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和田美樹和田美樹  - ,  11:00 PM

新しいことを始めるとき、ゼロから始めてはいけない理由

新しいことを始めるとき、ゼロから始めてはいけない理由

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2010年、Thomas Thwaitesという青年が、トースターをゼロから作ってみようと思い立ちました。彼は、店で一番安いトースターを買い、すぐさま帰宅して、それをバラバラに分解します。

Thwaites氏は、比較的単純な機械だと考えてトースターを選んだのですが、分解し終わってみると、部屋の床には、400以上の部品が並びました。トースターは100種類以上の原材料からできており、その主要を占めているのが、プラスチック、ニッケル、鋼鉄の3つでした。

彼はまず、鋼鉄の部品を作ることにします。鋼鉄を作るには鉄鉱石が必要だと知ったThwaites氏は、地元の鉄鋼山に電話をし、 プロジェクトのために鉄鉱石を分けてもらえないか聞きます。

すると驚いたことに、彼らは承諾してくれたのです。


トースター・プロジェクト


しかし、それはつかの間の勝利でした。

トースターのプラスチックケースを作る段になると、Thwaites氏は、プラスチックを作るのに原油が必要なことに気づきます。 そこで今度はBP社に電話をし、石油の掘削施設までヘリで連れて行ってもらい、プロジェクト用の原油を分けてもらうことはできないかと聞きます。答えは即答でノーでした。石油会社は、鉄鋼山のような寛容さは微塵ももっていないようでした。

結局Thwaites氏は、廃プラスチックを集めてきて溶かし、トースターのケースに成型することになりました。と言うと簡単に聞こえるかもしれませんが、実際はたいへんな作業で、しかも出来上がった手作りトースターは、キッチン家電というよりは、溶けたケーキのような外見になったのでした。

トースター・プロジェクトは、最初から最後までが、このパターンの連続となりました。いかなる段階も、それを原材料から手作りしていたら前に進むのはほとんど不可能で、なんらかの加工済み原料を使わなければなりませんでした。たとえば、ニッケルの部品を作るには、結局、古いコインを溶かす以外に手立てがなかった......ということです。彼は、後でこう言っています。「本当に原材料から手作りするとしたら、トースターづくりに一生かかってもおかしくない」


ゼロから始めるな


ゼロから始めるのは、たいていの場合、賢明ではありません。

革新的なアイデアだとか有意義な変革というと、私たちはすぐ、無から生み出すものだと考えがちです。ビジネスでプロジェクトが失敗すると「いったん白紙に戻そう」と言ったり、習慣を改めたいときなどに「新たに出直す」と言ったりしますね。でも実は、過去のアイデアをすべて投げ捨て、世界をゼロから作り直そうとすると、クリエイティブな進歩は生まれないのが相場です。


自然の例で考えてみる


鳥の羽は爬虫類の鱗が進化したものだと考える専門家がいます。進化の影響で、鱗は徐々に、保温と断熱を目的とした小さな羽毛となり、やがて羽毛は大きな羽に発達して、飛ぶことをも可能にしたのです。

動物王国で「飛べる動物をゼロから作ろうではないか」と決まった奇跡の瞬間が存在したわけではありません。飛ぶ鳥が誕生したのは、すでに機能していたシステムを細かい試行錯誤の繰り返しをしながら発展させるという、ゆるやかな過程の結果なのです。

人間が飛べるようになった過程も、同じような道のりでした。近代飛行機の発明者というと、ライト兄弟の名が挙がるのが常で、それ以前から研究を続けていた、オットー・リリエンタールや、サミュエル・ラングレー、オクターヴ・シャヌートといった航空技術のパイオニアの話が出ることはめったにありません。しかし、ライト兄弟は、こうした人々の研究から学んだことを礎に、世界初の飛行機づくりに取り組んだのです。

最も創造的なイノベーションは、古いアイデアの新しい組み合わせであることが多いです。革新的なことを考え出す人は、アイデアを創り出しているのではなく、つなげているのです。得てして、進歩を生み出す最も効果的な方法は、システム全体をつくり変えるのではなく、すでに機能しているシステムに1パーセントの改良を加えることだと言われています。


古いアイデアは秘密兵器


トースター・プロジェクトは、私たちが現代社会の複雑さに、いかに気づいていないかを示す好例です。新しいトースターを買っても、それが店頭に並ぶまでにどのような過程を経てきたかなど考える人はいません。鉱山から鉄鉱石が削り取られ、地底から石油が掘り出されていることになど、まず意識が及ばないでしょう。

私たちは普段、物と物とが見事につながりあっていることに目を向けたりしませんが、それを理解しておくことは重要です。なぜなら、複雑な世の中では、自分にとって有利に働く力は何で、不利に働く力は何なのか、見極めるのが難しいからです。トースターを買うのと一緒で、私たちは最終製品だけに目を向け、そこへ行きつくまでの多くの過程を見過ごす傾向があります。

複雑な問題に対処するときは、だいたいにおいて、すでに有効な手法を基にしたほうがうまく行きます。現行で機能しているアイデアは、数々のシチュエーションで実証済みなのです。古いアイデアは、すでに複雑な世界を生き抜いてきた秘密兵器なのです。


How Innovative Ideas Arise | James Clear

James Clear(原文/訳:和田美樹)
Photo by Shutterstock

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