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大嶋拓人  - ,,,,,,,  09:00 AM

政府が無条件で月27万円支給。スイス大使館で聞いたベーシック・インカム実現の可能性

政府が無条件で月27万円支給。スイス大使館で聞いたベーシック・インカム実現の可能性

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近年、ヨーロッパを中心に注目を集めているベーシック・インカム。オランダが2016年の1月からユトレヒトで実証実験を開始し、フィンランドでも導入が検討されています。ベーシック・インカムとは、政府がすべての国民に対して最低限の生活を送るのに必要な金額を無条件で定期的に支給するという構想のこと。これまで単純に「アイデア」として語られていたベーシック・インカムでしたが、近年は国の福祉政策として真面目に検討されるようになっています。

2016年6月5日、スイスでベーシック・インカムの導入をめぐる国民投票が行われます。ベーシック・インカムに関する世界初の国民投票となることから、国際的にも大きな注目を集めています。

そこでライフハッカー[日本版]は、ベーシック・インカムについて現地の温度感を知るべく在日スイス大使館を訪れました。インタビューに応じてくれたのは在日スイス大使館にて文化・広報部長を務める、ミゲル・ペレス=ラプラント氏。ベーシック・インカムについて世界一熱い議論が交わされている理由がわかるはずです。


国民の発案がきっかけで実施する国民投票


── ベーシック・インカムについての国民投票が行われるのはスイスが世界初となりますが、なぜ世界に先駆けて国民投票が行われることになったのですか?

ペレス=ラプラント氏:まず、よく誤解されるのですが、今回のベーシック・インカムは、政府が発案して国民投票を呼びかけているわけではありません。スイスでは10万人の有権者の署名を集めれば、国民投票を実施できる「国民イニシアチブ(国民発議)」という制度があります。ベーシック・インカムについてのアイデアも、一部の市民グループが「スイス全体でベーシック・インカム導入を議論すべき」と考えて署名を集めたのがきっかけでした。数年前に10万以上の署名数を集め、2016年6月5日に導入の是非を問う国民投票が実施されることになりました。


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仮に国民の過半数が賛成した場合、ベーシック・インカムが国の法律としてもっとも効力を持つスイス連邦憲法になります。スイスの根幹を決める重要な国民投票なので、国内では活発な議論がされています。


ベーシック・インカムの提案内容はたった3つの文章だけ


── 議論になっているベーシック・インカムはどのような案ですか?

ペレス=ラプラント氏:国民イニシアチブで発議された提案は、その時点では明確に詳細が決まっていない状態のものもあります。今回のベーシック・インカムについての提案は非常にシンプルなもので、たった3つの文章しかありません。内容は「すべての国民を対象としてベーシック・インカム制度が制定されること。制度の詳細については政府が検討する」というものです。つまり、まず憲法になり、その憲法に沿う形で下位の法律が決まっていくというプロセスになります。


── ベーシック・インカムに対する、スイス政府の立場を教えてください。

ペレス=ラプラント氏:今回のベーシック・インカムについて、政府は反対の立場をとっています。ベーシック・インカムを導入すると経済の弱体化を招く、というのが主な理由です。ベーシック・インカムで国民1人につきどれくらいのお金を支給するかは決まっていませんが、国民の間では月2500スイスフラン(約27万円)程度になるだろう、という議論になっています。高額だと思うかもしれませんが、スイスの物価水準で考えれば決して高額ではありません。問題は、2500スイスフラン以下の収入を得ているパートタイム労働者が労働する意欲をなくしてしまうことです。それが結果的にスイス経済の弱体化を招きます。


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もう1つ、政府がベーシック・インカムに反対する大きな理由はコストです。ベーシック・インカムのアイデアは、年金制度や失業保険制度といった既存の社会保障制度をベーシック・インカムに差し替えることで、行政コストを抑えることにあります。ベーシック・インカムを提議した市民グループはこの点を根拠に、導入するために追加のコストは必要ないと主張しています。ただ、スイス政府が行った試算によると、ベーシック・インカム制度を支えるためには2100億スイスフラン(約23兆円)ものコストがかかり、行政コストを抑えるだけでは不十分である、と主張しています。


「国民投票の結果に関わらず、議論をすること自体はスイス社会にとって健全なこと」


── スイス国民はベーシック・インカム制度についてどう思っていますか?

ペレス=ラプラント氏:事前の調査によれば、国民の過半数はベーシック・インカムに反対しているようです。ベーシック・インカムを支持しているのは、国民の25〜40%とのことなので、6月5日の国民投票でもおそらく過半数の支持を得られず、否決されるだろうと予想されてはいます。

ただ私は、国民投票の結果に関わらず、このような社会の根幹を問う議論が国民の間で行われていること自体はスイス社会にとって健全なことだと考えています。IT技術やロボット技術が今後さらに発展して、人間の仕事が機械に置き換えられる時代が来ると言われていますが、そうなれば人間がする仕事はどんどん減ってくるかもしれません。そんな時代に、私たち人間は何をすればいいのでしょう? 前述の市民グループは、実際にこんな疑問を公の場で提起して、ベーシック・インカムが解決策の1つの現実的な解決策になる、と主張しているのです。

確かに、国民投票で否決される可能性は今のところ高いですが、スイス国民はこのテーマを真剣に受け止めていますし、しっかり議論したうえで投票するでしょう。


── 今回の国民投票で否決された場合、スイスは将来にわたってベーシック・インカムを取り入れることはないのでしょうか? それとも、近い将来にまた議論が盛り上がり、導入をめぐる国民投票が行われる可能性もありますか?

ペレス=ラプラント氏:国民投票が再度実施される可能性はあります。新しい国民イニシアチブが提起され、10万人の署名を集めればいいからです。ただ、スイスの文化的な傾向なのですが、国民投票が一度行われたら、その議論はクローズしたと見なされ、決定が尊重されます。

つい先日、スイスの世界最長のトンネルとしてゴッタルドベーストンネルが開通しましたが、これも国民投票で建設が決まりました。17年の歳月を費やしたプロジェクトでしたが、国民の意思が最後まで尊重された例だと思います。


── ただ、今回のベーシック・インカムについては、ベーシック・インカムのアイデアそのものに対して反対なのではなく、ベーシック・インカムのやり方に対して反対しているだけ、と見る人もいます。

ペレス=ラプラント氏:解釈の仕方によっては、そういう見方もできると思います。ただ、前述したように、今回の国民イニシアチブ自体は非常にシンプルなものです。よって、今回の国民投票で否決なら、スイス国民はベーシック・インカムそのものに対して反対である、と捉えることができると思います。


── フィンランドやオランダなど、欧州の他の国でもベーシック・インカム導入が議論されていますね。

ペレス=ラプラント氏:ヨーロッパを中心に、ベーシック・インカムの概念が注目を集めているのは事実です。ただ、スイスでの議論が他国の議論と違うところは、政府が主導してベーシック・インカム導入を検討しているわけではなく、市民が発端となって議論が始まったところ、そして実際に導入するかどうか直接決める力を市民が持っている点です。

── 最後にライフハッカー読者に向けて何かコメントがあればお願いします。

ペレス=ラプラント氏:スイスは直接民主主義の国です。国民ひとりひとりが、政策の導入などの重要事項についても、オーナーシップを持って議論します。ベーシック・インカムについては、読者の皆さまにもぜひ興味を持っていただき、またご自身の仕事やそれをとりまく環境について考える機会となれば良いなと思います。


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また、ベーシック・インカムについて興味深い点で、前述の市民グループも主張していることなのですが、スイスでは仕事をしていない余暇の時間に、ボランティア活動をしている人々が数多くいます。たとえば、スイスは日本のように山が多い国なのでハイキングをする人が多いのですが、登山道を作ったり整備したりする仕事はハイキング協会のような組織が主導してボランティアで行われているケースが多いです。他にも、絵画が好きな人が空いている時間に美術館でボランティア活動をしたり、音楽が好きな人がコンサートホールの運営を手伝ったりすることもあります。ベーシック・インカムの1つの議論は、人々に、こうした活動に従事することもできるという選択肢を与える、という意図もあるのです。




インタビューに応じてくれたペレス=ラプラント氏は、スイスでは国民投票をする機会が多いので議論をするテーマは多いものの、ベーシック・インカムはその中でも高い関心をもって議論されているテーマだ、と教えてくれました。

社会の在り方そのものを問う議論であり、国民ひとりひとりの生き方に直接影響を与えるテーマであるベーシック・インカム。社会福祉にとってかわる斬新な制度なのに、現時点で過半数の国民が反対の意思を示している事実は、スイスで社会の仕組みに対して真剣な議論がされている証拠と言えるのかもしれません。

6月5日に行われる国民投票の結果に注目しましょう。あなたはベーシック・インカムに賛成ですか? 反対ですか?


(文・聞き手/大嶋拓人、写真/大嶋拓人、米田智彦)

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    友清哲

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