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印南敦史印南敦史  - ,,,,  06:30 AM

「現金」の価値は低い? ファイナンスが教えてくれるおカネの真実

「現金」の価値は低い? ファイナンスが教えてくれるおカネの真実

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あれか、これか――「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門』(野口真人著、ダイヤモンド社)が伝えようとしているのは、タイトルの通り「ファイナンス理論」。それは、本当の価値を見抜き、正しい選択をするために人類が産み出した究極の実学なのだそうです。

ファイナンスはすべての価値をお金に置き換える、非常に"現金な"学問である。実際、ほとんどの金融商品・ギャンブル・詐欺は、「現金(キャッシュ)が持つ魔力」をうまく利用し、成り立っている。ファイナンス理論はそのまやかしを見破り、本当の価値を見極めるためのシステムなのだ。しかも驚くべきことに、ファイナンスの価値体系においては、なんと現金は「最も価値の低い資産の1つに位置づけられている。(「はじめに」より)

かといって、ファイナンスを学べばお金持ちになれるというような短絡的なことではありません。ただし、お金の本当の価値(の低さ)に気づき、現金原理主義という呪縛から自由になれるという意味では、ファイナンスほど実践的な学問はないというのです。

でも、いきなり「お金には価値がない」といわれても、いまひとつピンとこない部分があるのも事実。そこで第2章「いちばん無価値なおカネの話  キャッシュフローの考え方」から、答えを探し出してみることにしましょう。



「モナ・リザ」をいくらで買うか


レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」といえば、誰もが知る世界的な名画。とはいえ、この絵にどのくらいの価値があるかと聞かれても、答えられる人は少ないはず。将来的にオークションにかけられる可能性もほとんどないに違いなく、しかも著者によれば、オークションで決定される価格は、本来の価値を必ずしも正確に反映するとは限らないのだそうです。

オークションの落札者はつねに、みんなが考える適正価格よりも割高な買い物をしていることになる。言い換えれば、オークション出品者は合法的に「世界一の高値づかみ」をさせることに成功しているのだ。(43ページより)

そもそもモナ・リザは、最初から世界的絵画として扱われていたわけではありません。20世紀以降に少しずつ評価が高まっていき、1962年にはアメリカでモノ・リザに保険をかけるための査定が行われたのだとか。その結果、1億ドルという評価がなされ、あまりに高額な保険料を引き受ける人がいなくなってしまうことに。

物価変動も加味した場合、1962年の1億ドルは2015年時点の7億3000万ドル(1ドル110円換算で約800億円)に相当。そこで、保険に多額をつぎ込む代わりに、保安監視のほうに予算が充てられることになったのだといいます。

では、すべての価値をお金に置き換えるというファイナンスは、モナ・リザの価値をいくらだと見積もるのでしょうか? 価値評価の方法にはコスト・アプローチ(原価法)とマーケット・アプローチ(取引事例比較法)があり、それぞれに弱点があるそうですが、これに対してファイナンスが採用するのが「キャッシュフロー・アプローチ」。(62ページより)


1億円のモノは、これから1億円稼ぐ


キャッシュフロー・アプローチとは、「モノの価値はそれが生み出すお金の量によって決まる」という考え方。

ご存知のとおり、「あるモノ」が生み出すお金のことをキャッシュフローと呼びます。たとえば月10万円の家賃のマンションには、年120万円のキャッシュフローがあるわけです。このように、「あるモノがどのくらいのキャッシュフローを生む力(稼ぐ力)を持っているか」という観点でモノの価値を考えるのがファイナンスだということ。

銀座にコーヒー1杯1000円のカフェがあるのは、そのカフェがコーヒーで1000円稼ぐ力を持っているから。同様に、そのカフェが入っているビルが100億円で売られているのは、それに相当するテナント料を稼ぐ力があるからだというわけです。

キャッシュフロー・アプローチをとると、世の中の見え方が大きく変わってくる。また、パンダや芸術作品や、果ては人間まで、一見すると評価不可能と思われるものでさえも、その価値を測ることが可能になるのだ。(64ページより)

では、モナ・リザが稼ぐキャッシュフローはどうなるのでしょうか? 現在、ルーブル美術館の入館料は15ユーロ。年間入場者数は900万人で世界第1位。そのうち、モナ・リザが目当ての入場者を、仮に全体の1割にあたる90万人と見積もります。

ここでモナ・リザが貢献するキャッシュフローを計算すると、15ユーロ×90万人=1350ユーロということになります。今後、モナ・リザ人気が50年続くとすれば、総キャッシュフローは6億7500万ユーロ。1ユーロ125円で換算すれば、約840億円の価値に。つまり1926年についた800億円の評価額は、ほぼ正しいことになります。(63ページより)


宝くじが当たってもお金持ちにはなれない


モノの価値は、それが生み出す将来のキャッシュフローの総和で決まる。これが、ファイナンスのもっとも基本的かつ重要な考え方。ただし、ここで混同しないでほしいのは、価値を決めるのが「キャッシュ(現金)ではなく、キャッシュフロー(お金の流れ)」だという点だと著者は強調します。

「お金持ち」と聞いたとき、人が思い描くイメージはさまざまですが、いちばん一般的なのは「お金をたくさん持っている人」というものではないでしょうか。ところがファイナンス理論では、「宝くじを当てて3000万円を所有しているだけの人」のことをお金持ちとは呼ばないのだそうです。

先にも触れたとおり、ファイナンスは現金をもっとも価値の低い資源に分類するもの。なぜなら、現金それ自体は1円もキャッシュフローをもたらさないから。繰り返しになりますが、ファイナンスにおける価値はどこまでも「キャッシュフローを生む力があるかどうか」だというわけです。

3000枚の1万円札を神棚の前に置いておいても、次の日に増えているということはありえません。利率0.03%の1年定期預金に入れても、1年後にわずか9000円の利息がつくだけ。現金や預金にキャッシュフローを生む力はほとんどないということで、今後マイナス金利が長引けば、利息どころか元本が減っていくことにもなりかねません。

さて、ここで著者はひとつの例を挙げています。3000万円の宝くじが当たった人が2000万円のマンションを購入し、月10万円の家賃で他人に貸し出した場合のこと。これによって、バランスシートは下図のように変化します。


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キャッシュフローを生み出す力のなかった現金3000万円が、依然として価値を生まない1000万円の現金と、年間120万円のキャッシュフローを生む2000万円のマンションに姿を変えるということ。

ファイナンス的な意味でのお金持ちとは、キャッシュフローを生む資産を多く持っている人。だから、宝くじが当たっただけではお金持ちとはいえないわけです。したがって、「金(きん)」「美術品」「避暑地の別荘」など"お金持ちの所有物"問いうイメージが強いものも、ファイナンス的価値は低いということです。(65ページより)




ここでご紹介したのはあくまでほんの一部ですが、たったこれだけでも本書の有用性はイメージできるのではないでしょうか? つまりファイナンスの基礎を身につけるには、格好の一冊だというわけです。

ちなみに著者は、富士銀行(現みずほ銀行)、JPモルガン・チェース銀行を経て、ゴールドマン・サックス証券の外国為替部部長に就任した経歴を持つ人物。現在は企業価値評価のスペシャリストとして活躍しているそうですが、そんな経歴もまた、本書の説得力につながっているといえるかもしれません。


(印南敦史)

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