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印南敦史  - ,,,  06:30 AM

日本史は米をめぐってつくられてきた? 「触発現象による文化の再生産」とは

日本史は米をめぐってつくられてきた? 「触発現象による文化の再生産」とは

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表紙からも想像がつくとおりのコミック版。なので、全体的にはコミックが主体となっています。しかし解説の文章も簡潔でわかりやすいため、とても充実した内容になっているのが『コミック版 梅干と日本刀(梅干編)』(樋口清之原作、青木健生脚本、玉置かつき漫画、祥伝社)。

ご存知の方も多いと思いますが、原作は樋口清之による1974年のベストセラーです。日本の「食」に注目し、その素晴らしさを論じた名著。翌75年の『続・梅干と日本刀』、76年の『梅干と大福帳』を合わせると、累計部数は130万部を超えるといいます。

「米を食べるとバカになる」といった迷信が堂々と語られていた時代に、「日の丸弁当は超合理的な食品である」と真っ向から反論したのですから、話題になったのも当然かもしれません。(「プロローグ」より)

そんな作品を、日本食に魅了されたスコットランド人女性を主人公にしたストーリーによって再構築したのが本書。しかし、ここでコミックをご紹介するわけにはいかないので、米について語られた第1章「『主食』になった理由(わけ)」の解説部分に焦点を当ててみたいと思います。



日本史は米をめぐってつくられてきた


日本人の主食である「米」は、日本の「食」について考える際の初めの一歩。日本人にとって米は神聖なものであり、日本人が稲作について払ってきた努力には驚くべきものがあったと著者は記しています。ある意味において、米を原動力として歴史は転換していったため、日本史は米とともにつくられてきたといっても過言ではないとも。

東北での稲作成功を背景に、豪族安倍氏が勢力を持つようになる。
しかし、この稲も完全ではなかった。いや、稲はよかったのだが、日本は平安時代の後期に寒冷期に入るのである。何度も冷害が起こり、減収に減収を重ねることになってしまった。(中略)

あらゆる意味で、日本史の裏側には米の争いがあった。米を原動力に歴史は転換してゆくのである。

(44ページより)

寒冷期に、米をめぐる複数の内乱が起こり、そこからやがて武家の時代へ。本来は亜熱帯の植物である「米」をいかにして日本の気候や土壌に適応させるか。そのための努力が、日本の歴史をつくってきたということ。

そしてその過程においては、さまざまな知恵が生まれることになったのだとか。それらはのちの人間、つまり私たちの目から見ると驚嘆に値するものが多く、原作者はそれを「触発現象による文化の再生産」と呼んでいるのだそうです。(44ページより)


400年以上前に、米を96種も品種改良した


大陸に沿って、南北にウナギのように延びている日本列島。北は北方圏のシベリアまで延び、南は東南アジアにも近いのが特徴。つまり、北と南の両方から文化が入ってくる絶好の位置にあるわけです。

気候は比較的温暖で自然には恵まれているものの、アジア・モンスーン地帯に属しているため台風が多く、常に安定した食糧供給ができるとは限りません。しかし、だからといって島の外に食糧を求めることも困難。そのため必然的に、島にあるものも、外から入ってくるものも、なんでも利用してみようとする精神が育っていったのだといいます。

島の外から刺激を受けると、能力を総動員して対応。そして日本という限られた条件のなかで利用できるように、外来のものとは異なる新たな価値観や別の性質を持ったものに変えてしまうことに。これが先に触れた「触発現象による文化の再生産」だというわけです。とだけ聞くといかにも難しそうですが、たとえばそのひとつが「米の改良」。かつての日本人は、日本向けに利用できるように米をつくり替えてきたということ。

ちなみに日本最初の農法の書物といわれているのは、足利時代後期に伊予の国(愛媛県)の土居清良という人のことを書いた『親民鑑月集』(『清良記』ともいい、第7巻が農業書)。その本では麦24種、豆32種などいろいろな農作物の種類が紹介されており、米について書かれた部分もあるのだそうです。

そこに書かれているのは、当時すでに「96種の米の品種」があったという事実。日本の米は96種も意識的に改良され、当時の栽培主である農民がそれを使い分けていたというのです。

米は風土、地味によって適応しないことがある。そこで、日本の農民は中世以来、改良を続け、ついには「山地につくる米」「寒地につくる米」「低湿地につくる米」といった日本のそれぞれの風土に順応し、しかも、高カロリーの米というのを九十六種類、それぞれに名前をつけて持っていたのである。(中略)今日のような分析機械もない時代に、何によってそれを分析したかというと、農民の舌である。自分たちの味覚で、それを分類したのである。ということは、彼らの味覚がひじょうに進んでいたということである。(47ページより)

『梅干と日本刀』384ページには、このような記述が。(46ページより)


米を「炊く」のは日本人だけ


さて、「触発現象による文化の再生産」のふたつ目の例は、「米を炊く」という技術。炊くことによって、米はいっそうおいしくなったというわけです。

東南アジアには、米を木の葉に包んで蒸していた習慣があります。だとすれば当然のことながら、米の伝来と同時に「蒸す」という調理法も日本にやってきたと考えられるでしょう。ところが蒸すだけでは米の持っているグルテンが充分に引き出せないため、米の本当のおいしさを引き出すことは不可能。そこで日本人は、米を水に入れて煮る、「米を炊く」ことを考えついたというのです。

ちなみに中国でも米を水のなかに入れて炊くのですが、米が炊けると炊き汁を捨ててしまうのだとか。つまり、パサパサした繊維とでんぷんだけを残した飯にしてしまうということ。そしてこれは、ヨーロッパでもアメリカでも同様。大きな釜にいっぱい湯を入れ、米を入れ、米が柔らかくなると、大きな網ですくい、水を切って食べているということです。

一方、グルテンの流出した水分をもう一回、米の組織のなかに再吸収させるのが日本人のスタイル。それがご飯の「後熟(こうじゅく)」で、つまりは「蒸す」「むれる」「うむ」という作業。ご飯が炊きあがると、その後フタをしたまま、しばらく釜のなかにご飯を置いておく。そのときにグルテンが全部、米のなかに再吸収されるのです。

それを日本人は「もうちょっと置いたほうが、うまいご飯ができる」と表現しますが、そうすることによって、うま味が増幅されるのです。著者によればこれこそ、日本のご飯が「うまい」という言葉で表現される根拠。外国人をも魅了する日本の米の味は、日本人が発明した米の調理法に起因するというわけなのです。

米と、米を「蒸す」という調理法を教えてもらったものの、それをそのまま受け継ぐのではなく、調理法を工夫する。そうすることで、それまでは知られていなかった米の味を引き出していく。それが、日本人の「触発現象による文化の再生産」だということです。(48ページより)




コミックを取り入れた書籍は最近の流行ですが、名作をリメイクした本書には、他のコミック版書籍にはないオリジナリティが備わっています。まずはここを入り口として活用し、次に原作を読んでみるという楽しみ方もあるかもしれません。


(印南敦史)

  • ,,,, - By

    友清哲

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