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印南敦史印南敦史  - ,,,,,  06:30 AM

自分のために生きることが人のためにもなる。心理学×哲学の思考法

自分のために生きることが人のためにもなる。心理学×哲学の思考法

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世界一受けたい心理学×哲学の授業』(嶋田将也著、ワニブックス)の著者は、中学生時代にいじめられたことが原因で、うつ病を発症したという経験の持ち主。しかしそのことがきっかけで「心」の問題に関心を抱くようになり、高校では独学で心理学を学びはじめたのだそうです。そればかりか大学では哲学に出会い、さまざまな見方や考え方を身につけ、心理学と哲学を掛け合わせた独自の思考法を開発したのだとか。

そして、「昔の自分のように人間関係で悩む人の手助けがしたい」という思いから、ブログ『世界一受けたい心理学×哲学の授業』を開設。約8ヵ月で読者は2000人を超え、人気ブロガーになったのだといいます。本書は、そのブログを書籍化したもの。

自分の心のことをしっかり知っていれば、悩むと分かっている「災」の中にわざわざ足を踏み入れることはしません。(中略)悩む心を癒す方法さえ知っていれば、傷を治しながら、前に進めるはずなのです。(中略)そこでこの本では、どちらも自分の心を理解するために有効だと言われる学問「哲学」と「心理学」2つのいいところだけを抽出し、掛け合わせた思考法を紹介していきます。(「はじめに」より)

ちなみに哲学と心理学には、「答えがそれぞれ違う」という共通点があるのだそうです。そこで本書も、絶対的な解答ではなく、「自分だけの答えを見つける」ことを目的として書かれているのだといいます。きょうはそのなかから、3時限目「人生を今から変える成功法則」に焦点を当ててみたいと思います。



成功が成功を破壊する?!


ここで著者は、道教の開祖として知られる老子の「大者宣為下」という言葉を紹介しています。これは直訳すると、「強大なものこそ下へ下へとへりくだることが大事である」という意味。つまり「強い力を持った者こそ、謙虚であるべし」ということです。

なぜ強い力を持った者自身が謙虚である必要があるのかといえば、それは「強い力を持った者自身が成功を破壊する存在」だから。強い力を持った者のなかで、バランスをとろうとする力が働くからなのだそうです。成功すればそのぶんだけ、その成功を破壊する力も強くなるということ。そして大きな目標であればあるほど、「影」の部分も大きくなり、破壊する力は強くなるのだといいます。

たとえば成功すればするほど、自惚れたり、まわりを見下して天狗になってしまいがち。しかし著者は、それではもったいないと記しています。なぜなら、成功したうえで謙虚でいれば、多くの人がそれを称賛し、さらなる成功をも引き寄せることができるかもしれないのだから。

ただ「成功すること」だけに目線を向けていたのでは、決して本当の成功とはいえない。その成功の表面にある影にも目を向け、対処していかなければいけないという考え方。いわば著者が伝えようとしているのは、自分の成功に対して「短絡的に楽観視しているだけだと痛い目を見るよ」ということ。自身の意識下で「いばる自分」を認識し、自力で抑えることができないと、成功してもすぐ成功を壊してしまうというわけです。(94ページより)


成功したければ、あえて「逆」を


生きている限り、戦わざるを得ない状況は誰にでもあるものです。学校、会社、家庭内などには往々にして、強制的に参加させられる「戦う状況」があるということ。老子は「水のように争うことなく生きよう」というけれども、そんなにうまくはいかないわけです。しかし、そんな人に対して老子は、「正面衝突ではなく、その逆の手を使って戦うのが良し」という教えを説いているのだそうです。

現代的に見れば、
「相手を黙らせたいのであれば、その逆! 反論せずに気が済むまで話させる」
「相手から貰いたいのであれば、その逆! まずはこちらから与える」
「相手を押さえつけたいのであれば、その逆! まずは自由に泳がせておく」
ということです。
つまりは、相手を油断させておいて、「隙をつく」ということ。
(105ページより)

似たような言葉を、孫子も残しているのだそうです。それは、「始如処女、後加脱兎(はじめは処女の如く、後は脱兎の如し)」というもの。つまり、「戦いの始まりは弱々しく見せて、相手を油断させておく。そして戦いの勝敗を左右する場面になったら、素早く攻勢に出て、一気にたたみかける。それが戦いの基本だ」という意味。だからこそ、戦わざるを得ない状況を出くわした際には、この教えを実践してみるといいと著者は提案しています。(104ページより)


本当に強い者は争わない


老子の「上善若水」という有名な言葉の意味は、端的にいえば「水こそ最強」ということ。老子は水に「最上の善」という意味をつけていたのだそうです。つまり、争いを避けて生きようという提案。

老子が生きていたのは、国同士の争いばかりで、戦で利を得ようという生き方が一般的だった時代。「人を蹴落としてでも上を目指そう」という考えが当たり前のものだったということです。老子はそんな時代にあえて、「水のように人と争わず、常に低いとこ露に止まりなさい」と、生き方の見本として"水"を挙げたわけです。

当然ながら、水は原則として上流から下流に、上から下に落ちるもの。そして下へ下へと移動し、やがて広大な海につながります。なお、アドラーの「競争しない」という教えも、これと同じ意味にあたるのだとか。

「競争から降りて生きる」というと、負けを認めるような気がする方もいるかもしれません。しかし、ここには重要なポイントがあるといいます。考えてみるべきは、「水が流れているところに石を落としたらどうなるか?」ということ。いうまでもなく、水は石を避けて流れます。いってみれば「石と戦うぞ!」と石を動かそうとするのではなく、「他の場所を通ります」と、決して争うことをしないわけです。

しかしそうでありながら、水は少しずつ土や石を動かして削っていき、いずれ穴を開けてしまうこともあるもの。争うことを避けながらも、実はそれだけの力を持っているわけです。実体があるもののなかで、「なによりも柔らかいのに、なによりも強い」水のように、「争うことなく低いところに止まる」ことが、なによりも素晴らしい生き方だという考え方です。(108ページより)


自分のために生きることが人のためになる?!


仏教には「自利利他」という教えがあります。
「自利」...自分の利益のために努力すること。修行すること。
→他人より自分優先

「利他」...他人の利益のために努力すること。
→自分より他人優先
(120ページより)

「自利利他」とは、言葉どおり「2つで1つ」だということ。天台宗の最澄は、「自利とは利他を言う」といっているそうです。つまり「他人の利益のために努力すれば、それはいずれ自分にも返ってくる。だから利他を積極的にしましょう」ということ。アドラーの言葉でいえば、「他者貢献」がこれに相当するもの。だからこそ、無理に他者のために生きる必要はないと著者は主張します。なぜなら、自分のためにやることが、他人のためになるのだから。

このことを実際に証明するエピソードとして、著者は「フェルマーの最終定理」の話題を持ち出しています。ご存知のとおり、数学の世界において、証明するまでに360年もの歳月がかかった問題。

この定理に挑んだ数学者のひとりが、数々の数学の公式を生んだ天才であるレオンハルト・オイラー。数学のしすぎで盲目になり、それでも数学を解き明かし続けた「盲目の数学者」として知られています。彼もフェルマーの最終定理を解くことはできませんでしたが、突破口を開けたひとりであることは事実。

ではオイラーは、他人のために数学を解き、証明していたのでしょうか? この問いに対するポイントは、決してそうではなく、「ただ数学が好きだったから解いただけ」だということ。自分で自分の感情を満たす、まさに「自利」だったわけです。

しかし、彼が多くの数学の公式を生み出したことや、あるいはフェルマーの最終定理の突破口を切り開いたことは、結果的に後世に受け継がれ、私たちの役に立っている。いいかえれば他人に利益を与えているので、これは「利他」となるわけです。

自利だと思っていたことが、実は利他。誰かのためにやるのではなく、ただ自分の感情を満たすためにやる。しかし、それは自然と利他につながる。これこそが、無理に他人のためにがんばる必要などないという考え方の証拠であると著者は結んでいます。(120ページより)




哲学や心理学には難解なイメージもありますが、本書のアプローチはとてもシンプルで柔軟なもの。肩肘を張らずに読み進めることができるので、思いのほか役立ってくれそうです。不安を抱えていたり、つまづいている人は、手に取ってみる価値があるかもしれません。


(印南敦史)

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