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印南敦史印南敦史  - ,,  06:30 AM

「やさしさ」について知っておきたい大切なこと

「やさしさ」について知っておきたい大切なこと

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「やさしさ」という技術――賢い利己主義者になるための7講』(ステファン・アインホルン著、池上明子訳、飛鳥新社)の著者は、スウェーデン・ストックホルムのカロリンスカ医科大学の分子腫瘍学教授、がん専門医。

一方、スウェーデンにおいては「倫理」についての講義・講演も高い評価を得ており、著作も多数。なかでも倫理的に生きることの意義と効用に焦点をあてた本書はベストセラーとなり、北欧を中心に話題となったのだそうです。

でも、やさしさとは抽象的なものであるだけに、それを定義づけるのはなかなか難しそうでもあります。著者はなぜ、こういった難しいテーマに着目したのでしょうか? 答えは、「はじめに「やさしさ」を磨くと人生が変わる」にありました。

やさしくあろうといっても、簡単に実行できるとはかぎらない。たとえば、いつも他人の思い通りにさせてやるのは、やさしさではない。(中略)やさしさというのは、おおいに判断力を要する資質である。なぜなら、短期的に見ればよくないと思えるようなこともしなければならない場合があるからだ。
やさしさという「技術」について本を書こうと思ったきっかけは、まさにそこにある。心から積極的に、また正しい方法でやさしくすることは、「技術」に他ならない。

こうした考え方を踏まえ、第7講「なぜ、やさしくなると成功するのか?」から、いくつかの大切なことを引き出してみたいと思います。


手柄を手放せ、他人を褒めよ


「気前がいい」とはどういうことでしょうか? 一般的には、お金やものを喜んで分け与えることが、気前のいい行為のひとつだと考えられているはずです。しかし当然のことながら、お金をばらまくことだけが気前のよさではありません。では、気前がいいとはどういう意味なのでしょうか? 気前のいいふるまいとはどういうもので、特徴はなんなのでしょうか?

この点について、著者はこう定義づけます。気前がいいということは、なんの見返りも要求せずに行動することだと。だから交渉の場に臨んでも、商品やサービス、金銭など、なんの要求も出さない。つまり気前のいいふるまいとは、「見返りを期待しない単方向のコミュニケーション」だというのです。そして「おどろくべきことに、見返りを期待しない行為は、結局は得になることが多い」のだそうです。

私の父はしばしばアメリカ大統領ハリー・トルーマンの言葉を引用してこう言った。
「名声を得るのは誰か? それさえ気にしなければ、すばらしい偉業をなしえる」
そして父は、いつもこの原則にしたがって仕事をしていた。(中略)その結果、父は医師としても研究者としても、その後は議員としても作家としても成功を収めたのだ。(170ページより)

私たちは、とかく自分の領域を死守しようとするもの。そして自分がよいことをしたら、それに値する栄誉を受けようとするもの。しかし、「他人には分け与えたくないし、他人の栄誉に寛大になりたくない」という姿勢はさもしいと、著者は鋭く指摘します。それに、わずかな栄誉しか手に入らないこともあれば、達成したこと以上の栄誉が手に入る場合もあるもの。そのくらい、この世界はよくできているということ。

だから私たちは、心穏やかに座っていればよく、なにも心配する必要はないという考え方です。一度負けても、チャンスはまためぐってくる。そして他人の栄誉に寛大であれば、それもまた手に入る。譲った以上のものが返ってくるのだといいます。(169ページより)


上司だって褒められたい


誰もがみな、周囲から褒められたいと望んでいます。しかし実際のところ、自分から進んで他人に賞賛を贈ろうとしている人は少ないはず。それどころか、他人を褒めたたえれば、自分が負けたように感じる人すらいます。でも、それは正しくないと著者は断言します。理由は明快で、「1円のコストもかけずに分け与えることで、得られるもの」もたしかにあるから。

そして、「褒められるのは立場が上の人間の役割だ」という誤解も正す必要があるそうです。子どもや生徒や部下にとって、両親や先生や上司から褒められる体験が必要だということは、誰もが理解していること。ところが両親や先生や上司もまた、ときには「よくやったね」といわれたいものだというのです。

また職場においては、非難が出ないことが最大の賞賛となる場合もあるとか。賞賛とはあらゆる意味において自由なものであり、贈るのになんら制約のないものでもあるといいます。(172ページより)


批判をしないのは相手が成長する機会を奪うこと


とはいっても、他人に差し出すべきものは奨励や賞賛だけではないともいいます。相手が成長し学ぶためには、ときにはポジティブな批判も必要だということ。だとすれば、ポジティブな批判とはなんなのでしょうか?

それには3つの条件があるそうです。まずひとつは、個別に与えられること。ふたつめは、相手が成長するための批判であること。相手をやっつけるための批判や、腹いせのための批判、そして批判の押しつけは絶対に避けるべきだということ。

そして3つめは、ポジティブな批判には「愛」があるということ(愛という言葉が広すぎるなら、「仲間意識」「思いやり」といいかえても可能だといいます)。思いやりの気持ちを忘れずに、相手が成長するために必要不可欠なことを知らせてあげればいいわけです。

人が成長し、学ぶチャンスを奪うのは意地悪なふるまいだ。私たちはポジティブな批判をする必要がある。だから、相手に寛大であるべきだ。愛情と思いやりのある人から批判やフィードバックが得られると、どんなに耳が痛くても、人は感謝の気持ちでそれを聞く。その後、その批判をもとに、何をどう改善するかはその人しだいだ。(中略)ポジティブな批判は、私たちが学ぶべきことのできる真実を含んでいるのだ。(174ページより)

他人に助言を求めれば、求めた自分はもちろんのこと、助言をくれた相手も得をするもの。だから、他人に助言をするのはいいことだと著者は記しています。そして経験的に、助言を受けるべきかで悩んでいるのなら、その状況にどう対処すべきかについて助言を求めることで、その葛藤は解決するはずだともいいます。(173ページより)


どうすれば他人の心を理解できるか


相手の考えや気持ち、ニーズを理解するための方法はふたつしかないのだそうです。ひとつは、目の前にいる人がなにを考えているのか、なにをしてほしいのかを聞くこと。もうひとつは、想像力を磨き、相手がなにを考え、なにを感じているのかを知ろうと努力すること。

相手の考えを理解する能力、すなわち「共感力」は、すべての人が持っているもの。しかし、その発達具合は人によって差があるでしょう。でも、仲間の心情を理解する能力を持てば、結果的には得をすることになるのだとか。つまりこの能力は、職場や家庭、友だちづきあいのなかで、他者とうまくやっていくために欠かせないものだということです。

私たちはみな、他人から尊重され、思いやりをもって接してもらいたいと思っている。したがって大切なのは、自分も同じ気持ちで周囲と接することだ。実際「もっと人に共感できるようになりたい」と思うだけで、共感力は磨かれるのだ。(199ページより)

では、共感力をさらに磨くにはどうすればいいのでしょうか? 方法はいろいろあるそうですが、そのなかから、いくつかがここでは紹介されています。

共感力のある人間になるための第一段階、そしてなにより大切なことは、とてもシンプル。「そうなりたいと決意すること」だというのです。固く決意すれば、日々、それを磨くことが可能になるということ。そして訓練のチャンスは、人と会うたびに訪れることになるわけです。

第二段階は、「他の人ならどんなふうに考えるか」と、相手の身になって考えること。そして目の前にいる人から話を聞き、その人をよく観察すること。だから誰かに会ったとき、その人の立場に身を置いて、相手の考えを想像しながら質問してみるといいそうです。「この人は、どんなふうに考えているのだろう?」「私になにをしてほしいのだろう?」「この人にとって重要なことななんだろう?」など。

そんなことばかりを意識していると、相手に不審がられるのではないかと思う人もいるかもしれません。しかし、心配はいらないと著者。簡単なことで、人はたいてい、自分のことを話すのが好きなものだから。そんなわけで、こうして得られるフィードバックが、共感力を磨くのに役立つのだといいます。

結局のところ、それは自己認識の問題なのだと著者は主張しています。人はそれぞれ違うとはいっても、現実的に私たちは似たようなことを考えることが多いもの。だから内的世界の認識方法を学べば、他人の要求や願望、問題をよりよく知ることができるわけです。

ただしそうはいっても、「人はみな、それぞれ考え方に違いがあるのだ」ということも忘れないようにしておくことが大切。つまりはバランス感覚を持つべきなのかもしれません。(198ページより)




このように、書かれていることは決して難しくなく、むしろシンプルです。それでいて強い説得力を感じさせるのは、もしかしたら医師としての誠実さが文脈に表れているからなのかもしれません。地に足がついた印象があり、読みながら共感できる部分が多いのです。ベストセラーになった理由が、よくわかる気がします。


(印南敦史)

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