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ライフハッカー編集部  - ,,,,  10:00 PM

「分娩台から、こんにちは」女性ファンドマネージャーが妊娠中に男性と社会に感じたこと

「分娩台から、こんにちは」女性ファンドマネージャーが妊娠中に男性と社会に感じたこと

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分娩台から、こんにちは。

私は33歳までリクルートで新規事業立ち上げや人事マネージャーとしてがむしゃらに働き、在職中にインクルージョン・ジャパン株式会社(通称ICJ)を設立。リクルート退職後は、ICJにてベンチャー企業が活躍する支援を行なっています。

具体的には、これから新しく起業をしようとしている人に対して、どのような事業戦略を立てていくのか、どうやってお客様にサービスを届けるのか等の相談にのったり、新しくサービスを生み出すにあたって必要な資金を出資したり、時には孤独な経営者の相談相手になったり、ということをやっています。また、大手企業のイノベーション支援として、新たな事業が生まれるお手伝いもしています。

さらに2014年12月にICJ1号ファンドを設立したことで、ベンチャー企業を資金面でより支援できるようになりました。現在も、日本では数少ない女性ファンドマネージャーとして活動しています。

これからの文章は、そんな私が妊娠をきっかけに感じた、働く女性とその周りにいる方々に伝えたい、「妊娠」にまつわる気持ちです。妊娠してから出産まで少しずつメモ書きをしていたものを、息子が先日1歳になったのをきっかけに、まとめてみました。


0. 分娩台(陣痛分娩室)にて


分娩室から、おはようございます。1時41分から始まった痛みも、かなり強くなってきました。
辛い。

これからの話は、妊娠までと妊娠後出産までの話を、赤裸々に書いたものです。


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当初、この序章をもう少し長く分娩台で書く予定でした。しかし想定より陣痛の進みが早く、この文章を書いた直後に破水もはや文章を書くどころではなくなったため、短文となってしまいました(この先の文章は、妊娠中に書き進めていたものです)。


1. 妊娠まで:無神経な男性に対する苛立ち


そもそも、妊娠するまでの気持ちを振返ってみると、32歳までは、「子どもを生み育てる」ということに実感も希望も、まったくありませんでした。むしろ、自らどんな人生を歩みたいのかが中心であり、大好きな仕事をとことんやり切る、やり尽くす、成し遂げる、そのために日々がむしゃらに働いてきました。そして幸いなことに順調にキャリアも積み重ね、大変だけど充実した毎日を過ごしていました。本当は多少、子作りを意識したこともありましたが、仕事の状況を考えるとそんな余裕はなく、その感情には気づかなかったふりをして、無視し続けてきました。

ところが32歳を超えたとき、自分自身、そして何より周囲の私への認識が「女性としての寿命」なるものに変化をしていき、なんとなく焦りのようなものを感じはじめました。「女性の魅力の下降曲線」「卵子の衰え」「老後の寂しさ」といった、これまでは話題にもならず耳に止めることもなかったキーワードに過敏に反応してしまうようになり、ボディブローのように精神にダメージを受けていきました。

そして33歳を迎えたとき、こんな私でも、子どもが欲しいかも...と自分自身に対して言えるようになったのです。

このように妊娠を意識し始めたときから、男性に対する苛立ちが常に付きまとうようになりました。だって彼らは女性と違い、キャリアを犠牲にするかもしれない不安や葛藤を抱くことなく子をもうける決断ができ、あげく「子どもは可愛いよ〜」と言えば子煩悩ないい父親だという賞賛まで得られるのですから。センシティブになり過ぎていたのだと思いますが、話をしている相手の女性がどういう心境かも考えないままに子ども自慢をする無神経な男性の話を聞くたびに「でしょうね。当然です。あなたは何も犠牲にせず、奥さんのおかげでそんな話ができるんですよ」と心の中で冷たい言葉を投げかけていました。そして、そんな風に思ってしまう自分に、嫌気が差すのです。


2. 妊娠初期:周囲に妊娠を一番知っておいて欲しい時期


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この頃の食事


そんな荒んだ時期も過ぎ、とても幸運なことに35歳で妊娠することができました。

妊娠初期はつわりがひどく、プチトマトしか食べられない時期もあり、一時期は妊娠前と比べて5キロも体重が減ってしまいました。

安定期と言われる妊娠16週を迎えるまでは、流産する確率も10〜15%と高いため、限られた人以外には妊娠を伝えないことがよくあります。

しかし振り返ってみてもこの時期が肉体的にも精神的にも一番つらかった。

電車に乗っていると立ちくらみがしてフラつくし、ランチでは隣の人のハンバーグの匂いに吐き気がするし、仕事中も身体はダルくて重くて眠たい。夜の会食では「ちょっと調子が悪いので」とアルコールは当然のこと食事にもほとんど手を付けられない。でも食べないと胎児の成長に影響するのではないか、何か自分の行動のせいで流産に結びついてしまうのではないかと不安で落ち着かない。

こんな状態で、妊娠前と妊娠後ではまるで違っているにも関わらず、周囲には普段通りの生活を装っているのが苦しかったです。


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病院で妊娠が判明した翌日の筆者


私の場合、会社の仲間には妊娠発覚と同時に伝えていたので、夕方以降の打合せや会食を極力減らしてもらうなど相当な協力を得られ、とても助かりました。それでも社外には伝えておらず、無理をすることもしばしばでした。

だから、もしまた妊娠することがあれば、そのときは安定期前に周囲に伝えようと思います。高い確率で流産することがあることも一緒に伝えようと思います。もし身近な人が妊娠初期であることを知ったならば、安定期前だからそっとしておこうではなく、全力でサポートしてあげようと思います。


3. 妊娠中期:政治に対する関心と怒り


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安定期に入った頃の筆者(右)。ICJのメンバーとの朝食会


無事につわりも乗り切り、周囲に妊娠を伝え、少しずつお腹の膨らみも目立つようになってきました。妊娠時期の中では、もっとも活動的になれる期間です。

そこで、世の中で騒がれている「保活(保育園活動)」なるものをスタートしてみたところ...。区役所の方には、「保育園は福祉ですので」と、共働きで世帯年収がそこそこあるご家庭は、認可保育園の入園はほぼ無理だと言われるではありませんか。

それならば、と認証・認可外の保育園を調べてみると、認可保育園で満たすべき、子ども1人あたりの面積、保育士の数、設備面などの基準を満たしていないのが認証・認可外の保育園だとのことでした(もちろん、認可保育園以上の質や特色を出して頑張っている認可外保育園も、少数ですが存在しています)。

こんなに違うなら、やはり認可保育園に入れてあげたいと思ってしまいます。なのにパパとママが頑張って働いてしまったばっかりに、我が子は環境の良い保育園には入れないんだね...ごめんね...。そんなやるせない気持ちになりました。

しかし、落ち込んでいても仕方ありません。「認可外保育園に入れるように保活しよう!」と、まずは保育園見学の申込をしました。するとどうでしょう、5月の時点で見学の予約が入れられるのが9月だと言われる園もありました。早めに見学に行けた保育園では、「0歳クラスは9人の募集に現時点(2015年5月)で200人並んでます。生まれたあとでないと申込はできないので、無事に出産したらまた来てください」とのこと。つまり、これから生まれる子ども抜きで200人待機しているということです。平成27年入園希望で保活をしている知人は、保育園に電話をすると「平成30年になれば入れます」と言われたそうです。なんという激戦! 認可外であっても、保育園に預けるのはかなり大変なのです。

ビジネスで議論するときには「少子化」が大前提だったので、「待機児童」という言葉は知っていてもその深刻さはピンときていませんでした。実際には、日本という単位でみると人口が減っていても東京23区は別です。2015年の国勢調査でも、ほぼすべての区で人口は増えています。

この認識のズレを会社の人事や上司がちゃんと把握してないと「とはいえ、なんとかなるでしょう」と理不尽な期待を働く女性一個人に対してかけてしまいます。しかしキャリアを積んで働いている女性ほど子どもを保育園に預けるのが難しく、結局なんとかならなくて一度退職をし、さらに保育園に預けるのは難しくなるという悪いスパイラルに入ってしまうのが現実なのです。


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ICJオフィスにて。筆者は会社役員(代表取締役)


また別の観点ですが、私自身は会社の役員となるので雇用保険の対象外です。そうなると、雇用保険から支給される育児休暇中の手当はありません。会社側が育児休暇を取得する者をそのまま役員とするのであれば役員報酬は支払われますが、退任しないといけない場合は無給になってしまいます。これでは安心して女性は役員になれません。この点は、女性管理職を増やす中でいずれ問題になってくると思います(ちなみに国会議員も育児休暇制度がないため、欠席扱い。その間、歳費と手当は全額支給されます)。

キャリアを積む女性にとっては、子育てとの両立はやはり非常に厳しいチャレンジだと実感しました。

そして、行政というものが自分の生活にこうも影響を与えるのだと初めて認識をし、政治に対する参加意欲が高まりました。

折しも妊娠初期の2015年4月末は区議会議員選挙のタイミング。意気込んで選挙公報を一生懸命眺めてみるけれど、素人が馬券を買おうと競馬新聞読んでるかのようで、候補者の違いがまったく分かりません。なんとなく待機児童解消を掲げている候補者を選ぼうかと思うけれど、アピールポイントのフレームがバラバラすぎて優先順位をつけられません。せっかく政治への興味関心が高まっても、このデザインではなぁ...と、政治への落胆と怒りを募らせるだけで終わってしまいました。


4. 妊娠後期:世の中に対する愛着


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妊娠8カ月頃のお腹。区が開催する両親学級にて、赤ちゃんの人形を使って沐浴練習をしました。


そうこうする間に我が子は成長し、妊娠8カ月。お腹もとても大きくなって、どこからどうみても妊婦さんです。

妊婦体型になって外出すると、今まで見えてこなかったお年寄りや子どもの視点が見えるようになりました。

エスカレーターは足元が見えなくて怖い。通勤ラッシュ時の階段はみんな早足なので押されて転げそうになるので、手すりは必須。席を譲ってくださる方は天使に見えます。山手線は若い乗客が多いため、席を譲られることはめったにないのですが、ある日若い男性が「自分の妻も妊婦なんです」と譲ってくださったときには涙が出そうになりました。

手助けが必要な身体になって初めて、手を差し伸べてもらえる世界があると知り、世の中に対する信頼感、安心感、愛着というものが芽生えた気がします。

また、妊娠期間は1日1日がとにかく長かった。

無事に生まれてくれるのか不安で、あと1日で胎盤が完成するよ、あと1日で人間として認められるよ、あと1日で肺が完成するから自分で呼吸できるようになるよ、と每日子どもの成長を願っていました。そして毎晩、今日を乗り越えられたことにホッとし、感謝していました。

年を重ねるとその人にとっての1日の相対的割合が下がるため、1日はあっという間に過ぎると聞いたことがあります。妊娠はそこをリセットして0日からスタートするのでしょう。1日1日を今までの人生でもっとも長く感じる期間でした。

母親とはこれほどまでに子どもを思い、お腹の中で10カ月にもわたって子を育んでいるのだと知り、自分の母親に心の底から感謝をしました。そして、街で人とすれ違うたびに、このひとりひとりに母がいたのだと、母がいたから今ここに存在するんだなと思って、街を歩いているだけで言いようのない幸福感に包まれました。


5. 分娩台:「母」は偉大


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出産直後。夫も始発で東京から駆けつけてくれて、一緒に新しい生命を迎えることができました。苦しいつわりの時期には食べられそうな食事を作ってくれたり、出産に必要なものを買い揃えてくれたりと、強力にサポートをしてくれた夫に立ち会ってもらえて、とてもうれしかったです。私は必死だったので気付かなかったですが、生まれた瞬間、涙を流して喜んでくれたそうです。


AM 7:20、陣痛の合間をぬって朝食を無理やり押し込んでいるところで、ポンッ、とお腹の中で何かが弾けた感覚。直後にじょじょーっと水が溢れ出てきました。破水だ。そこからの痛みたるや壮絶で、自分でも驚く程の大声で泣き叫び、指に痣ができるほど強く母の手を握りしめていました。高齢出産は母体の骨盤が硬くなっているため、より痛いのだとか...。

途中、痛みで呼吸ができなくなって一時的に呼吸器をつけられもしたし、出産後は体力を消耗し過ぎて車イスでしか動けなかったし、出産は命がけです。すべての人に、命がけで自分を生んでくれた母がいる。その事実を認識する機会が増えれば、もっと素敵な世の中になるんじゃないかと思います。


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初めて近くの公園に連れていったときの様子


6. 原稿を執筆して


そもそもこの文章を書こうと思ったのは、妊娠前に認識していた「子育てをする世界」と実際に見えてくる「子育てをする世界」があまりに違ったことがきっかけです。東京という子どもが多い場所に住んでいるにも関わらず、子育て中の母のマネージャーをしていたにも関わらず、何を感じていて何が辛くて、どんなサポートがあるといいのかをまったく理解してませんでした。だから、妊娠した人にとっては当たり前のことを、少しでもそれを知らない人に伝えられたらと思い書き始めました。

また、妊娠中とても詳細に自分の体調や気持ちの変化等を社内で共有し、それが受け入れられてお互いに心地よく過ごせたことも、この文章を書きたいと思ったきっかけの1つです。朝から鼻血が出て立ちくらみがして出社に手間取っている、とか、お腹の子どもが膀胱を蹴るので今はミーティングに集中できません、といった話は、特に20代の男性社員やインターンの男子学生にとっては、非常に生々しく感じられたかもしれません。しかしそれらを言えたことで精神的に楽になりましたし、逆に社員からサポートがしやすくなると言ってもらえました。だから、今妊娠されている方にも、「もっと周囲に伝えていきましょう!」と伝えたいです。

出産後の今、1年間の育児生活を経てこの妊娠期を振り返ると、実はこんなの序の口で、ここからが始まりで、もっともっと幸せで大変な生活に変化していきました。なのでもう、妊婦の時代の感情はほとんど忘れてしまってます。そう考えると、この時の気持ちをこうして残しておいて良かったです。

保育園で送り迎えをしているパパママたちに会うと、働き盛り世代が仕事と育児の両立を何とか踏ん張っている苦労を垣間見ることができ、一体感を感じます。この大変だけど幸せな出産・子育てを経験できることに感謝し、ハード面でもソフト面でも、もっと出産・子育てがやりやすい社会になっていくように微力ながら活動していきたいと思います。


161219icj_hattori_profile.jpg 服部結花(はっとり・ゆか)
インクルージョン・ジャパン株式会社 代表取締役
株式会社リクルートの事業開発室にて、プロジェクト立ち上げの責任者や、人事部にて西日本採用担当を歴任。現在は、「手触り感のある社会」をより多くの人が実感し、楽しむことができることで、より幸せに、充実した毎日を送れると信じて、インキュベーション、イノベーション創造、組織開発コンサルティングなどの事業に携わっている。


(文・写真/服部結花)

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