• GIZMODO
  • DIGIDAY
  • gene
  • cafeglobe
  • MYLOHAS
  • Glitty
  • machi-ya
  • roomie
  • GIZMODO
  • DIGIDAY
  • gene
  • cafeglobe
  • MYLOHAS
  • Glitty
  • machi-ya
  • roomie

印南敦史印南敦史  - ,,,,  06:30 AM

リーダーシップ論は無意味? 組織の「現実」と向き合うヒント

リーダーシップ論は無意味? 組織の「現実」と向き合うヒント

160728book_to_read.jpg


悪いヤツほど出世する』(ジェフリー・フェファー著、村井章子訳、日本経済新聞出版社)の著者は、スタンフォード大学ビジネススクール教授。組織行動学を専門とし、特に権力やリーダーシップなどのテーマにおいて高い人気を誇っているそうです。また、経営学の第一人者としても有名。本書ではそのような立場に基づき、「リーダーシップ神話の嘘」を暴いているのです。

リーダーシップに関する通説の影響力はきわめて大きく、多くの人がキャリアの指針としているが、実際にはそれで損をすることのほうが多い。それらを無批判に受け入れていると、現実を正しく評価し、よりよい方向に進むことができなくなってしまう。こうした次第で私はリーダーシップを研究テーマとして取り組むことを決意し、リーダーシップに関するさまざまな著作やブログや講演や、さらには高いお金をとって行われる研修などがいっこうに華々しい成果を上げられないのはなぜかを調べることにした。(「はじめに」より)

そして重要なポイントがあります。リーダーシップに関する従来の知識や研修などが実際の現場で役立たないのだとすれば、人間の行動をもっと別の方法で理解しなければならないということ。そうなれば、企業や組織におけるリーダーシップの教え方も変えなければならないという考え方です。

第8章「リーダー神話を捨て、真実に耐える」の中から、「組織の現実と向き合うための、6つのヒント」を見てみましょう。



「こうあるべきだ」(規範)と「こうである」(事実)を混同しない


リーダーシップ教育産業の目的は、未来のリーダーを育成することや、現在リーダーの役割を果たしている人のさらなる能力開発。そのため、この業界の多くの人にとっては、「いまのリーダーはこうだ」ということよりも、「リーダーはこうあるべきだ」ということのほうが重要視されがちだといいます。

「あるべき姿を教えなければならない」という信念から、玉石混淆のリーダーの実像ではなく、よきリーダーのモデルが熱心に語られ、サクセスストーリーが強調され、さまざまな助言や指導が行われるのです。そして、「よいリーダーと悪いリーダーの比率はどうか」「長きにわたりリーダーシップ教育が行われてきたにもかかわらず、悪いリーダーが多いのはなぜか」など、都合の悪い質問は巧みに回避されるのだとか。

事実、著者の近くでリーダーシップを教えている同僚も、「教師の仕事はよいロールモデルを示し、なにをすべきか学生に教えることだ」、あるいは「リーダーたるものは高い目的意識を持ち、効率的に時間を使い、最高の職場をつくり上げることだ」というようなことを考えているといいます。高い理想に向けて学生の精神を発揚することが、教師の仕事だと考えているということ。

しかし著者は、こうしたアプローチが成果を上げているという証拠はひとつもないと断言します。そのことは、仕事満足度の低下、リーダーの在職期間の短縮、離職率の上昇、解雇されるリーダーの増加といった客観的な数字が証明しているとも。また、こうしたアプローチには理論的な裏づけもないすらいうのです。

もちろん、すべてがそうだとはいえないでしょう。信頼できて部下思いの謙虚なリーダーも存在するはずですし、彼らのことは尊敬し、賞賛すべきです。しかし、そうしたリーダーがごくわずかであることも認めなければならないといいます。さもないと、よきリーダーを目指すことの困難を過小評価することになるから。多くの場合、リーダーシップ本に描かれている世界は「本のなかにしか存在しない」ということ。(280ページより)


他人の言葉ではなく行動を見る


「有言実行」という言葉が陳腐化していることからもわかるとおり、リーダーの言葉やリーダーについて書かれていることと、実際のリーダーの言動との間にはかなりの不一致があると著者は指摘します。

重要なのは使え聞いた言動ではなく、リーダーが"実際に"なにをしているのか。現実の行動と実績にこそ注意を払うべきだということです。だからこそ、先入観を持つことなく、注意深い観察者に徹して、できる限り期待や願望を排除するべき。現在のリーダーと文化の下で、組織の内部をうまく泳いでいかなければならないのは誰も同じ。そんなとき、人のいうことではなく自分の目で見たことに従えば、きっとうまくいくというわけです。

世の中では、雄弁と現実は往々にして一致しないもの。リーダーの場合には、それがあたりまえになっていると考えておくべきだと著者は主張します。(282ページより)


ときには悪いこともしなければならない、と知る


リーダーシップ産業がリーダーに期待するのは、よい両親が子どもを育てるようなふるまい。いわば普遍的な行動を奨励するわけですが、にもかかわらずそうした行動が一向に増えないのは、それらが効果的でも効率的でもないから。ところが、そうは考えられていないというのです。しかし著者は断言します。「よい結果を出すために、よからぬことをせざるを得ないときもある」と。

よい目的を達成するためには、まずは勇気と知恵を持ち、苦痛を伴う行動をとらなければならないということ。これはなんについてもいえることで、いうまでもなくリーダーも同じ。「決断する」「実行する」「改革する」「競争環境で勝ち抜く」といったことには意志の力が必要で、さらに、一部の人から反発されかねない行動をとり、反感を買いかねないような資質を発揮することが必要だという考え方です。

優れたリーダーが不足しているのも、リーダーシップ産業が失敗し続けているのも、ここに原因があると著者は指摘しています。いいかえれば、彼らはこの根本的な事実に気づいていないということ。(285ページより)


普遍的なアドバイスを求めない


人はアドバイスが大好き。ダイエットから財産管理、よきリーダーになる方法まで、「ハウツー産業」が大繁盛しているのはそのためだといいます。ところがアドバイスビジネスは、提供したアドバイスが実際に実行されるかどうかは気にしないもの。なぜなら彼らの利益は、アドバイスを売った時点で得られるから。それどころか、お客がアドバイスを実行して問題が解決したとしたら、その問題について将来利益を得る機会が消滅してしまうことになるわけです。

ところでリーダーシップに関するアドバイスは、極めて普遍的なものが多いそうです。「リーダーたるものは誠実であれ」「本物であれ」「部下思いであれ」といったことが万人に求められる資質や行動として奨励されるのです。しかし、「サソリや蜘蛛だらけの森のなかでひとりだけサソリでも蜘蛛でもなかったら、生き延びるチャンスはきわめて小さくなってしまうだろう」と著者。

だからこそ、「よきリーダーになるために自分はなにをすべきか」という問いに対する答は、「よきリーダー」をどう解釈するか次第だということになるはず。この点はきわめて重大であり、同様に、自分の置かれた環境やそこでの行動規範に関する知識や理解も重要。具体的には、どんな行動が弱さや無能力を露呈し、どんな行動が強さや自信や能力を誇示できるかをわきまえておくべきだといいます。

よきリーダーになるためには、まずはその地位に就くために、次に地位を維持するために、自分の置かれた環境で必要な能力や行動を示さなければならないということです。(289ページより)


「白か黒か」で考えない


映画の魅力のひとつは、"勧善懲悪"に代表されるように、白黒がはっきりしていること。そして私たちも、「白か黒か」思考に走ってしまいがちだと著者は指摘しています。しかしそうした思考法は、複雑な現実を過度に単純化してしまいがち。単純化してしまえば、誤った確信が持てるので心地よいのは事実。しかし、なにごとも白黒をはっきりさせようとする姿勢で臨んでいたのでは、現実の世界の複雑な問題に取り組むことが難しくなってしまうといいます。

そうした単純思考をやめるのは、なかなか困難なことでもあるでしょう。しかし、リーダーを含めあらゆる人は複雑で多元的で多面的であるという真実を受け入れ、それをよしとするならば、そして、ひとりの人間のなかには強さもあれば弱さもあることを認めるならば、社会のダイナミクスをよりよく理解できるようになるだろうと著者は記しています。そして、これから生き抜かなければならない組織について、より真実に近い姿を把握できるようになるとも。(291ページより)


許せども忘れず


このフレーズは、医療分野を専門とする社会心理学者チャールズ・ボスクの著書『許して忘れずーー医療過誤にどう対処するか』を、リーダーシップ用に著者が改変したものだそうです。

怨恨や復讐心を抱き続けるのは相手よりも当人にとって不幸なことであり、そういう意味でも許すことは大切。それに人間というものは、一度の失敗に対して二度目、三度目、四度目、五度目のチャンスを与えるに値するもの。

だからといって、過去がしばしば未来の予言となることを否定し、リーダーの過去のふるまいを忘れてしまい、決定を下すときに過去を参照せず、希望的観測に基づいて将来に期待するとしたら、それはトラブルを招くだけだということ。(293ページより)




理想論的な側面が少なからずあるのは事実でしょうし、たしかにリーダーシップ論を過信するのは危険かもしれません。そして大切なのは、現実を受け入れたうえで、どう考え、どう行動するべきかということであるはず。だからこそ、そのスタートラインとして参考にする価値が本書にはあるように感じます。


(印南敦史)

MORE FROM LIFEHACKER

powered by
    
    
    
  

Kotaku

Recommended

© mediagene Inc.