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印南敦史  - ,,,,,  06:30 AM

「文春砲」はなぜ生まれる? 週刊文春編集長が明かす、企画と発想のポイント

「文春砲」はなぜ生まれる? 週刊文春編集長が明かす、企画と発想のポイント

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「人に会い、情報を集め、交渉し、わかりやすく伝え、人の心を動かす」という我々が日々行なっているこれらの作業は、他の仕事にも通ずる。雑誌の編集長というと特殊な職業のように聞こえるが、実際はそんなことはない。仕事の本質、核の部分は、他の職業と全く変わらない。むしろ、ビジネスの根幹である「人と人の関わり」を究極的に濃密に日々行なっているのが我々の仕事なのだ。(「はじめに 私が『仕事術』よりも大切にしていること」より)

『「週刊文春」編集長の仕事術』(新谷 学著、ダイヤモンド社)の序文には、こう書かれています。さらに印象的なのは、スキルやノウハウを意識してきたわけではなく、とにかく仕事に「体当たり」してきたという記述。そのような姿勢を貫いているからこそ、「文春砲」を連発できるのかもしれません。

「情報/人脈」「企画/発想」「依頼/交渉」「組織/統率」「決断/覚悟」「戦略/本質」というテーマごとに、経験に基づく考え方を述べた内容。きょうは週刊文春ならではの企画力の秘密を明かした第2章「予定調和はおもしろさの敵である 企画/発想」に焦点を当ててみたいと思います。



みんなが右と言っているときに左を向けるか


著者は自身の仕事について、「真面目な人、オーソドックスな感性の人にはあまり向いていない」と書いています。誰もが考えつくようなことを口にしても、「それはそうだよね」で終わってしまうだけ。それでは、お金を払ってもらえるようなコンテンツをつくるのは難しいということです。

みんなが「右だ右だ」といっているときに、「ちょっと待てよ、左はどう?」といってみたり、まったく思いもよらないものを提案する。みんなと同じ方向だとしても、さらに突き抜けるパワーを持ったアイデアを出す。そういったセンスが求められるというのです。

例えば、ショーンKさんの記事も、みんなが右を向いているときに左を見ることで生まれた。彼がフジテレビの「ユアタイム」のキャスターに抜てきされると聞いたとき、多くの人は「ついにここまできたのか。すごい出世だな」と思ったことだろう。「超イケメンで、ハーバードMBAで、ニュースの顔。天は何物まで与えるんだろう」と。(中略)しかし、ふと思ったのだ。
「ちょっと、できすぎじゃない?」
(56ページより)

このように、「ちょっと待てよ」という違和感がスクープを生み出すきっかけになることがあるというのです。新聞やネットに書いてあることをそのまま、右から左に「こんなことが書いてありました」では企画にはならないわけです。

「こんなことが書いてあったが、こういう切り口で料理すれば、おもしろくなるのではないか」と考えること、それが企画だと著者はいいます。「○○がいま流行ってます」ではなく、「流行っている現象を誰かに批評してもらう」もしくは「その流行の背景にはこんな事情がある」など、独自の切り口で提案すれば企画になるとも。

ひとつの事象でも、いろいろなアプローチがあるもの。そして大切なのは、「うちの読者がいちばんおもしろがってくれるのは、どんなアプローチだろう?」と考えることなのだそうです。(56ページより)


「ベストな選択肢」から逃げるな


企画を考えるうえで大切なのは、常に「ベストの選択」をすること。「この人を落としたらすごいぞ」「このネタが形になったら世の中ひっくり返るぞ」と思ったら、そのベストの選択から絶対に逃げないことが大切だということです。

そう考える著者はなにごとも、「こうなったらどうしよう」と心配するよりも、まず「こうなったらおもしろいな」と考えるのだそうです。仕事の上でもあらゆる局面で「ベスト」と「ワースト」、2つのシナリオを描くものの、まずベストの内容を吟味するというのです。

つまり、「いちばんうまくいったら、最高の到達点はどこなのだろう」とイメージするということ。もちろんリスク管理のため、その一方で「最悪だったらどうなるか」を考えることも重要。そして現実は多くの場合、だいたいその間で起こるものなのだといいます。

週刊文春で大切にしているのは、「これは本当か嘘かわからないけど、本当だったらすごいぞ」というネタに積極的に取り組むことだそうです。しかし当然のことながら、「やらせて見たらダメだった」ということも山ほどあるのだとか。ガセだったり、さんざんお金を使って、時間をかけても、結局は詰めきれないということもあるということ。

組織というものは、規模が大きくなればなるほど「結果が読めない」ものに対して臆病になってしまいがちです。売上が立つのかどうかわからないものに投資することを嫌うわけですが、実は「読めない」からこそおもしろいのだと著者は主張します。

逆に、出版をはじめとして、あらゆるものづくりの現場に財務的な発想が入ってくると、とたんにうまくいかなくなるもの。「開発費をこれだけ先行投資して、ヒットしなかったらどうするんだ!」と責め立てられるような組織では、いま当たっているものの延長線上にしか新商品は生まれないわけです。

しかし、誰も考えつかないようなことにドーンとお金をかけ、それが当たったときの先行者利益は莫大なもの。つまり、そこの勝負ができるかどうかが試されるという考え方です。とはいえ当然ながら、そのような手法はリスクとの裏返しでもあります。突拍子もないことを本気でやり続けたからこそ、問題になって担当から外されたことも少なくないのだとか。

私の編集者人生は、やりたい放題やって最後には粛清される。その繰り返しだ。ずっと変わらないのは「ベストの選択」から逃げないということだ。仕事を続けていると、ついつい「現実的なもの」「それっぽいもの」をやりがちになる。そうではなくて、「こうなったらすごいぞ」というワクワクする気持ちを忘れないこと。その気持ちがいずれ奇跡を生み出すのである。(75ページより)

この考え方もまた、さまざまな仕事についていえることではないでしょうか?(71ページより)


私の雑誌づくりにマーケティングの文字はない


著者は、「私の雑誌づくりのなかに『マーケティング』という文字はまったくない」と断言しています。他の雑誌はともかく、少なくとも週刊文春の場合は、いろんな人に「どういう記事を読みたいですか?」と聞いて回ればいいかといえば、それにはほとんど意味がないというのです。

なぜなら、それをしても、いままでに見た「おもしろかったもの」をベースに語られるだけで、新しいものは生まれないから。求めているのは「見たこともないもの」であり、「誰も予想がつかないもの」。だから、マーケティングをしてもほとんど意味がないというわけです。

もちろん、「女が嫌いな女」などのアンケート企画をやると世間の傾向は見える。(中略)ただ基本的には、おもしろいもの、ビックリするものを求めているため、マーケティングは役に立たないのだ。
「読者ターゲット」についても、それぞれ媒体によって考え方があると思うが、週刊文春については性別や年齢層などはあまり考えない。そうではなくて「文春的な切り口、文春的なテイストが好きな人たち」がお客様だ。雑誌というのは、ものすごく人間臭いメディアだ。編集長以下、作っている人間の性格や感性、人間性も含めていろんなものがにじみ出てくる。それをおもしろいと思ってくれる人、「肌が合うな」「共感できるな」と思ってくれる人たちが読者だと考えている。(77ページより)

そのため、従来のマーケティングのようにカテゴリー分けしすぎると雑誌はつまらなくなるといいます。「年配向け」を強く打ち出してしまうと、若い人がいなくなってしまう。逆に、若者に無理やり軸足を持っていくのもカッコ悪い。そのため、「読者層」という考え方に引きずられないようにしているというのです。

AKB48もやるし、年配の方が好みそうな健康企画もやる。なんでも「雑」に入っていることが雑誌のおもしろさだということです。

だから「読者層」という考え方はしないものの、もちろん「読者はお客様であり神様」。ただし、それは「媚びる」という意味ではないとも主張しています。読者に迎合的になるのではなく、「我々が最高におもしろいと思ったものをお届けします」ということ。それを料理にたとえるならば、養殖モノではなく新鮮な天然モノ。それをさばく腕を信頼開いてもらえるかどうかが勝負どころだというわけです。(75ページより)




「常にスリリングな話題を提供してくれる『週刊文春』はどのようにつくられているのか」「いったい、どんな人がつくっているのか」という思いを抱いている方は決して少なくないはず。その問いに対する答えは本書のなかにあります。読み応えのある内容なので、多くのことを吸収できるでしょう。


(印南敦史)

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