラーニングでは、ディープニューラルネットワークが人間と同等のデータを集め、パターンを導き出します。これにより、予測や判別といった作業が可能になります。誰かが発した言葉が「P」なのか「B」なのか、あるいは写真に写っているのは猫と犬どちらなのか、といった区別が可能になるわけです。

「こうした判別において、ディープラーニングのマシンは非常に良い成績を出しています。おそらくパターン認識能力は、すでに人間を超えていると考えられます」と、Etzioni氏はその能力の高さを認めますが、「ただしこれも、汎用型AIの条件としては、ごくわずかな部分を満たしているに過ぎません」と釘を刺しています。

結局のところ、人の思考は身体の内部に生まれる感情に基づいており、体内を流れるホルモンや身体が感じる感覚などに影響を受けています。「こうした要素すべてに関して、現実味のあるシミュレーションをつくり出せるようになるには、まだかなりの時間が必要でしょう」と、Hanson氏も認めています。

人間の思考回路にヒントを得たAIを構築できる日も、いつか訪れるかもしれません。とはいえ、こうしたAIは、人間と同じ仕組みで動くわけではありません。飛行機だって、鳥とは違って、空を飛ぶのに翼をはばたかせるわけではありません。「人間が発明した飛行機は確かに空を飛びますが、飛行を実現するため用いられている技術は、鳥とは全く異なります」と、Etzioni氏は指摘します。

そうは言っても、感情のような、特に人間らしい特徴をAIに持たせたいという考え方もあるでしょう。「この世の中を動かしているのは人間ですから、人を理解し、うまく付き合えるAIがいれば、非常に役立つはずです」とHanson氏も述べています。同氏は、人を思いやる共感機能を持ったロボットの開発に取り組んでいます。汎用型AIの構築において、感情は欠かせない要素だというのが、Hanson氏の考えです。

加えて、汎用型AIの姿が人間に近づけば近づくほど、その仕組みが人間にとって理解しやすくなるというプラス面もあります。「まったく人間に似ていない、非人間型のAIをつくったとしても、汎用型AIの特徴として何を求めたら良いのかわからなくなってしまうでしょう」と、Hanson氏は指摘します。「私がさらに懸念しているのは、人と似ても似つかないAIを信用できるか? という問題です。AIの側も、人間を信じてくれるでしょうか? 両者は良い関係を築けるのでしょうか?」


汎用型AIの完成はいつ?


では、汎用型AIにはどんな使い道があるのでしょうか? 今でも特化型のAIは、特定の問題の解決に使われています。これに対して汎用型AIは、人間がより速く的確な判断をするための手伝いをしたり、多様なスキルを必要とする複雑な問題に取り組んだりする助けになるものです。「今あるシステムは、みなさんが思うほど洗練されたものではありません。もし真の汎用型AIがすでに生まれていたら、至る所で人の命を救っているはずです」と、Etzioni氏は現状を明かしています。

研究者向けの検索エンジンとしては、アレン脳科学研究所が開発した「Semantic Scholar」がありますが、同研究所のEtzioni氏によると「こうした検索は、特化型AIを使っているとは言え、研究者の求める水準にはまったく達していません」とのことです。同氏は未来の汎用型AIの役割について、「研究者アシスタントのような使い方が考えられるでしょう(中略)。気候変動や癌、スーパー耐性菌など、人類が抱える最大級の難問を科学者が解決する手伝いをするわけです」と想像しています。

各国政府へ戦略に関する助言を行うことも可能だと言うのは、ZendriveのCEOを務めるMatus氏です。「火星へのミッションや、大がかりな選挙キャンペーン、あるいは上場企業の敵対的買収といった、非常に複雑なプロジェクトの計画や実行にも利用できるはずです」と、Matus氏は例を挙げています。

さらに一般の人々も、日常生活で汎用型AIの恩恵を受けられるかもしれません。お年寄りや障害のある人たちの補助やカスタマーサービスの改善のほか、家庭教師役を務めてくれる可能性もあります。「AIが学習アシスタントを務めるようになれば、あなたの弱点や得意分野を見つけ出し、ステップアップの手助けをしたり、能力を伸ばすためのプログラムを計画したりしてくれるでしょう。AIが夢の実現に向けて後押しをしてくれるわけです」と、Hanson氏は未来の応用例を語ってくれました。

とはいえ、今述べたような未来が実現するのは、まだ先の話です。「現状は、まだ6歳児レベルの知的能力にも(中略)ほど遠い状況です。まして、完全に人間と同等のAIや、超人的なAIなどは言わずもがなです」と、Etzioni氏は指摘します。AIの分野をリードするキーマンを対象に同氏が行った調査では、人間を超えるスーパーAIの誕生までには25年以上かかるというのが、大半の回答者の見解でした。「予測できる範囲の未来に、人間と同レベルのAIを実現するのは難しいということで、大多数の研究者の見解は一致しています」と、Etzioni氏は述べています。

汎用型AIに関してはいくつか懸念の声も上がっていますが、知性を持ったマシンが反乱を起こす心配はしなくてもよさそうです。「人間を超えるAIや"ターミネーター"的なシナリオが現実となる可能性については、私はそれほど心配していません。正直、あまりに荒唐無稽だと思っています」と、Etzioni氏は述べます。「一方で、AIが雇用や失業に影響を与える恐れは確実にあると思います。特化型のシステムでも、すでにそうした現象は起きていますから」

あらゆるツールと同様に、汎用型AIには悪用される危険もあります。「こうした技術を、政府や研究機関、民間企業が手にした場合、大きな不安定要因になる可能性はあります」とMatus氏も指摘します。その対策としては、「社会の安定を維持し、人間に新たな収入源や仕事をもたらすよう、よくよく考え抜いた上で政策やシステムを構築する」ことが重要だと、Matus氏は提言しています。「狭い」AIでさえも労働者を失業に追いやる可能性があり、こうした問題への対策として、すべての国民に対して無条件で現金を支給するベーシックインカムなどの構想が検討されています。

最終的に科学者が目指しているのは、AIを強化してより汎用性の高いスキルを身につけさせ、さらに人間にとっての有用性を高めるということでしょう。「汎用型AIが生まれたとしても、当初から映画『アイ,ロボット』のような世界が実現することはないでしょう。最初はSiriのように、人の能力を向上させ、手助けするものになるはずです」とLaird氏は述べ、このように付け加えました。「AIが人間と競争するのではなく、人の能力をさらに伸ばすものになって欲しい。それが私の願いです」


There are two kinds of AI, and the difference is important|Popular Science

Kate Baggaley(訳:長谷 睦/ガリレオ)
Photo by Shutterstock.

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