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大嶋拓人大嶋拓人  - ,,,,,,,,,  11:00 PM

『宇宙兄弟』『ドラゴン桜』の編集者が語る、コンテンツがあふれる時代の時間消費。クリエイティブ塾Vol.5:佐渡島庸平

『宇宙兄弟』『ドラゴン桜』の編集者が語る、コンテンツがあふれる時代の時間消費。クリエイティブ塾Vol.5:佐渡島庸平

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ライフハッカー[日本版]編集長の米田智彦が開催する「クリエイティブ塾」は、編集者としてのクリエイティヴマインドを育成するワークショップです。今回は、『ドラゴン桜』や『宇宙兄弟』を担当した編集者として知られ、クリエイターのエージェント会社、株式会社コルクの代表である佐渡島庸平(さどしま・ようへい)氏を招き、急速にデジタル化が進む時代において、「これからのコンテンツの在り方」のヒントについて、ライフハッカー編集長の米田がお聞きしました。


佐渡島庸平/株式会社コルク 代表取締役社長

1979年生まれ。灘高等学校、東京大学文学部を卒業。2002年に講談社に入社し、週刊モーニング編集部に所属。『バガボンド』(井上雄彦)、『ドラゴン桜』(三田紀房)、『働きマン』(安野モヨコ)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)、『モダンタイムス』(伊坂幸太郎)、『16歳の教科書』などの編集を担当する。2012年に講談社を退社し、作家のエージェント会社、コルクを設立。


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左から、著書『僕らの仮説が世界をつくる』(ダイヤモンド社)、『ドラゴン桜』(三田紀房)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)、『ケシゴムライフ』(羽賀翔一)。


時間消費という価値はこれから上がっていく


米田:デジタルやスマホの時代になり、読者がさまざまプラットフォームに分散するようになりました。そんな状況において、佐渡島さんやコルクはこれからどんな役割を担っていくと考えていますか?

佐渡島氏:今までの時代は、他人がどのような人間かを知るのが難しかった時代だったと思っています。例えば、今通りがかりの他人に10万円貸してください、と言われたら、まず貸せないですよね? だからこそ、「学歴」というものが必要でした。学歴がわかれば、育ってきた生活環境やその人がだいたい仕事をしていて、どれくらい信用できるか、ということがある程度はわかりました。

でも今だったら、10万円貸してくださいと言われて、「Facebook持ってます?」と聞けば、友達が何人いて、共通の友達が何人いて、Twitterのフォロワーはこれくらい、といった情報がわかります。そういう情報を元にして判断するなら、今日初めて会った他人に10万円を貸してもいいと思える可能性も出てきます。

つまり、信用というものが外書きされて、ネット空間の中で可視化されています。個人の信用の価値が限りなく上がってきていて、お金の価値が相対的に下がってきているのです。実際、今まで信用というものを他人に見せることはなかなか難しかったと言えます。信用を得るには一緒に仕事するとか、密接にやりとりをして時間をかけないといけなかった。でも、今は他人に短時間で自分はこれだけ信用されていると示せるようになったわけです。

そして、コンテンツを消費する状況について言えば、今は極端に時間の奪い合いになってきています。昔はコンテンツの数が少なかったので、「良いコンテンツを作る」という行為がコンテンツとして目立つためには有効な方法でした。それに比べて、今はコンテンツの量が多すぎて、消費者が良いコンテンツにたどり着く前にすべての時間が消費されてしまいます。

だから、「時間を消費する」ということそのものに極端に価値が生まれています。少し極端に言ってしまえば、今までは「マンガを読むならお金を払ってください」で良かったものが、これからは読者に時間を使ってマンガを読んでもらうためには、制作者側がお金を払わないといけない、という状態になってしまうと思っています。


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米田:「コンテンツの敵は別のコンテンツ」なのではなく、時間を奪う全く別の物、ウェブメディアの記事の敵は、もしかしたらゲームだったりするということですよね。

佐渡島氏:はい。出版社といった場所にいると、自分たちが作ってるものだけがコンテンツだと思いがちなんですが、たとえば代理店のコンテンツ事業局を見ると、食べ物もスポーツも、人間が積極的に消費を楽しむものはすべてコンテンツという扱いをしているんですね。レストランに行くのか、マンガを読むのか、というのも選択で、同じコンテンツとしての勝負をしているんですね。

そうなってくると、これからの時代のコンテンツは、内容を知っているものにお金を払ってください、ということになってきます。これまでのコンテンツは、内容を知らなくてもカネを払えよ、と言うことができた。そのために、このコンテンツはおもしろそうだと思わせる雰囲気を出さなくてはいけなかったわけなんですね。でも、今は一切お金を払わなくても見れるコンテンツがあふれているので、おもしろいかどうかもわからない状態でお金を払わないとダメ、という姿勢のコンテンツは敬遠されてしまうわけです。

たとえばこれが会社なら、うちの会社に問い合わせするにはまず最初にお金払ってくださいね、と言っているようなものです。ビジネスになるかどうかわからない状態でお金を要求してくる会社に問い合わせをするか、ということ。しないですよね。

時間消費という考え方に関して、本当かどうかはわからないんですが、よく語られる話があって、それはガムの消費量が落ちている、という話なんです。

米田:ああ、実際にガムの消費量は落ちているというデータを見たことがありますよ。

佐渡島氏:ガムっていうのは、「これまで他にすることがなくて暇なときに噛むもの」という位置づけだったのが、他に暇つぶしができるコンテンツがあふれているから、今はガムを噛もうと思う人が減った、という仮説なんです。

今までコンテンツが少なかったときは、本にしても音楽にしても、みんななんとなく選択してたんですね。これは考えてみるとおもしろいんですが、10年前にヒマだったらすることって「映画館に行く」とかだったんですね。でも、今ヒマだったらスマホをいじったりしますよね。映画館はというと、わざわざ予定を作って行くところ、という認識になっています。


「情報」と「時間」と掛け合わせることで新しい価値が生まれる


米田:デジタル化によって情報の価値そのものが変わってきていると思うのですが、マネタイズという面では佐渡島さんはどのようなことを考えていますか? 

佐渡島氏:情報って、情報そのものに価値があるのではなく、情報を知る時期に価値があったりします。実は、情報を売る、コンテンツを売るという部分においては中国のほうが日本より進んでいます。

中国では、こういう売り方をしているんです。みんなは1週間後に読めます。でも、お金を払えば、みんなより1週間先に読んで、感想を楽しそうに語れる。

米田:最初のレビュワーになれるということですね。

佐渡島氏:そうなんです。情報を他の人より先に知れる、という時間に注目しただけなんですが、これでお金を払う人はとても多いんです。これはコンテンツのマネタイズに限らず、時間という概念を掛け合わせることで、さまざまなビジネスにつながってくると思います。


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米田:デジタルではなく、逆に本などモノの価値はどう変わっていくと思いますか?

佐渡島氏:さまざまなことがデジタル上で済んでしまうようになるので、モノの価値は逆に上がっていくと思っています。でも、出版社は、本をコンテンツを届ける道具として見ているので、製本にかかる原価を下げようとしています。原価を下げると紙の質が落ちて、本がどんどんチープになっていくんです。

僕が考えているのは、デジタルの部分だけで制作費などを回収してしまって、本はもっとリッチにコンテンツを楽しみたい人に向けた「ハイクラス用の商品」にしていきたいんです。それこそ、「本って3000円か4000円はして、家に飾るものでしょ。」という感じです。意気込みとしては、そういう風にできない本は作らなくていい、くらいに思っています。


企画さえおもしろければ、才能は集められる


米田:ところで、佐渡島さんの1日の時間の使い方を教えていただけますか?

佐渡島氏:作家との打ち合わせが40〜50%くらい。残りの25%くらいが会社の経営、残りが新規事業やメディアに関わること、といった感じです。

米田:新しい作家を見つけたりといった、情報収集はどうしていますか?

佐渡島氏:基本的にネットだけですね。あとは、TwitterやFacebookなどでおもしろい人を見つけたら、「コルクの佐渡島なんですが会いませんか?」といった感じでかなり気軽に声をかけてますね。

以前、『We are 宇宙兄弟』という雑誌を作ったことがあるのですが、当時、宇宙兄弟のTwitterアカウントを育てて、3万人くらいフォロワーがいたんですね。そこで、雑誌を作るうえで必要なコンテンツを、ネットで集めてみたんです。それこそ、原稿なんて書いたことのないような人に「宇宙にまつわる短編を書きませんか?」と話しかけたり、デザイナーに「未来の宇宙船をデザインしてみませんか?」と言ってみたり。でも、こんな無茶な企画にみんな乗ってくれたんですね。それは、宇宙兄弟のアカウントにクレジットがたまっていたからだと思うんです。宇宙兄弟なら、おもしろいことできそうだなという実感があったからだと思うんです。


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つまり、これからの時代は、企画さえおもしろければいくらでもおもしろい人を集められる。そのためには、クレジットを貯めていくことが重要だと思ったんです。実際、講談社を辞めて独立してから、僕は自分のTwitterアカウントを持つようにして1万5千人くらいフォロワーがいるんですが、このクレジットを見て、おもしろそうだなと思って企画に乗ってくれる人もいたりするんじゃないかと思っています。


米田:最後に若い編集者や、編集という仕事に興味を持っている読者に対してメッセージをお願いします。

佐渡島氏:どんなことでもそうだと思うのですが、基本の作業が上手な人は必ずずっと支持される、と思っています。編集を料理にたとえるなら、食材を見抜いて、切って、煮たり、焼いたり、蒸したり、という基本的な作業は、流行りはあっても、基本的にいつの時代でも変わりません。基本ができる人になること。まずはここに注力してみてください。

これまでの人類の長い歴史を見ても、誰かが1人で大きく世界を変えたということはあまりありません。私たちは他人と協力して、チームで動いて初めて、大きなことを成し遂げられます。その前提を踏まえた上で、一番大切なことは人から信頼される人になるということです。信頼というのは、江戸時代でも現代でも、これからもずっと変わらないものです。「信頼される人間が成功する」というのはどの時代でも言える法則なわけです

ただ、お金持ちが成功するかというと、お金というのは信頼された証として付いてくるものなので、お金がある人がお金だけで信頼を勝ち取ろうとするとうまくいかない場合もあります。反対に、信頼がある人は短期的にお金を失っても戻ってくるということです。だから、「人から信頼される人になること」を目指してください。信頼が可視化されている現代だからこそ、人から信頼されるのはとても大事なことなのです。




今回のクリエイティブ塾では、一流のクリエイターたちと日常的に接している佐渡島氏が考えるコンテンツの在り方について、興味深いインサイトを聞くことができました。ライフハッカーでは、今後も月に1〜2回ほどで更新される、クリエイティブ塾の内容をまとめて発信していきます。


(文・写真・構成/大嶋拓人)

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