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神山拓生

 - ,,,  10:00 PM

「モザンビークにモバイル銀行を作るバイオ燃料会社CEO」合田真さんがやってきたこと、見据えていること

「モザンビークにモバイル銀行を作るバイオ燃料会社CEO」合田真さんがやってきたこと、見据えていること

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日本植物燃料株式会社 CEOの合田真さんは独特の経歴をお持ちです。京都大学を中退して入った災害情報配信会社を、当時の社長に勧められて買い取ったのが自らバイオ燃料事業を始めるきっかけでした。当時24〜25歳だったそう。「買ってくれ」と言われて、会社員の身で会社を買ってしまえるというのは、なかなかできることではないでしょう。

「自分の手でできることから始めたい」と思った合田さんは、やがてヤトロファという植物を栽培してバイオ燃料を作り始めます。しかし、それが「モザンビークにモバイル銀行を作る」ことにつながろうとは、合田さんご本人も予想していなかったようです。

今回は、バイオ燃料事業とモバイル銀行という一見関係なさそうに見える領域がどうしてつながったのか、合田さんがどんな目線で事業を進めていったのか、そしてモザンビークを選び、そこにモバイル銀行をつくることで合田さんがどのように世界を良くしようとしているのかをご紹介します。

合田真(ごうだ・まこと)
日本植物燃料株式会社CEO。マレーシア、モザンビークでエネルギー・食料・金融の地産地消モデル事業を展開。モザンビークでモバイル銀行の設立を計画中。


モザンビークの無電化地域深くに埋もれていた「預金へのニーズ」を発掘


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バイオ燃料の原料となるヤトロファの種を植えてもらっているところ。


モザンビークはアフリカ大陸の東岸にあり、国土は南北に広がっています。1975年までポルトガルの植民地だっただけでなく、独立後も内戦が続き、発展は進んでおらず、特に農村部の電化率は1.7%しかありません。

合田さんがモザンビークと関わるようになったのは、2007年のこと。2012年から経産省の傘下組織NEDO(新エネルギー開発機構)から支援を受け、現地のエネルギー省と共同で「無電化農村部に明かりを届ける」という事業を始めました。

合田:6000人くらいの村人にヤトロファの苗木を育ててもらい、種を買い取って油を作ります。その油で発電機を回して電気をつくるんです。とはいえ、モザンビークの農村で発電してもみんなが電化製品を持っているわけではありません。そこで充電式のランタンを用意し、一晩10円程度で貸し出すことにしました。

この時点で合田さんが考えていたのはあくまでバイオ燃料を利用して「明かりを届ける」というミッションを達成すること。しかし、「ランタンの貸し出し」だけでは商売にならなかったことが、新しいアイデアを生み、モバイル銀行へとつながっていきます。


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キオスクに導入したPOSシステム。NECのNFCを利用し、Suicaに近いカードを使って電子マネーで支払いができる。


合田さんが事業を展開したのは、モザンビーク北部の無電化村。暑い地域ながら冷蔵庫も普及していませんでした。冷たい飲料などへの需要を見込んで、合田さんは冷蔵庫や冷凍庫、製氷機を用意し、日用品などを販売するキオスクを始めましたが、そこで大きな問題が発生します。

合田:キオスクでのお金の管理がとにかく難しかったんです。現場に行って売り上げを確認すると、平気で30%も足りないことがありました。店員はみんな小学校を卒業したくらいの学歴の人たちで、携帯電話を電卓代わりにしてお釣りを計算していたのですが、どうしても計算を間違えてしまう。そこでタブレットにPOSシステムを入れ、現金ではなく電子マネーで商品を買えるようにしました。

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電子マネー用のカード。ちなみにモザンビークの公用語はポルトガル語。


これによって売上金のズレは1%以内に収まったそう。そしてこのとき導入した電子マネーが、農民たちの間に「預金へのニーズ」が存在していることを合田さんに気づかせます。

合田:1家族あたり日本円にして6000〜7000円ほどを電子マネーに変え、それを買い物に使っていたのですが、もっと多額のお金を電子マネーに変えておく人たちが現れたんです。多い人は40万円くらい預けていました。

どうしてこんなにたくさんお金を預けるのだろうと思ってヒアリングしてみると、「銀行がなくて預金する先がない」のだとわかりました。

モザンビークには150の県がありますが、銀行があるのは50県だけ。近代的な銀行には大規模な専用システムの導入が必要であり、多くの電力が必要になります。現金を電子マネーに変えて管理できるようになるまで、無電化地域の農民たちは掘った穴に現金を埋めて保管する(!)などしていました。村から近くの街に送金が必要なときも、その街に出かける用事のある人にお願いして現金を運んでもらっていたそうです。しかし、そのように現金を扱う場合、紛失や窃盗などのリスクがつきまといます。

こうして合田さんはバイオ燃料事業から出発して、「銀行」にたどり着きます。

合田:「お金を安全に預かる」のは銀行の仕事ですよね。そこでライセンスを申請してきちんと銀行をつくろうという流れになりました。


銀行をつくることでモザンビークの農村のコミュニティを強める


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会計処理を行うキオスクの店員。


アフリカでは「M-Pesa」がケニアのGDPの45%に相当する金額の送金に利用されるなど、携帯電話会社が運営する送金システムが成功しています。こちらも現金を電子化して管理・送金するシステムではありますが、銀行とは根本的に異なります。

合田:銀行のライセンスがないと資産運用ができないので、携帯電話会社の送金サービスでは金利をつけて利用者に利益を還元することができません。私が銀行をつくることにしたのは、預け入れてもらった資産を運用し、利益を農村の人々に還元したいと思っているからです。

モザンビークに銀行が少ない背景には、「銀行が収益化しにくい」という事実があります。発展途上国であるモザンビークではたとえ街が電化されているとしても、事業収益性がなく、銀行が出店を控える場合が多いようです。合田さんが目指すのは、SUICAなどのように読み取り端末にかざすことで電子マネー決済を行う技術NFC(FeliCaなどの非接触型ICカードを可能にしている技術)などを利用することで、どこでも金融サービスが受けられるようになること。軌道に乗れば、送金のために現金を持ち歩くしかなかった人々の暮らしは大いに便利になることでしょう。

しかし、合田さんの目的は単に人々の暮らしを便利することだけではありません。合田さんのより大きな目的は、モバイル銀行をつくることで「農村コミュニティの結束を強める」こと


合田:銀行のライセンスがないと資産運用ができないので、携帯電話会社の送金サービスでは金利をつけて利用者に利益を還元することができません。私がモバイル銀行をつくることにしたのは、利益を農村の人々に還元したいと思っているからです。

モザンビークでは銀行が収益化しにくく、地域に銀行がないことも多いのだそう。合田さんはNFCなどを利用することで、どこでも金融サービスが受けられるようにしようとしているのです。軌道に乗れば、送金するには現金を持ち運ぶしかなかった人々の暮らしは大いに便利になることでしょう。

しかし、合田さんの目的は人々が単に便利になることだけではありません。合田さんはモバイル銀行をつくることで「農村コミュニティの結束を強めたい」と語ります。しかし、モバイル銀行がどうしてコミュニティの結束を強めることにつながるのでしょうか?

合田:配当を受け取るためのモバイル銀行の口座は個人ではなく、集落ごとにひとまとめにしてつくってもらう予定です。長い植民地時代と内戦を経て、モザンビークの人々は互いに対立し、農村コミュニティの結束は弱まっています。利益を個人ではなくコミュニティに還元することで入会地のような共有財産ができれば、みんなで真剣に利用の仕方について議論する必要が出てくるはずです。その結果として、コミュニケーションが深まるのではないかと思うのです。

一見、突拍子もないように思われる「モバイル銀行で農村コミュニティを強める」という発想も、合田さんの中では明確なビジョンとなっているようです。


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モバイル銀行の金利をさまざまな支援活動によって農村に還元することで、入会地や灌漑設備といった農村の共有資産を作り上げていく。村民がそのようにして生まれた共有資産の利用の仕方を議論していく中で、農村コミュニティが強化されていく。


大胆に事業を展開できるのは「世界のトータルイメージ」を持っているから


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今では日本・ペナン(マレーシア)・モザンビークと3つの拠点を持ち、国際会議などのために世界を飛び回る合田さんだが、ビジネスに必要な英語も現場に飛び込んで覚えていったと語る。写真は、国際連合食糧農業機関(FAO)の国際会議「Social Business for Zero Hunger」に参加した際のもの。(c) FAO/Giulio Napolitano

会社を買って経営者となり、モザンビークというほかの日本人が選ばない場所で、独自に事業を展開していった経緯をうかがいながら、筆者には合田さんが一見無軌道に活動しているように感じられました。しかし、合田さんはそうではないと言います。

合田:「世界のトータルイメージ」にしたがって、多くの出会いの中から自分の意思でバイオ燃料や金融の道を選んできました。

合田さんの言う、世界のトータルイメージとは、「自分の世界の現状理解や歴史認識」のこと。そして、合田さんがバイオ燃料やモバイル銀行に携わるようになった背景には、次のような認識があったのだと言います。

合田:資源に関しても、金融に関しても、「奪い合うモデル」は成立しないだろうと思っています。これからは少しずつでもみんなで資源や価値を増やしていくようなモデルが必要だと思います。

歴史をひもといてみれば、日中戦争・太平洋戦争には、ABCD包囲網に囲まれ石油不足を日本が恐れた結果起こったという側面があります。そして今、世界の在来型石油の産出量は2006年に頭打ちになってしまいました。また同じように奪い合いになる可能性は十分にあるのではないでしょうか。奪い合いの根底には、自由競争があると考えています。自由競争は金融の基本原理でもありますが、強者の論理としての自由競争は、限界にきているように感じます。


自由にやれるモザンビークから日本の将来に良い影響を


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国際会議「Social Business for Zero Hunger」に参加した合田さん(写真右)。中央にいるのは、同会議のメインスピーカーであり、バングラディシュの著名な経済学者・実業家、ムハマド・ユヌス氏。(c) FAO/Giulio Napolitano


合田さんの当面の目標は、金融やエネルギーなどの分野で「少しずつでも増やしていく」モデルをつくり、モザンビークの人たちと一緒に実現していくことです。しかし、合田さんの関心が日本から離れたというわけではありません。

合田:僕がバイオ燃料ビジネスを始めたのは、「自分の手で植物を植える」という自分でできることから始めたいと思ったからです。

エネルギーや金融の新しいモデルづくりを日本でできればいいのですが、日本では僕個人でできることには限界があります。現代の金融モデルの外に置かれてきて、その恩恵を受けられなかった地域であるモザンビークの無電化地域だからこそ、僕は自由にいろんなことができるんです。

モザンビークで働いてはいますが、本当に関心があるのは日本です。日本の将来を心配しています。今、僕がアフリカで新しいモデルをつくっておくことで将来日本の役に立つかもしれないと思って、自分の事業に取り組んでいます。

合田さんによるモザンビークでのモバイル銀行事業はまだ始まったばかりですが、今後モザンビークをどう変えてくれるのか、また日本や世界をどう良くしていってくれるのか、希望を持てるお話でした。




ライフハッカー[日本版]からは編集長の米田智彦が急成長を遂げるアフリカのビジネスシーンを取材するために、ナイロビとモザンビークに飛ぶ予定です。後日記事化いたしますので、お楽しみに。


(聞き手・構成・写真/神山拓生)

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    香川博人

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