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松尾仁松尾仁  - ,  08:00 PM

インドネシアにおけるネット産業のポテンシャル。ジャカルタで活躍するベンチャーキャピタリストの仕事術

インドネシアにおけるネット産業のポテンシャル。ジャカルタで活躍するベンチャーキャピタリストの仕事術

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アジアで活躍する日本人にインタビューする連載「アジア×ビジネス」。今回の舞台は、前回に引き続き、経済成長目覚ましいインドネシア。アジアを中心とする8カ国に拠点を置き、スタートアップ企業に投資事業を行うサイバーエージェント・ベンチャーズのジャカルタ事務所代表・鈴木隆宏さんにお話を伺いました。聞き手は自身もシンガポールで事業を展開する松尾仁です。


鈴木隆宏(すずき・たかひろ)
1984年生まれ。早稲田大学スポーツ科学部を卒業後、2007年、サイバーエージェントに入社。サイバーバズの立上げに参画した後、サイバーエックスにてモバイルソーシャルアプリケーションの立上げ、およびマネジメント業務に従事。2011年6月、サイバーエージェント・ベンチャーズに入社し、日本におけるベンチャーキャピタル業務を経て、同年10月よりインドネシア事務所代表に就任。インドネシア企業への投資活動及び経営支援を行っている。


インドネシアにおけるネット産業のポテンシャル


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サイバーエージェント・ベンチャーズ インドネシア事務所代表・鈴木隆宏さん


松尾:まず。鈴木さんのお仕事、ベンチャーキャピタル(以下、VC)について教えてください。

鈴木:簡単に説明させていただくと、ベンチャーキャピタル(以下、VC)は急成長するベンチャー企業に対して数千万〜数億円単位で出資させていただいて、経営支援をしながらその企業の株式の価値を上げていくという仕事です。サイバーエージェント・ベンチャーズのインドネシア事務所では、インドネシアの特にインターネットビジネスに対して出資を行っています。

松尾:この連載では、鈴木さんが出資を決められたYOYOホールディングスの深田洋輔さんやVIP PLAZAのキム・テソンさんにも取材させていただきました。インドネシアのインターネット産業は今、急速に成長しているんですね。

鈴木:はい。他の東南アジアの国々に比べるとネット普及率はまだ低いですが、一方でネット人口は一番多いんです。要は国民の人口が多いということですね。現在、インドネシアのネット普及率は30〜35%ほどですが、人口が2億5000万人なのでネット人口は7000〜9000万人。近い将来、ネット普及率が50%に達すると考えると、ネット人口は1億2500万人にもなり、このタイミングで日本のネット人口を超えます。対象となるビジネスのマーケットが大きくなるので、マーケットポテンシャルも明らかに大きいですよね。


出資を決めるポイントはマーケットサイズ、経営チーム、戦略。


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ジャカルタ、Slipi地区にあるオフィス


松尾:出資先を決めるときの基準を教えていただけますか?

鈴木:ポイントは大きく3つだと思っています。まず、「マーケットのサイズ」。ちゃんと大きな市場で戦っているのか、という部分ですね。具体的に言うと、たとえばファッションECサイトをするときに、オンラインもオフラインも含めた市場規模でプレゼンをする方が多いですけど、オンラインならどのくらいのサイズなのか、扱うカテゴリーは何なのか、より具体的なビジネスの中で彼らがどのくらいタップできる大きさなのか。彼らのビジネスの延長線上でアクセスできるマーケットの大きさを重視しています。2点目は「経営者、経営チーム」です。僕の場合は、2人以上のチームを組んでいる企業に出資させていただく場合が多いんですが、チームのバランスと共に、そのビジネスを行う上での最適なバックグラウンド及び経験を彼らが持っているかを見ています。最後が「戦略」ですね。そのチームが、狙っている市場でどう戦うのかという部分です。2点目のポイントとも近いですが、戦略がクリアに描けていたとしても理想通りにはいかないのがベンチャーなので、柔軟性を持って軌道修正しながら進めていけるチームなのかという部分も意識して見るようにしています。

松尾:インドネシアのインターネット事業で、特に成長する可能性が高いと思われる分野はどのあたりでしょうか?

鈴木:他の東南アジアの国々と同じですが、スマホの普及が急速に進んでいくなかで変化したことも多々あります。元々、インドネシアのネットのピークタイムは、12時〜13時と17時〜18時。家庭用のネット料金が高いので、オフィスでネットを利用することがほとんどでした。それがスマホの普及によって、ユーザーのネットへの接触態度も変わってきています。具体的な例で言うと、「食べログ」のようなレストランサーチのサービス。スマホ普及前にも存在していましたが、外出中にネットを利用する機会がなかったので伸びていませんでした。ところが普及後には「地名×食べ物」のGoogleでの検索ボリュームが一気に上がりました。そういうデータを見ながら、且つスマホだからこそより伸びるんじゃないかというのは注意深く見るようにしています。日本の場合はPCからスマホにシフトしたので、PCのトッププレーヤーがスマホのトップになることが多いですが、インドネシアの場合はスマホのプレーヤーがいきなりマーケットのトップになる可能性もありますね。

松尾:それは面白い流れですね。現在はどのような会社に出資されているんですか?

鈴木:Eコマース系、モバイルの決済サービス系、オンラインエデュケーション系、日本で言うスマートニュースやグノシーのようなニュースアプリ系、先ほどお話したレストランサーチ系と幅広く、合計13社に出資させていただいています。まだ投資はしていないですけど、不動産や自動車といったジャンルにも注目しています。


ときには「起業してもらう」こともある。能動的な投資スタイル。


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ジャカルタ事務局で働くスタッフたち


松尾:実際に出資するまでにはどのくらいの時間がかかるんですか?

鈴木:起業家と面談をしてからは比較的早くて、1〜2カ月以内には払い込みまで終わっています。キャピタリストによっては起業家から持ち込まれてその都度判断していくタイプの方もいると思うんですが、僕の場合は狙いに行くタイプです。次はこういうビジネスに可能性があるんじゃないか?というのを自分の中でザックリと持っていて、まずはそのジャンルについてとにかく調べる。中国やインド、アメリカ、日本の事例を調べて、インドネシアでやる場合の自分なりの仮説が見えてきたら、次は探しまくる。すでにそのビジネスをやっている会社の人に会いにいくケースもあるし、「こういうビジネスに興味があるんだよね」と既存の投資先の起業家に話をすると「実は留学時代の友人がそういう仕事をしたいと話していたよ」と候補が上がってくる場合もあります。そういうときにはこちらから働きかけて起業してもらうこともあるんです。アイデアの着手から実際の投資までには半年くらいかかるケースが多いですけど、「この人とやりたい」と思ってからはかなりスピーディーだと思います。

松尾:起業家と会う頃にはマーケットリサーチが終わっているから、実際の出資までの時間を縮めることができるんですね。


VCは成功確率を上げられないが、失敗の確率は下げられる。


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「スタートアップ、エコシステムのハブになる」をコンセプトに、事務所にはシェアオフィスを併設。
起業家たちの交流の場になっている。


鈴木:ジャカルタ事務所を立ち上げて5年目ですが、我々はまだ13社にしか出資していません。投資にはいろいろなスタイルがありますが、我々は大きな金額でしっかり支援したいので分野や起業家を絞って投資するスタイルをとっています。VCは成功確率は上げられないけど、失敗する確率は下げられます。サイバーエージェント・ベンチャーズはアジアを中心に8カ国で出資しているのでいろんな事例を見てきましたが、失敗するときはどこも同じようなことで失敗します。急成長していくなかで組織ストラクチャーを考えずに人を大量に雇って、業績が伸び悩んだ瞬間にその人たちが辞めてしまうとか。失敗のサンプルを持っているので結果的に落とし穴に落ちることが減るし、落ちたとしても引っぱり上げる方法がわかる。時流もありますが、自分たちの持っているナレッジを生かして、目先の結果に囚われずに本質的に事業を伸ばすような支援を心がけています。

松尾:投資の成功、失敗の見極めはどのようにされているんですか?

鈴木:VCとして投資先の成功を信じ続けてあげなきゃいけないので、その見極めは非常に難しいですよね。基本的に成功することを大前提として出資しているのと、我々の場合は投資してまだ2〜3年なので今のところ失敗している企業はありません。また、運営していくなかで成長が鈍化する瞬間は必ずあるので、クリティカルな失敗でなければあまり気にしていませんね。


輸出でなく、インドネシアで事業を立ち上げる。


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高層ビルが立ち並ぶジャカルタ。「都会ではありますが、緑が多いことが魅力です」と鈴木さん。


松尾:では、日本企業がインドネシアに進出する場合に気をつけるべきポイントは何だと思いますか?

鈴木:前提条件を捨てることが大切だと思います。日本とは環境が違いますから、日本のビジネスの延長線上でそのビジネスを輸出しようとしても上手くいかない場合が多いです。ただ、そのビジネスのカテゴリーとゴール形態は参考になります。そこだけを持って0か1かで、そのビジネスをインドネシアという国でどう立ち上げるべきか考えるマインドセットが1番重要だと思います。マーケットポテンシャルのあるインドネシアですが、実際にビジネスが回るようになるまでにはまだ5〜10年はかかると思います。その尺でどう投資をしていくのかも日本企業にとっては重要な指針ですね。すぐに売上を立てようとすると小さなビジネスになる可能性もあるし、長期の尺で見た大きなビジネスを目指すなら投資額もそれなりに必要になる。一方で、優秀なローカル企業はVCからお金を調達しようとします。VCと一緒にやる方がお金を十分に用意できるし、優秀な人材を集めやすいから。最近は自前のビジネスをインドネシアで展開しようとすること自体が難しいのではないかと考えるようになりました。それよりは自分たちがやろうとしているビジネスのノウハウが生きる企業に対して、マイノリティ出資からスタートした方がいいんじゃないかと。日本企業は東南アジアに進出するとき、日本人スタッフを連れていってしまうじゃないですか。日本人を連れてきても、国が違うのでノウハウが違う。それなら始めから優秀なチームを買う、投資する方が成功するんじゃないかなと。逆に、そういう戦い方じゃないと大きくは勝てないんじゃないかと思うようになりました。


インドネシアでエコシステムをつくる


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サイバーエージェント・ベンチャーズ主催のピッチ大会『ライジングエキスポ』


松尾:ジャカルタ事務所設立から5年目を迎えて、既存の投資先のフォローや新規の投資先を探すなど、活動が活発化している状況だと思いますが、この先のビジョンについてお聞かせいただけますか?

鈴木:長期で言うと、インドネシアのインターネット産業はスタートしたばかりの状態だと思うんです。去年は、インドネシアの大手ECサイトにソフトバンクが1億ドル出資したことが話題になりましたけど、中国やインドで大きな投資をしているVCも東南アジアを見始めています。エコシステムで足りなかった部分が埋まり始めてはいると思いますが、上場自体はまだもう少し先だと思うので、引き続きエコシステムをつくることに貢献できればと考えています。そのための取り組みとして日本でも開催しているピッチ大会『ライジングエキスポ』を東南アジアでも開催しています。他のピッチ大会との違いは、既にKPIが出ていて伸び始めているスタートアップ企業が参加していること。投資家にとっては判断がつきやすくて、弊社の投資先以外の企業を含めたトップのスタートアップ企業が参加するので、最新のマーケットの状況がわかると仰っていただいています。個別の企業の成功はもちろんですが、まずはインドネシアでネット産業が成立することをゴールとして目指していきたいですね。




学生時代にNGOでのインターンを経験し、NGOを通した社会貢献に限界を感じたことから、ビジネスで世の中の仕組みを変えていこうと思ったという鈴木さん。投資先の企業を決める際も、社会的な課題解決のサービスを展開しようとしている企業に対して投資をすることが多いそうです。本連載でこれまで紹介したようなアジアで活躍する起業家の傍には投資家がいること、そして投資家は起業家と同じように熱い志を持って一緒に戦っているということに改めて気づかされた取材でした。サイバーエージェント・ベンチャーズが主催する『ライジングエキスポ』は、今年も夏に開催されるそう。ウェブサイトでは昨年の様子がわかる動画も公開されています。興味のある方はチェックしてみては?


(聞き手・松尾仁/文・宗円明子)

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