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ライフハッカー編集部ライフハッカー編集部  - ,  10:00 PM

人はなぜ「不健康な食生活」をしてしまうのか?

人はなぜ「不健康な食生活」をしてしまうのか?

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健康的な食生活を守るのは難しいものです。いつ、何を食べるかを決めることから、実際にどのくらいの量の食べ物をお皿に載せるかまで、普通の人は毎日食べ物に関して200回以上の決断を下していて、そのほとんどが無意識のうちに行われています。そして、どんな種類の食べ物をどれだけ摂取するかを注意深く考えずに飲食するときには、一部の専門家が「mindless eating(マインドレスな食事)」と呼ぶ無意識の選択が行われています。私たちは容器一杯のポテトチップスを、目の前にあるという理由だけで、お腹いっぱいになっても食べ続けてしまうのです。

自制心のもっとも強い人でさえ、自分が食べる物を完全にコントロールできるわけではありません。さまざまな研究によると、何をいつ、どれだけ食べるかなどの決断は、人の意識や直接的なコントロール以外の微妙な力によって左右されることが多いのです。そうした外部要因のせいで、私たちは生物学的、心理学的、社会的、経済的弱点を突かれて過食してしまうことがあるわけです。そう考えると、なぜ世界中で20億もの人々が体重超過、つまり肥満になっているのか、そして、これまで肥満の蔓延を食い止めることができた国がなぜなかったのかを説明できるのです。

希望はあります。研究の結果、過食を促す主な要因が、生物学的、心理学的、社会的、経済的影響を含めて解明されています。こうした要因についてより多くのことが分かってきた今では、過食を食い止めやすくなっているのです。


生物学的要因が食欲に与える影響


なぜ人間はサラダよりチョコレートを欲しがるのでしょうか? 「甘い物好き」などの味の好みは、生物としての人間が本質的に備えているものですが、人生の過程で変化することもあります。たとえば、子どもは大人よりも甘い物が大好きです。

現代の食環境は、砂糖や脂肪、塩、化学調味料、食品添加物、カフェインなどをたくさん含む加工食品を大量に生み出しました。これらの成分は、摂取したときの生物学的な快楽を最大化して、人間が本来持っている味の好みを満たすように作られています。

たとえば、チョコレートミルクシェイクのように、ある種のとてもおいしい食品は、中毒性のある物質に対する反応に似た脳の反応を引き起こす可能性があることが研究によって分かっています。こうした事実は、「シュガーハイ(砂糖を摂取することで、特に子どもが陥るとされる興奮状態のこと。砂糖にこうした効果があるかについては賛否両論)」という言葉に新しい意味を与えるものです。

さらに、加工食品には、満腹感を与える水分や食物繊維やタンパク質などの成分が含まれていないことが多いので、私たちの体が摂取量を調節し、体重を維持することがいっそう難しくなります


脳は食べ物が大好き


高度に加工された食品に感じる生物学的快楽に加えて、心理学的にも、そういう食品を好む理由はたくさんあります。マクドナルドのハッピーセットのおもちゃから、コカコーラの「ハッピーをあけよう。」グローバルキャンペーンまで、食品と快楽を結びつける例は数え切れないほどあります。

食品企業は数十億ドルを費やして、自社製品を肯定的で強力なイメージに関連づけるマーケティングを展開しています。ある研究では、子ども向け食品に『ドーラといっしょに大冒険』のドーラやシュレックのようなキャラクターがついていると、子どもたちは実際に、キャラがついていない場合よりも美味しいと感じることがわかりました。

さらに、過食を促しかねないちょっとした外的要因もたくさんあります。人は空腹の度合いに関係なく、一人前の量が多いと、食べる量が多くなります。さらに、不健康な食品はどこにでも──学校でも、レストランでも、コンビニエンスストアでも、スーパーマーケットでも、自動販売機でも──あるので、非常に目につきやすく、「食べたい」という気持ちをかきたてます。事務用品や家庭用品を売っている店でさえ、そうした食品が売られるようになっています。

私たちが食べ物に関する決断を下す販売店などでは、多すぎる刺激に、忙しい消費者は圧倒されてしまいがちです(典型的なスーパーマーケットには4万種の製品が置かれています)。周囲にある心理学的刺激は、食べる量を減らすのではなく、増やすように仕向けるものがほとんどです。

たとえば、食品の価格や量の多さ、店内での食品の配置、食品の宣伝戦略などのすべてが、日々の食事に関する決断に影響を与えています。量の多さだけを考えてみても、1950年代ならコカコーラは6.5オンス瓶で飲まれていましたが、今のセブンイレブンの「ダブルガルプ」は、その約10倍の大きさで、800キロカロリー近くあります。

一方で、食品には、実際に見えていなければその存在が忘れられるという傾向があります。Googleは従業員に無料でスナックフードを提供していますが、従業員が「M&M's」を食べ過ぎていることに気づきました。そこで、M&M'sを不透明な容器に入れて、より健康的なスナックがよく見えるようにしました。

その結果、M&M'sをニューヨーク事業所の2000人の従業員から見えにくい場所に置くだけで、7週間で消費カロリーが310万カロリーも減少したのです。


周囲の環境が食べる物に影響を与える


不健康な食品は安価なことが多いので、経済的に苦しい人々にとっては特に魅力的です。ファストフードとコンビニで売っている調理済みの食品も、どこでも手に入り、家庭でつくるよりも手早く簡単に用意できるので、忙しい消費者はそれらの食品を食べ過ぎる傾向にあります。さらに、食品会社は特定のグループに狙いを定めて売り込む努力を重ねてきました。たとえば最近のレポートでは、ソーダ飲料会社が黒人とヒスパニックの若者に狙いを定めて、アメリカ国内での投資を増やしていることが示されています。そうしたグループの肥満率が高いことを考えると、これは懸念される戦略です。

良い知らせもあります。肥満に関する世論や政策決定に科学が反映され始めました。一般の人々も政治家も、肥満やそれに関連する慢性疾患などの健康問題が、食べ物に関する個人の決断だけの問題ではないことに気づきつつあります。人が不健康な食品を摂取しすぎる傾向にあるのは、食品を取り巻く現在の環境が、生物学的、心理学的、社会的、経済的な弱点を突いて、各自で責任をもって食品を選ぶ能力を蝕んでいるからなのです。

減量プログラムでは限られた減量しか行えないことが多く、体重を維持することは難しいので、体重超過と肥満を防ぐためには、そもそももっと思い切った取り組みが必要です。幸い、政策レベルで対策が講じられようとしています。

アメリカでは2016年から、食品医薬品局が大規模チェーンレストランに対して、メニューにある料理のカロリー表示を義務づけることになっています。また、摂取量を抑える目的で、添加糖類の1日の摂取量を食品ラベルに表示することも提案しています。

カロリー表示が食べ物の選択に与える影響の研究結果はさまざまですが、現時点で得られている証拠を見る限りでは、カロリーの表示には、低カロリーの料理の選択を促す効果があるようです(レストランや消費者にもよりますが)。

食品医薬品局は、心臓疾患のリスクを高める有害なトランス脂肪酸を加工食品から排除するための対策も講じています。

アメリカ、イギリス、ペルー、ウルグアイ、コスタリカでは、公立学校から「ジャンクフード」を排除する政策が制定されました(見えないようにして忘れさせる作戦です)。メキシコでは最近、肥満の蔓延を食い止めるために、糖分の多い清涼飲料水に1リットル当たり1ペソ(8セント)の税金が課されました。カリフォルニア州バークレーは2014年、糖分の多い清涼飲料水1オンス当たり0.01ドルの消費税を課す法律を可決しました。これにより、今年度は120万ドルの税収が得られると見込まれています。

チリとペルーは、ハッピーセットでのおもちゃの提供を禁止しました。マクドナルド、ウェンディ、バーガーキングは揃って、子ども用メニューからソフトドリンクを外しました

こうしたことは、肥満の蔓延に取り組む重要な第一歩ですが、どの対策がもっとも効果的かを理解するにはさらに研究が必要です。健康的な選択をもっと簡単で魅力あるものにするためには、食事の内容や量を変えるための革新的な政策に加えて、食品業界の自発的な努力も求められています。


Christina Roberto & Mary Gorski(原文/訳:松田貴美子/ガリレオ)

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