• GIZMODO
  • DIGIDAY
  • gene
  • cafeglobe
  • MYLOHAS
  • Glitty
  • machi-ya
  • roomie
  • GIZMODO
  • DIGIDAY
  • gene
  • cafeglobe
  • MYLOHAS
  • Glitty
  • machi-ya
  • roomie

ライフハッカー編集部ライフハッカー編集部  - ,,,,,  11:00 AM

映画『ママダメ』の広がりはパソコンのおかげ。4K映像の直編集がプロモーションにまで及ぶ工夫を生む

Sponsored

映画『ママダメ』の広がりはパソコンのおかげ。4K映像の直編集がプロモーションにまで及ぶ工夫を生む

160630_raytrek_yachida1.jpg


一般家庭用のハイエンドTVでは4Kの解像度がスタンダードになりつつありますが、映画の世界ではより精細で美しい映像を求め、6K、8Kの世界に突入しつつあります。解像度のアップにともなって、制作現場で扱われるデータ容量は指数関数的に増えており、編集にかかる時間、機材費、人件費も膨れ上がる一方。もはや、ハリウッドのような資本がないと高解像度の映像作品には手を出せないのでしょうか?

そんな中、機材の工夫によって、少予算で4K解像度の劇場作品を制作した監督がいます。この夏に日本と台湾で同時公開される映画『ママは日本へ嫁に行っちゃダメと言うけれど。(以下ママダメ)』の監督を務める谷内田彰久(やちだ あきひさ)さんです。予算に制限のあることが多い邦画業界において、どのようにして高解像度に対応したのか、またプロモーションや劇場公開のプロセスをどう変えようとしているのか? お話をうかがいました。

『ママは日本へ嫁に行っちゃダメと言うけれど。』
160630_mamadame.jpg
台湾人女性「リンちゃん」と日本人男性「モギサン」の交際を描くラブストーリー。Facebookで知り合った2人が距離を縮め、ゴールインするまでの過程をたどる。
原作は実在するカップルによるブログ(Facebookページ)で、日台で30万以上の「いいね」を集め、書籍化もされた。7月7日の一般試写会を経て、この夏に日本と台湾で同時公開予定。[公式Facebookページ

機材をちゃんと考えれば個人レベルでも6K映像を扱える


── 公式サイトにあるプロモーションムービーを拝見しました。さすがに4K映像はきれいですね。制作にはどのくらいの期間がかかったのでしょうか?

谷内田:ありがとうございます。映像はカメラマンが頑張ってくれました。僕は演出しかしていません(笑)。制作ですが...実はまだ完成していません。7月7日に一般試写会を行うのですが、その反応をみてから再編集をかける予定です。「原作者も含めて、映画に関わる人々の意見や想いを全て編集に反映したい」ということを目指しています。今回の映画はノンフィクションのお話で、リアルタイムで2人の物語を見守っていたファンが大勢います。『ママダメ』ファンの世界観を壊さないよう、試写を繰り返してフィードバックをひたすら本編に反映するようにしています。

── 普通、映画用の撮影素材だと、仮編集のための「元データのダウンコンバート(編集しやすいサイズにデータ量を落とす作業)」だけでも1週間ほどかかりますよね。さらに再編集の作業にも処理時間が生じるはず。公開に間に合うのでしょうか?

谷内田:間に合います。今回は4K映画の制作ですが、実際には6.5Kで撮影したデータを編集しています。さすがに解像度が高すぎて、既存のコンシューマーPCでは編集できないので、元データをそのまま編集(ネイティブ編集)できるよう、PCの構成を考えました。

── 構成を変えただけで、コンシューマーPCで6.5Kの映像をネイティブ編集できたんですか?

谷内田:できました。僕としては、最近の映像の制作体制には不満があるんです。これから6Kだ、8Kだ、という時代なのに、いまでも撮った素材をダウンコンバートして、その素材をもとに編集のためのプロジェクトファイルを作り、その後レンダリング(プロジェクトファイルをもとに元データを編集する作業)して...みたいなことをやるんですね。で、コンバートのたびに1~2週間のロスが発生するから、資本を持つ大手スタジオじゃないと作れません、みたいな雰囲気があります。

けど世の中を見てみると、コンシューマー用の機材を使って、もっと少人数でネイティブ編集ができるんじゃないか、と考えたんです。いまのPCの処理能力はGPUが中心で、6Kをネイティブ編集するにはすでに十分なパワーがあります。そこで、以前から親交があったサードウェーブデジノスさんに相談したんです。やりたいことと、システム構成を伝えて、タイアップで機材をそろえられないかと。そして、今回raytrek」のカスタムモデルを用意してもらいました。おかげで、『ママダメ』では以下のフローで作業ができるようになりました。

  1. 6.5Kカメラで撮影(この時点でのデータ量は20TB)
  2. 編集に使用したい素材を切り出す(データ量は6TB)
  3. 切り出した素材のコピーと「raytrek」を編集メンバーそれぞれ(4名)に配布
  4. 軽量な「プロジェクトファイル*」のみをメンバー間で共有
  5. 気になる点や修正したい箇所は、自分でプロジェクトファイルに手を入れてフィードバック
*編集の手順や画面の調整パラメータだけをまとめたファイル。

谷内田:ネイティブ編集なだけあって、これまでストレスだった「修正反映後の動画はアップコンバートを待って確認する」必要がなくなりました。修正したその場で確認でき、メンバーにプロジェクトファイルを送って完了です。これならとことん作品作りにこだわることができます。制作費という観点でも、スタジオを借りると1時間で3万円ほどかかるので、「raytrek」で実現できれば圧倒的なコストカットになります。


ネイティブ編集で実現できた細やかな編集

160630_raytrek_edit.jpg編集スタジオには主演の中野裕太さん(右)が入り浸っていたとか。


── さきほど「ファンの世界観を壊さないようフィードバックを集めている」とのことでしたが、実際にはどのような手法をとっているのでしょうか?

谷内田:はい。『ママダメ』に対するファンからのフィードバックを得るために、ディズニー方式にならったビューイングを50回ほど実施しました。

── ディズニー方式といえば、予告編を見せてフィードバックをもらうという。

谷内田:僕らの場合は全編見せています。オンライン転送サービスを使って、映像データを丸ごと送りました。流出したらどうしよう? とも考えましたが、編集途中だし、完成したものにお金を払ってもらえればいいんだ! と割り切りました(笑)。

raytrek」を使ったネイティブ編集なら、もらった意見をすぐ反映できるんです。本作の場合、編集の現場に主演の中野裕太さんがいつもいて、編集マンとあれこれ言い合って、「監督どう?」って僕に見せてくれる。原作者の夫婦も意見をくれて、もう一人の主演の簡嫚書(ジエン・マンシュー)さんなんか「私だったらこうする」って自分で編集したファイルを持ってきてくれて。「面白い、それやろう!」みたいな(笑)。

やっぱり台湾と日本の作品なので、台湾人が観ても面白い、日本人が観ても面白いっていう、バランスを取らなくちゃいけないじゃないですか。だから編集が上がるたび、原作を知ってる人/知らない人を、台湾人/日本人の両方をピックアップして見せてるんです。その人たちから細かく意見を取って「ここは泣いたけど、ここは意味が分からなかった」みたいなところを、編集で何度も何度も直して。レンダリングで浮いた時間はそこに使っています。


タイアップのみで2億円相当のプロモーションを実現

160630_raytrek_yachida_fb.jpgFacebookページのフォロワーから、ユーザー像を細かく推測する谷内田監督。


── 話は変わりますが、映画の興行にはかなりの広告宣伝費がかかると聞いています。制作費は節約できても、そこはさすがに資本勝負になるのではないでしょうか?

谷内田:通常の映画プロモーションは作品が完成してから行うことが多いですが、その通りにやっていたら、資本勝負になったでしょうね。

今回、僕らは映画が完成する前からプロモーション活動を始めました。『ママダメ』原作には固定ファンがいて、Facebookページには30万人程が『いいね!』しています。そこで、Facebookページの日本版を作ってユーザーの分析をしたんです。『ママダメ』のファンはかなり属性がはっきりしています。恋がしたい/失恋した/結婚したい/付き合いたてのカップル...都市部の22歳から35歳までに絞りこみました。あとはFacebookでのやりとりをまとめた本を購入した方へのインタビューですね。そこで得たマーケティングデータを持って、ターゲット層が近しいサービスを展開している企業を回り、タイアップを相談しました。撮影した直後で映像も見せられない段階から、ゼロベースで1社1社当たっていくと、向こうも「何か面白いことさせてもらえるんじゃないか」って反応してくれるんです。実は、宣伝費がほとんどかかってないんですね。

── どんなタイアップ企画があるんでしょうか?

谷内田:わかりやすいところだと、
旅行会社さんや通販会社さんと組んで、台湾の『ママダメ』ファンが選ぶ、日本の『ママダメ』ファンにオススメの台湾グルメや観光スポットの投票キャンペーン等を行いました。投票結果を記事化してもらい、ランキング上位のグルメ・観光スポットを巡るツアーを旅行会社さんに商品化してもらいました。あとは、オンライン婚活サービスやカップル向けのSNS、結婚式場とか。

それぞれ近いユーザー層を抱えているけど、セグメントは少しずつ違います。そこで映画をきっかけにしてユーザーを交換していく。他にも音楽コミュニティアプリで挿入歌のオーディションを実施しています。タイアップ数は2桁くらいになりますかね。

── 映画監督という職業は、プロモーションも担当されるのですか?

谷内田:監督どころかプロデューサーでもここまでするのは少数派だと思います。でも、インディーズとか、お金のないところはやるべきです。日本語版『ママダメ』Facebookページには1万人程度のフォロワーがいますが、投稿したときのリーチ数は1回で200万に届くこともあります。面白いタイアップ企画が「Yahoo!ニュース」に取り上げてもらえることもある。『ママダメ』のケースでいうと、広告換算費で2億円余りの効果があったと見ています。それだけ予算が浮けば、現場に費やせるお金が増えるということになります。

── それだけ作品のクオリティを上げられるということですね。

谷内田:そうですね。さらに考えているのが、映画のクオリティを上げるだけでなく、映画を実質タダで見られる仕組みを作って、ユーザーにも喜んでもらえたらと考えています

大雑把に言うとアフィリエイトなどのオンライン広告モデルを上手く組み合わせて、広告収入からチケット代をユーザーに還元してゆくサービスを作るつもりです。まずは『ママダメ』のオンライン試写を使って、日本と台湾で試験してみる予定です。今後は他の様々な作品を、より広いエリアで展開してゆきたいですね。」


機材の進化によって映像の作り方も変えられる

160630_raytrek_yachida_3.jpg谷内田監督「raytrekのスペックなら8K映像のネイティブ編集も対応できると思います」


── お話を聞いていると、「raytrek」で編集プロセスを効率化できたからこそ、谷内田監督がさまざまな活動をできる余裕ができたように感じたのですが、なぜ最初に機材から手をつけよう、と考えたのですか?

谷内田:昔の話を少しだけすると、僕が初監督を務めたときの編集マンはリニア編集(テープを再生し、必要部分を順番にピックアップしていく方式。再編集したい時は同じ箇所を最初からやり直す手間がかかる)だったんですね。いろいろなことを試したくても、その場で決断しなければならなくて、あとからの変更は難しかったんです。僕の中で、ものすごく物足りない気持ちが残りました。

そのもやもやした気持ちのまま2作目の監督をやったとき、別の編集マンから「おまえが想像したすべては形になる。だから、制限をかけるな」ってアドバイスを受けて。当時は貧弱なPCを根性で使っていた時代でしたが、根性で及ばない部分をPCが補ってくれればいいな、と思っていました。もっといいPCがあれば、みんなよりいいものが作れるんじゃないか。だから、僕はスタッフに無理難題を言う代わりに、より新しくて、いい機材を調達して、彼らに使ってもらえばいいじゃないか、と。それが転じて、PCを好きになっていったんです。

今後、「raytrek」には、小型化を目指して欲しいです。国際線の手荷物サイズになれば、海外を飛び回りながら現地でネイティブ編集ができるじゃないですか。あとは、遠隔地からのリアルタイム編集にもトライしたいです。現場の撮影チームがインターネット回線で撮影データを編集者に送ることができれば、編集者は自宅で作業できます。さらに、送られてきたデータをネイティブ編集して撮影チームに返せば、撮影現場でも役立ちます。

たとえば、午前中に撮影したシーンを午後に確認して、「こうなるのであれば、もっと演技をこうしよう」とか、「こんな風景も追加で入れると良いよね」など、監督と演出家、役者、カメラマンが話し合ってより良い撮影を行うことができそうです。お金のことを気にせずにアイデアを試せるって素敵ですよ。可能性が広がると思いませんか。

── PCの進化で、映画がより面白くなりそうですね! 本日は貴重なお話ありがとうございました。

谷内田:こちらこそ!



160630_raytrek_pc.jpg


『ママダメ』の編集で使われたコンシューマーPC、「raytrek」。映像編集をはじめ、さまざまなプロのクリエイターたちが制作の現場で使いはじめています。創作の可能性を広げたいなら、ぜひチェックしてみてください。


創る人のPCブランド/raytrek│株式会社サードウェーブデジノス

(文:戸田敏治/インタビュー撮影:大崎えりや)

MORE FROM LIFEHACKER

powered by

Kotaku

Recommended

© mediagene Inc.