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ライフハッカー編集部ライフハッカー編集部  - ,,  08:00 PM

LGBTに「ポジティブ思考」を学ぶ──セクシュアリティーは多様でカラフルなグラデーション

LGBTに「ポジティブ思考」を学ぶ──セクシュアリティーは多様でカラフルなグラデーション

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1969年6月、ニューヨークのゲイバー「ストーンウォール・イン」で、警察の強制捜査を受けた同性愛者たちが自由のために立ち上がってから、およそ半世紀になります。

今、LGBT*当事者もそうでない人も、誰もが自分らしく生きられる社会を目指す動きが大きなうねりとなって、世界中に広がっています。

国連の人権理事会は2011年6月、性的指向と性同一性に関する人権決議を採択しました。そして今年6月にはオバマ大統領が、あの「ストーンウォール・イン」とその周辺を、世界のLGBT人権運動のきっかけとなった場所として国定史跡に指定すると宣言し、ニューヨークで開催されたLGBTプライドマーチには史上最多の200万人が参加。日本でもこの数年、ゴールデンウィークの「東京レインボープライドパレード」が注目を集め、LGBTやアライ*という言葉が定着しつつあるなど、時代は確実に動いています。

「自分らしく、すてきに、歳を重ねていこう。みんなでエールをおくりあいながら」。そんな思いから、LGBTと社会をつなぐ認定NPO法人グッド・エイジング・エールズを仲間とともに立ち上げた松中権(まつなか・ごん)さんも、時代を動かしている1人。LGBT当事者として、勇気を出してカミングアウトした経験を「3月の海にダイブすること」の醍醐味に例えて語ってくださいました。

ウェブメディア「Mugendai(無限大)」の記事より抜粋してご紹介します。

*LGBT:L=レズビアン、G=ゲイ、B=バイセクシュアル、T=トランスジェンダーの頭文字を合わせた呼び方。最近ではSOGI(Sexual Orientation and Gender Identity:性的指向と性自認)という表記も使われる。

*アライ:Ally(同盟、味方)を語源とするもので、LGBTのことを支援してくれる人、理解してくれる人、特別扱いしないサポーターという意味。


可視化して、知ることから


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休日の早朝、取材場所のカラフルステーション(渋谷区神宮前二丁目)に自転車で軽快に駆け付けた松中権さん。


── 日本でLGBTの人々が置かれている現状をどう見ていらっしゃいますか。

松中:LGBTは自分の周りにはいないと思っている人も多いと思いますが、2015年度の電通ダイバーシティ・ラボの調査によると、日本の人口におけるLGBTの比率は7.6%。13人に1人が当事者ということになります。

街で車いすに乗っている人や白い杖をついて歩いている人を見かけると、「段差は大丈夫かな」など、気にかかることがありますよね。LGBTの場合、生きていくためにいつもハードルが立ちはだかる、というわけではありませんが、当事者が目の前にいるかどうかは分かりづらくて、いないことになってしまいがちです。当事者以外の人にとって、自分の隣にはいない、得体の知れない存在と捉えられ、「知らないものは怖い」「気持ち悪い」という人間の防衛本能が働いてしまうことがあります。結果としてLGBTの人々を攻撃したり差別し嘲笑するという状況が生まれる。そのためにLGBT当事者はカミングアウトすることも難しく、生きづらさを感じながら「本当の自分はいないことになっている」人もたくさんいたのです。

そういうことがこれまでずっと続いてきて、ようやく昨今、LGBTの存在を可視化して、理解を広げ、社会通念を変えていこうという運動が世界中で盛んになってきました。また、LGBTは社会制度や行政サービスなどから外れてしまっている部分が多いので、制度の方を現実に合わせていこうという動きもあります。

── 「知らないから怖い」「気持ち悪い」ということが、今、世界で問題となっている宗教や人種の違いによる誤解や差別の根底にもあり、そういう問題に対する示唆をLGBTが示してくれるのかもしれませんね。

松中:そうなるといいと思います。LGBT当事者ではない人々の間で、そして実は当事者自身の中にも、LGBTに対する差別や偏見が根付いてしまっている。LGBTも当たり前に、自然に存在していいのだ、という認識を共有することが大切です。

昔から世界には、「男性」と「女性」だけではなく、LGBT、つまりレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーを始め、いろいろな「個性」のセクシュアリティーを持つ人がいて、それはまるでグラデーションのように多様でカラフルです。そして、それぞれに、自分自身を表現するために適した性と、好きになる他者の性があります。そのことを、その人の「個性」と理解し尊重して、他者や隣人に対して、敬意と思いやりを持つことができれば、それは誰にとってものびのびと暮らせる社会でしょう。

そのために、まずは知ることがスタート地点です。知らないと、誰かのことをいつの間にか傷つけてしまう、自分自身のことも愛せなくなる、というようなことが、知っていれば回避できるかもしれません。とは言え、それはどこまで行っても難しいことは確か。例えば僕はLGBT当事者として、異性愛者の気持ちにはなれません。ただ、自分と違う考え方、生き方、ライフスタイルを選んでいる人、もしくは、生まれたときからそうである人を知り理解することはできます。100%は分からなくても想像力を働かせることはできると思います。そういう視点の持ち方は、LGBTの問題以外にも使えるかもしれませんね。


ひとりひとりの主体的なパワーに触れて


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── どんな子ども時代、学生時代でしたか?

松中:僕は子どもの頃から好きになったり憧れたりする対象はいつも男の子でした。中学生や高校生になって、クラスの男子が可愛い女子やアイドルの話で盛り上がっているときも、本当はまったく興味がないのに、「タイプはショートカットで、ボーイッシュな感じの・・・」なんて言って周囲の目をごまかしていました。ゲイという存在は雑誌などで自習して知っていましたが、自分自身がそうであることを受け入れられず、「これはいつか何かのタイミングで治るんじゃないか」と言い聞かせ、「もがきの時代」が続きました。高校生のとき、1度だけ女の子と付き合ったことがあります。でも、結局それは「いつか治るんじゃないか症候群」のもがきでしかなかったのです。

金沢から東京に出てきて一橋大学で4年間学び、5年目はメルボルン大学に留学しました。留学に出発する前に初めて新宿二丁目に行き、2カ月ほど通い詰めました。自分以外のゲイの人に会ったのもそのときが初めてだったし、いろいろな友だちができて、非常に内容の濃い日々でした。

その後、メルボルンへ。この街に着いて3日目には大学のクィア(Queer:セクシュアル・マイノリティ)ルームに顔を出し、さっそく友だちをつくりました。こうして、人生で初めてゲイであることをオープンにして暮らし始めたのですが、この経験は大きかった。日々、生活する中で「自分はゲイだ」ということを隠す必要も、周囲に伝える必要もない。例えばちょっとした会話の中で「ゴンは日本に付き合っている人いる?遠距離恋愛してるの?」と聞かれて、「ボーイフレンドがいるんだ」と答え、「あ、そうなんだ」というように、会話がさらっと流れていくわけです。それがすごく新鮮で、こんなにストレスのないものなのかと驚きました。

── グッド・エイジング・エールズ設立に至ったのはどんな経緯があったのでしょうか。

松中:広告代理店に就職し、30代前半だった2008年に研修でニューヨークに滞在して、NPO関連事業に携わりました。ちょうど大統領選の最中で、オバマ大統領に決まる直前の頃です。国中が熱気にあふれ、政治団体などに所属しない個人も選挙運動をしていました。自分がアメリカを変えたいと考え、ひとりひとりが活動しているのを見て、このパワーはすごいと感心しました。そうした熱気の中で、ニューヨークにはLGBTの団体もあるし、自分も何かそういうことを日本でできたらいいな、と思うようになりました。

帰国後、友人たちと会うと「自分たちは今後どうなっていくのか、ゲイとして具体的な将来像が描けない」というような会話をするようになりました。やっぱりどこかで僕はニューヨークでNPO関連事業に携わった経験からも、自分のミッションを感じていたのでしょう。LGBTの理解を進める団体が必要だと思い、自分で企画書を作り、友人たちに声をかけ、2010年4月4日、桃の節句と端午の節句の間の日にグッド・エイジング・エールズを立ち上げました。この名前は少し長いので、みんな「グッド」と呼んでいます。グッドはプロボノ団体なので、メンバーは自分本来の仕事をこなしながら、その合間を縫って自分のスキルや知識を生かし活動しています。


「LGBTと、いろんな人と、いっしょに。」という姿は活動の中から見えてきた


── グッド・エイジング・エールズという名称に込めた思いは?

松中:LGBT当事者からは、このまま自分は歳を取っていっていいのだろうか、老後はどうなるのだろうかと不安を覚える仲間の声がよく聞こえてきます。そんなこともあり、グッド・エイジング・エールズという名称には「自分らしく、すてきに歳を重ねていこう」「アンチエイジングよりもグッドエイジングがいいね」というメッセージを込めています。そして、LGBTを含むあらゆるセクシュアル・マイノリティーの人たちが、自らのセクシュアリティーに引け目を感じず、社会の偏見を越え、自分らしくのびのびと、歳を重ねていく、そんな生き方を送れる世の中になることを願っています。日本では「エール交換」という表現を使うから、LGBTとそうじゃない人の間で垣根をなくしエールを交換できるといい、という意味を加えました。

グッドには、立ち上げの時点から、ミキさんというストレート(異性愛者)のメンバーが参加しています。葉山のカラフルカフェを始めたときに、フロントにストレートの人もいるということは地元のコミュニティーの方々にとって安心感につながるようです。その頃はアライという言葉も浸透していなかったけれど、ミキさんの存在もあり、次第に当事者以外にもグッドを応援してくれる人が増えてきています。いろいろな人とLGBTがいっしょにいる場所というのがやっぱり大事だなぁというふうに、活動を通して見えてきました。「LGBTと、いろんな人と、いっしょに。」というスローガンは、そこから生まれたものです。

これまでグッドは、そういった意味でもさまざまな「のりしろ」となる場を生み出してきました。社会の中で見えにくくなっているLGBTの存在と社会とを近づけていくときに、両者が緩やかに重なり合うような場を作ろうという発想です。

その際、LGBT向けに限定した場所にしてしまうと、LGBT当事者にとってはそこに足を運ぶこと自体がカミングアウトになってしまう。まずは、LGBTの人もいるかもしれないし、LGBTじゃない人もいるかもしれないけれど、その場所自体はLGBTの人にとって安心できる、優しい、楽しい場所というものを作ってきました。

LGBTの人たちが社会の中で生きづらさを感じることなく「自分のままでいられる」場所であり、自分のセクシュアリティーを明かしカミングアウトしても自然に暮らせる「カラフルハウス」、働く場所である企業や団体への働きかけ「work with Pride」、くつろぐ場所「カラフルカフェ」など、1つひとつの場所を誰にとっても心地いいものへと変えていく取り組みです。

松中さんは以下のリンク先で、加速するLGBTサポートの取り組みを紹介しています。たとえば、「あなたの輝く姿が、次の誰かの勇気となる。」をテーマに、1万人のLGBTを始めとしたセクシュアル・マイノリティーのポートレートを全国で撮影する企画『OUT IN JAPAN』には、有名スターやセレブリティーたちのポートレートを撮影した作品で知られるレスリー・キーさんが参加、写真展も開催されました。また、職場の問題としてLGBTと向き合う日本企業が増えているとのこと。こうした動きに興味を持たれた方は、ぜひ以下のリンク先もご覧ください。


LGBTに「ポジティブ思考」を学ぶ ――セクシュアリティーは多様でカラフルなグラデーション | Mugendai(無限大)

(ライフハッカー[日本版]編集部)

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