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庄司真美

 - ,,,,,  11:00 AM

戦後最大の入試改革が、「意欲」と「個性」あふれる人材を社会に送り出す?

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戦後最大の入試改革が、「意欲」と「個性」あふれる人材を社会に送り出す?

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4年後の2020年を最後にセンター試験が廃止され、新しい入試制度に生まれ変わります。
これに先立ち、各大学の個別入試でも、従来的な知識重視の選抜テストに代わり、大学が求める人材像を明らかにし、意欲や個性を重視した「相互選択型入試」といわれるさまざまな入試が生まれています。

もはやこれは、当事者である高校生やその親世代にだけ関係することではありません。
なぜなら、そうした新しい入試や教育を経て、やがて社会に輩出される人材は、いずれ現在のビジネスマンとともに新しい働き手になるからです。20代のビジネスマンならば後輩、30代や40代であれば、こうした人材が部下になる日が来るでしょう。

彼らは、どんな入試や教育を経て、社会に出るのでしょうか。現在の受験トレンドとその目的について、リクルート進学総研 所長で、高等教育機関の経営専門誌『カレッジマネジメント』編集長でもある小林浩さんに伺いました。



_SC_0026.jpgリクルート進学総研 所長、リクルート『カレッジマネジメント』編集長の小林浩さん。リクルート入社後、グループ統括業務を担当、「ケイコとマナブ」企画業務を経て、大学・専門学校の学生募集広報などを担当。経済同友会に出向し、教育政策提言の策定にかかわる。会長秘書、特別顧問政策秘書、進学カンパニー・ソリューション推進室長などを経て2007年より現職。


生徒の多様化と18歳人口の減少で大学間の競争が激化


── 2020年のセンター試験の廃止を目前に、入試スタイルが変化する背景と、これまでの経緯について教えてください。

小林:かつて共通1次試験がセンター試験に変わってから、AO入試や指定校推薦というものが加わり、大学進学率の上昇とも相まって、入試というものが非常に多様化してきた背景があります。

2000年代に入ってからは、AO入試や推薦で入学した学生と選抜テストで入学した学生の学力が2極化する傾向が見られました。たとえば私大の場合、知識の量を問うペーパーテストで選抜された学生がいる一方で、全体の半数以上が教科型試験を経ないAO入試や推薦で選抜された学生です。また、最近は国公立も例外ではなく、国公私立大学を合わせると4割強がAO入試や推薦入学枠による入学者となっています。

そうしたなか、学生の多様化が広がり、大学の数は1990年から2010年で1.5倍に増えました。でも、18歳人口は4割も減っているので、大学間の競争が非常に激化してきたということがいえると思います。

大学自体が多様化してきているなかで、グローバルに活躍できる人材を育成するのにペーパーテストだけで選抜していく受験のあり方について、このままでいいのだろうか?ということはずいぶん昔から問われてきました。そして今、ようやく国をあげて入試改革が議論され、始まっている状況です。


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── 日本や中国、韓国といった東アジアと比べて、欧米ではずいぶん前から知識重視ではない大学入試を取り入れている印象ですが、いかがでしょうか?

小林:確かに欧米の大学入試では、学力を把握するための共通テストはありますが、大学の個別入試で学力選抜テストがあるのは、英仏のグランゼコールのような一部の特殊校だけです。それよりも、大学が個々に対して、多面的に総合評価をしていくスタイルがメインです。一方で、日本をはじめ、中国、韓国といった東アジアは、受験戦争と揶揄されるようなペーパーテストで選抜されるテストが行われてきたといえますね。

欧米では、ペーパーテストはあくまでいくつかの評価指標のひとつに過ぎません。それよりも、高校時代にしてきたボランティアなどのさまざまな活動、さらに大学に入ってからどんな活動をしたいかというエッセイを書いてアピールします。一方、大学側にはアドミッションセンターのオフィサーがいて、「この子だったらうちの大学で活躍できる」と判断して合否を決定します。まるで企業の人事採用のようなかたちで生徒をとるのですが、実際にアメリカでは大学入試が「リクルーティング」と呼ばれているんですよ。


大学は「学力」を主体的に活用できる教育にシフト


── そうした欧米型の入試スタイルに日本もシフトしていくということですね。

小林:これまで日本は、知識を重視して偏差値のレベルで入学できる大学を振り分けるかたちしかありませんでした。でも、実は、学校教育の目的を示す「学校教育基本法」では、「基礎的・基本的な知識、技能」「知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力」「主体的に学習に取り組む態度」を合わせて"学力の3要素"として、学力を広く定義しているのです。

今までの入試スタイルは、最初の「基礎的・基本的な知識、技能」にあたる、従来型の学力をつけることだけを目的にする傾向が強かったわけです。

今後、大学側は、その学力を活用して残り2つの学力要素を踏襲する動きにシフトしています。つまり、身につけた知識を元に問題を解決したり、考えや思いをきちんと人に表現する力を身につけたり、受け身ではなく自ら学ぶ姿勢を鍛えたりする能力ということですね。だからこそ、入試の方法もペーパーテストだけでなく、多面的に生徒を選ぶ方向に変わってきているのです。


── これまでの偏差値重視の大学入試についてはどのようにお考えですか?

小林:確かにきちんと知識を身につけることは重要です。しかし、選抜するために、あまりにも重箱の隅をつつくような、知識の量を問うような形で選抜されることについての課題が指摘されています。よく、大学に入ることが目的になっていて、入学してから目的を失い、意欲が低い学生が多いということがいわれてきました。結局、大学入学がゴールとなっていて、社会に出ることを視野に入れるのが欠けていたわけです。実際に社会に出ても、いわゆる"指示待ち"の新入社員ばかりが量産されてしまう背景があったといえるでしょう。


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たとえば、2014年に実施された経団連の調査では、新卒採用にあたって、企業が重視する点として、「コミュニケーション能力」「主体性」「チャレンジ精神」をトップ3に挙げています。それに相反して、現役の高校生の意識がとても興味深い結果になっています。高校生を対象にリクルート進学総研で実施したアンケートでは、将来、社会で働くうえでの必要な能力として、自分たちに足りないものが、「主体性」「実行力」「発信力」であることが浮き彫りになりました。


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経団連の企業アンケートの結果からも、いわれたことはきちんとできても、意見を問われると固まってしまうような社会人が増えてきているということが課題認識としてあるようです。実際に、企業側から主体的で意欲の高い人材の要望が高まっている背景もあります。

これまでは、大学側は一律な教育で完結していましたが、グローバル化の波、人口が大きく減少する時代に入り、社会が大きく変化しています。これまでのようにみんなが一律に成長していくという時代ではなくなってきているわけです。当然、求められる人材像も変わってきていますし、若者たちにも主体的にチャレンジする力が求められているということがいえます。


21世紀型教育のカギは、「意欲」と「個性」


── 個性重視の入試に移行するメリットについては、どのようにお考えですか?

小林:2020年を最後に、センター試験が新たな共通テストに生まれ変わります。しかし個別の大学入試では、すでに「相互選択型」の入試スタイルは始まっています。大学側が求める人材像を明確にして、そのミッションに合った人材をとっていこうという流れがあります。そうすることで、大学ごとに個性ある人材がとれますよね。

大学のレベルを偏差値で序列化するような「ピラミッド型」ではなく、ひとつの連峰にいくつもの山がある「八ヶ岳型」がこれからの新たな大学のあり方だと考えています。たとえば、この分野ではこの大学が強いなど、多様な人材を育成するベースができます。大学にはそれぞれ得意分野や理念がありますよね。それを生かし、それに合った人材を輩出できるようになっていくと思います。

もちろん、学力だけでなく、より意欲の高い人材を育成できるというメリットもあると思います。もちろん学力は重要ですが、これからは、学力に加えて、いかに意欲があるかどうかが入試のポイントになると考えています。


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── そもそも入試や大学での教育、その後の社会生活については、基本的にはロングスパンで考えるべきことだと思うのですが、ここにきてようやく改革がなされたということでしょうか。

小林:小学校については、2011年に学習指導要領が変わって、「ゆとり教育」からの脱却が行われ、実際に授業が変わっています。言語学習や探求型の学習が取り入れられて、教室に座って「チョーク&ノート型」といわれる、先生が黒板に書いたものを生徒がただひたすら書き写すというような受け身の授業ではなく、ディスカッションしたり、フィールドワークをしたりするといった「アクティブラーニング型」の授業がどんどん増えています。

ただ、高校が変わらなかったのは、大学入試自体が細部にわたる知識を問うようなものが主体だったため、なかなか高校の授業が変えられないということが言われてきました。そこで、入試スタイルにメスを入れ、高校の学習のあり方や授業も変えていこうという試みで、実は、単なる入試改革ではなく、抜本的な教育改革でもあるのです。


── 現状スタートしている、個性重視の入試スタイルの事例について教えてください。

小林:たとえば、国立大の九州大学の例ですが、入学時点では学部に属さない26名の学生をとる「21世紀型プログラム」というのがあります。なぜ学部に属さないかといえば、たとえば医者になりたいなら医学部へ、というやり方ではなく、21世紀を担う、専門性の高いゼネラリスト(広い範囲の知識や能力を持つ人)やリーダーシップのある人材を育成するのが目的だからです。

この入試は2日がかりで行われ、1日目は、講義を聞いてレポートを提出し、2日目はテーマを元に全員でディスカッションし、それを複数の先生が見て点数をつけて評価するものです。

おわかりのように、これまでのような試験対策や試験勉強だけしていても通らない内容です。日本はこれまで、受験にしろ、就職にしろ、何かと"対策"で乗り切ってきた側面があります。でも、こうした新しい入試では、本当の意味で探究型の教育がなされていないと対応できなくなるというものになります。


── それはかなり興味深い試みですね。ほかにはどんなものがありますか?

小林:御茶ノ水女子大は、「新フンボルト入試」というのが始まっています。フンボルトというのは、ドイツの学者なのですが、大学で研究と授業を一緒に行うスタイルを実践した人で、つまり、実験室でゼミを実施した先駆けということになります。

この入試の第2次選考では、理系の学部は、実験、データ分析、実験演示が実施されます。文系も例外ではなく、テーマをもとに図書館から資料を探してレポートを作成し、プレゼンテーション、グループ討論をするような、得た知識をフル活用しなければならない内容になっています。


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── 情報を一度自分のなかで咀嚼したうえで、自分の考えをアウトプットする能力が求められますね。

小林:まさにそうなります。それから、九州大学の例でもあったように、入学時点では学部を固定しない考え方も増えています。国際基督教大学も同様に、入学してから文理などの専攻を決めるリベラルアーツを導入していて、生徒は入学してから選考を決めることができるのです。

実は、文理の専攻の区別をはっきりとつけているのは、東アジアぐらいなんですよ。なぜかというと、大学入試がそうなっているからです。その結果が、昨今、欧米の主要企業の拠点が東アジアから、グローバルに飛躍を続けるシンガポールに移転する動きにも表れているのではないでしょうか。

今後は、そうした多様性のある教育を経て、社会に輩出される人材を受け入れる側の企業の人事にも、当然、変革が求められるでしょう。たとえば、大学の偏差値フィルターで選ぶといった旧体制的な価値観はもう古いということになっていくと考えています。

さらにいえば、大学受験以前に、家庭内でも小さい頃から受け身ではなく、より主体的、能動的な大人になるよう、育てていくという傾向になっていく可能性もあると思います。たとえば、家族でニュースを見ながらその問題について一緒に考えて意見を言い合うことも大事だと思います。また、子どもの好奇心を押さえつけるのではなく、伸ばしてあげられるように、さまざまな経験を通じて成長させることが重要なのではないでしょうか。




今後の先行き見えない社会において必要な人材は、「意欲」と「主体性」、そして「コミュニケーション能力」の高い人材だと小林さんは述べています。それをしっかり身につけるためのシステムや教育を経て社会に輩出される若い世代が、これからの社会を活性化する起爆剤になるかもしれません。戦後最大の入試・教育革命を経た人材が、今後どのように社会を変えていくのか、注目が集まっています。


リクルート進学総研


(写真/佐古裕久、文/庄司真美)


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