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和田美樹  - ,,,,,,  11:00 PM

第一線の研究者が考える「生まれつきの才能」と「練習」の関係

第一線の研究者が考える「生まれつきの才能」と「練習」の関係

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この記事は、並外れたパフォーマンスを專門に研究するミシガン州立大学の心理学教授David Z. Hambrick氏と、スウェーデンのカロリンスカ研究所で認知神経科学の教授を務めるFredrik Ullén氏の両名によって書かれたものです。

スポーツや、音楽、チェス、といったアクティビティに、人よりも卓越した能力を示す人がいます。たとえば、バスケットボールのスーパースター、ステファン・カリー。彼は前季、自らが前々季に築いた歴代最多記録を4割以上上回る、スリーポイントシュート成功数402本という驚異的な記録を樹立しました。これは2位の選手を126本も上回る数字です。

こうした並外れたパフォーマンスは、いったいどのようにして可能になるのでしょう? 達人は、遺伝的な優位性をもって「生まれる」のか? 訓練によって「つくられる」のか? それとも両方の要因が重なっているのでしょうか?


過去の研究が示すもの


この疑問は、心理学で昔から議論されてきたテーマであり、フロリダ州立大学心理学部教授Anders Ericsson 氏と、サイエンスライターRobert Pool氏による新刊書『超一流になるのは才能か努力か?』もそのことに焦点を当てています。

1993年の研究で、Ericsson教授と研究チームは、ベルリンのある名門音楽院からバイオリニストたちを集めて、彼らがキャリアを通して「意識的な練習」に費やしてきた推定時間を聞きました。

Ericsson教授らが意識的な練習と定義するのは、たとえば楽器演奏といった活動のパフォーマンスを向上させるために特別に行う訓練活動のことです。こうした訓練活動は、高度な集中を要し、本質的に楽しいものではありません。したがって、たとえ熟達者でも、意図的な練習ができる量は、1日数時間に限られます。

Ericsson 教授らの大きな発見は、バイオリニストたちの技術レベルと意識的な練習量が正比例するということでした。意識的な練習が多かった人ほど、技術レベルが高かったのです。

たとえば、最も熟達したバイオリニストのグループは、20歳までに、平均10,000時間の意識的練習を積んでいたのに対し、最も熟練度の低いグループは、それより5000時間少なかったのです。Ericsson教授らは、2度目の研究でも、ピアニストに同様の結果を見ました。

この研究の結果を受けて、教授らは、優れたパフォーマンスの決定要因は、才能よりも、むしろ意識的な練習であると結論づけたのです。「先天的能力が重要な役割を果たしていることは否定する」と彼らは書いています。

さらにEricsson教授は、最近のインタビューでこう説明しています。


適切な訓練をしたのに卓越できないという阻害要因は、見つけることができませんでした。ただし、体の大きさは例外です。訓練で背を高くすることはできません。


訓練がすべてなのか?


このエビデンスをもとに、ライターのMalcolm Gladwell氏が 「10,000時間の法則」という原則を考え出しました。ある分野の達人になるには、10,000時間の練習が必要だというものです。しかし、Ericsson氏の考えは、当初から科学文献で大きな議論を呼んでいました。

初期の頃から批判してきたのは、ハーバード大学の心理学者で多重知性の理論を提唱するHoward Gardner教授です。彼は、Ericsson教授の説は、まるで過去の技術習得についての研究を理解していないかのようだとコメントしています。発達心理学者のEllen Winner氏も「Ericsson教授の研究は、懸命な努力の重要性を示してはいるが、これで先天的能力の役割を除外することはできない」と付け加えています。また、天才についての研究で著名なFrançoys Gagné氏は、Ericsson氏の考えは「多くの重要な可変要因を見逃している」と述べています。さらに、認知神経科学者のGary Marcus氏は、こう述べています。

練習はたしかにとても重要で、その効果は驚くべきものです。しかし、練習が重要だからといって、さも双方が相反するものであるかのように、才能が無関係だと推測するのは論理的に間違っています。


ならば、訓練はどの程度大事なのか?


私たちはメタ解析の専門家として、世界各地の仲間と協力し、さまざまな領域における意識的練習とパフォーマンスの関係をより詳しく探るべく、Ericsson教授らの説を実験で試すことにしたのです。

ケース・ウエスタン・リザーブ大学の心理学者Brooke Macnamara氏の率いる2014年の調査では、 メタアナリシスという統計的手法を用いて、過去88件の、参加者のべ11,000人の研究結果がまとめられました。そこには、意識的練習の重要性を主張するEricsson教授らの調査も含まれています。

どの研究も、音楽、チェス、スポーツといった領域における、意識的練習と見なすことのできるアクティビティの量と、技術レベルを測定したものです。

この調査で明らかになったのは、やはり、意識的練習と技術レベルは比例するということでした。技術レベルが高ければ高いほど、意図的練習も多かったということです。しかし、その相関関係は、意識的練習が、技術レベルの差を生む主な要因だと言えるほど強いものではなかったのです。

具体的に言うと、この発見で重要な意味をもつのは、同じ技術レベルでも、そこに到達するための意識的練習の量は、人によって大きく異なるということです。

この33件の調査結果をまとめ上げた、より最近の研究もあり、それは、スポーツにおける、意識的練習とパフォーマンスの関係を把握しようというものです。

それで1つわかった大事なことは、高い技術レベルになると、意識的な練習の量でレベルを予測することができなくなるということでした。どういうことかというと、オリンピック選手などの超一流アスリートと全国大会出場選手などの一流アスリートのあいだでは、意識的練習の平均累積量にほとんど差がなかったということです。


訓練が唯一の決め手ではない


行動遺伝学者Miriam Mosingが、私たちのメタアナリシスの総説で述べているとおり、このエビデンスが示すのは、優れた能力は、心理学者が研究するほぼすべての現象と同様、複数の要因に左右されるということです。

訓練の履歴は、たしかに、人々の熟達度の差を説明する重要な要因です。練習しないで世界レベルの成績を出せる人などいません。また、音楽やチェスといった領域のスキルの基盤となる専門知識をもって生まれてくるような人もいません。ただし、訓練が、一流の技術を習得するための唯一の要素でないのは明らかなようです。他の要因も関係しているに違いありません。

さて他の要因とはどんなことでしょうか? たくさんのことが考えられますが、その1つとして、遺伝の影響を受けることがわかっている基本的能力や力量があります。

心理学者のElizabeth Meinzが行った2010年の研究では、初心者からプロまでの57人のピアノ奏者について、音楽を始めてからの意識的練習の累積量を推定した上で、「ワーキングメモリ容量」のテストを受けてもらいました。ワーキングメモリ容量とは、作業を遂行するのに欠かせない情報に注意を払い、不必要な情報は除外する能力のことです。

次にピアニストたちに、研究室に設置されたピアノを初見演奏(事前に見たことのない曲を弾くことです)してもらいました。それでわかった重大なことは、ワーキングメモリ容量がピアニストの所見演奏の成功度を決める要因だったことです。それは、何千時間という意識的練習を積んだ人にも当てはまったのです。

さらに、私たちが行った双子の研究で、人が音楽を練習するしないの傾向が、遺伝的要因に影響されることがわかったのです。その研究は、100パーセント同じ遺伝子を持つ一卵性双生児と、同じ遺伝子が平均50%である二卵性双生児を比べたものです。この研究の主たる発見は、二卵性双生児同士よりも、一卵性双生児同士のほうが、練習履歴も、基本的な音楽の適性テストのスコアも似ている傾向にあったのです。たとえば、2人揃って通算10000時間以上練習している一卵性双生児のペアのほうが、同じ条件の二卵性双生児のペアよりも多く見つかるということです。

この発見が示すのは、高いスキルのミュージシャンになるには、多くの練習が必要であることには変わりがないが、その練習をする意志に関しては、遺伝的要素が影響している、ということです。より一般的に言えば、この調査は、人は生まれつき適性のある活動に自然と引き寄せられ、頑張って続けるということを示しているのです。

また、他の科学者らによる研究では、一流のパフォーマンスと特定の遺伝子の結びつきが認められつつあります。シドニー大学の遺伝学者Kathryn North氏と研究チームが、分子遺伝学の画期的な一連の研究を行い、ACTN3という遺伝子を発見しました。この遺伝子は、速筋繊維に発現し、瞬発力を必要とするスポーツで高レベルの成功を収めることと関係しているのです。この発見に基づき、North氏らは、ACTN3が「スピード系に向く遺伝子」なのではないかとしています。

私たちは、このエビデンスを受け、優れた能力は深く複雑なもので、「氏か育ちか」という議論だけで把握しきれるものではないと主張してきました。

もはや「達人は生まれるのか?つくられるのか?」と議論する時代ではないのです。私たちの課題は、達人が生まれ、つくられるさまざまな仕組みを把握することです。それには、訓練だけでなく、遺伝的影響を含めたすべての要因を考慮に入れた、熟達のモデルを考え出し、テストを重ねていく必要があります。

現実的な観点では、この研究は、人々の能力開発を助ける正しい原理と手法を築くための科学的基礎になると私たちは考えています。スポーツ科学の研究ですでに示され始めているように、ある人が卓越する見込みのあるアクティビティは何かという正確な情報を出し、その人の可能性を最大限に引き出すための、高度に個別化したトレーニングメニューをつくれる日がいくか来るでしょう。

この研究は、決して夢を追う人々の意欲を奪うものではなく、達人のパフォーマンスが、今よりも多くの人々にとって夢でなくなる可能性を約束するものなのです。


D. Zachary Hambrick & Fredrik Ullén(原文/訳:和田美樹)
Photo by Shutterstock

  • ,,,,, - By

    香川博人

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