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印南敦史印南敦史  - ,,,,  06:30 AM

デンマークの人々に学ぶ、「古いもの」に対する考え方

デンマークの人々に学ぶ、「古いもの」に対する考え方

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なぜデンマーク人は初任給でイスを買うのか?――人生を好転させる「空間」の活かし方』(小澤良介著、きずな出版)の著者は、インテリア会社「リグナ株式会社」の代表。仕事柄、家具、インテリア、空間プロデュース全般を手掛けており、インテリアや空間の視察のため海外へ赴くこともしばしば。なかでもヨーロッパ、特に北欧家具の発祥の地であるデンマークには大きな影響を受けているのだそうです。

そして日常から世界の家具やインテリア、空間を見てきた結果、あることに気づいたといいます。それは、日本と欧米では家具に対する考え方がまったく違うということ。たとえば日本人がイスを単なる生活道具と捉えているのに対し、デンマークの人々にとってのイスは"時間とお金をかけるべき、大切な場所"だというのです。

そして、そんな考え方の違いが、心の豊かさや、人生に大きく影響を与えていることにも気づいたのだとか。世界中の「空間」を見てきた結果、自分が普段身を置く空間の質が、人生の質を決めるといっても過言ではないと感じているといいます。

わかる気がしますが、しかし、それにしても気になるのは本書のタイトルです。

「世界一幸せな国」(世界幸福度報告書2013調べ)「幸福大国」とよばれるデンマークでは、初任給が入ったときに多くの人がイスを買うのです。(「Prologue――イスを変えると、人生が変わる」より)

なぜなら、インテリアを少し変えるだけで、暮らしと心が豊かになるから。Chapter 1「世界一幸せな国の秘密は『イス』にある」を見てみましょう。


初任給で家具を買うデンマーク人


北欧家具や、童話作家のアンデルセンを生んだことで知られるデンマークは、「世界一幸せな国」「幸福大国」としても有名。事実、多くのデンマーク国民が自分の国を愛し、心豊かに、幸せに暮らしているのだそうです。その理由としては充実した社会福祉などが挙げられますが、インテリア会社の代表という立場からいうと、「イス」に大きな理由があるのだと著者は主張しています。

国全体が穏やかで、おしゃれで、人々が幸せな顔をして暮らすデンマークでは、町全体の雰囲気にも統一感があるのだといいます。当然のことながらインテリアへのこだわりも徹底しており、そのひとつが「デンマークでは多くの人が、初任給でイスなどの家具やインテリアを買う」ということだということ。

初めてデンマークを訪れたころにはその感覚がわからなかったという著者も、いまとなっては、そこにデンマークの「幸せ」の秘密があるのだと実感できるそうです。

私は常々、「インテリアは幸せと結びつく」ということを意識しています。「人生」はいいかえると「時間」。その「時間」を過ごす「空間」こそが、その人の幸せに結びつく。「空間=暮らしの質=心の豊かさ」という方程式が成り立っていると感じるのです。(15ページより)

そういう意味で、デンマークの人々の考え方は自分の理想だったと著者はいいます。洋服や腕時計など、自分を飾るものではなく、自分や友人が快適に過ごすための空間にお金を使うということ。そうすることによって暮らしの質が向上し、心が豊かさを感じ、日常から幸せを感じることができるようになるというわけです。いわば、それがおしゃれで幸せな国、デンマークの考え方だということ。(12ページより)


北欧家具はなぜ人気なのか?


インテリアショップ「IKEA」の人気を引き合いに出すまでもなく、「北欧家具」は日本でもとても人気があります。実際に使っていらっしゃる方も少なくないと思いますが、その北欧家具の中心地であり、発祥の地ともいえる国がデンマーク。では、そこにはどのような特徴があるのでしょうか?

まずポイントは、寒い地域である北欧では、家のなかで過ごす時間が長いという点。つまり独特の生活習慣のなかから、北欧家具は誕生したということです。長い時間、部屋にいたとしても飽きのこないシンプルなデザイン、高い実用性、利便性などが特徴となっていることには、そんな理由があるわけです。色づかいはホワイト、レッド、ブルーなど、原色系の色が好まれる傾向がありますが、もしかしたらそれも、気候と関係しているのかもしれません。

ところでIKEAの影響もあり、日本で北欧家具というと安価なイメージが強いかもしれません。しかし著者は、決してそうではないと指摘しています。事実、「カール・ハンセン&サン」や「PPモブラー」などは、世界有数の高級家具として有名。イスひとつとっても、数十万円するものも。そしてよく見れば、材質やつくりは安価なものとはまったく違うのだそうです。

ちなみに高価なものが多いのは、手工業を伝統としていることに理由があるといいます。熟練の職人が、ひとつひとつの家具をていねいに長い時間をかけてつくっているということ。しかも細部にまでこだわりが貫かれているため、とても頑丈で耐久性に優れているのです。また装飾を排除しているため、流行に左右されることがなく、長く使い続けることができるわけです。

非常に高価なものが多い北欧家具ですが、長く使い続けることを前提としているので、デンマーク人は初任給をはたいても、家具を買おうとするわけです。(19ページより)

これは、とても理にかなった考え方だといえるのではないでしょうか?(17ページより)


キズや古さを「デザイン」としてとらえる


「古きよきもの」を大切に残していくという文化が根づいているのがヨーロッパ。デンマークでも、100年以上前からある工場や倉庫だった場所をカスタマイズし、家具のショールームにしているような会社が多いのだそうです。日本の家具メーカーのショールームとはだいぶ違いますが、デンマークでは、あえて古い建物を探してきて、そこに大規模な改修工事をおこない、リノベーション&カスタマイズして再利用するケースが多いということ。

いうまでもなく、「古い建物こそ価値がある」「古さこそが美」という観点があるのです。歴史のあるものを美しく使い続けることこそが美徳であり、ステータスでもあるという考え方が常識となっているわけです。

古くなったものや汚れなどを、日本人はすぐきれいにしたがりますが、デンマークではそれを「味」としてとらえて、残そうとします。古きものを「価値」としてとらえるということです。(28ページより)

こうした価値観に共鳴する著者は、日本人の感覚に疑問を投げかけてもいます。京都などの歴史的建造物を除けば、日本はなんでも中途半端にきれいにしてしまうということ。だから逆に、「おしゃれ」「美しい」というイメージが持たれにくいわけです。

それは車でも同じこと。メルセデス・ベンツやポルシェなどヨーロッパ車のデザインは、何年経っても変わることがありません。誰が見てもひと目で「ベンツだ」「ポルシェだ」とわかるのはそのせい。一方、モデルチェンジしていくと、まったく違うかたちに変わってしまうことが多いのが日本車。同じ車種なのに、見た目にまったく共通点がなくなってしまうわけです。

いわば、すべてをリセットして、どんどん新しくしてしまうのが日本、デザインのよきものを継続し、それを少しずつバージョンアップしていくのがヨーロッパの考え方。

その点について著者は、「日本はその『継承』という意識が、じつは世界的に見ても少ない国なのだと思います」とも記しています。汚れてしまったら、すぐにきれいにしたがるということ。古いものをすぐに壊してつくり替えてしまうことにも同じことがいえるでしょう。

日本人とデンマーク人の美的感覚の違いは、「傷」を尺度に比較するとわかりやすいと著者。つまり、大切なものに傷がついてしまった場合、「この傷をどうなおそうか」と考えるのが日本人で、「この傷をどう残すか」と考えるのがデンマーク人。建物にしても一緒で、「どうやったらこの古いデザインを残し、住みやすくできるかな」ということに趣向を凝らすわけです。

しかしこういった考え方は、近年の日本でも注目されている「リノベーション」にも通じるはず。若いおしゃれな人たちによって、古いものを残そうという考え方が活発化してきたということは、著者も評価しています。ただ、まだまだ「常識」にまでは到達していないともいいます。

古いものこそ美しい。
古きよきものを継承していく。
そういった考え方が、デンマークの「豊かさ」「幸福度」といったキーワードに影響しているのではないでしょうか。(31ページ)

たしかに現代の日本人になら、デンマークの人たちのような価値観を持つことは可能である気がします。(27ページより)




部屋のつくり方やインテリアにまで言及した本書の魅力は、「当たり前」であることの価値を再認識させてくれる点にあります。そしてその感覚は、どこかで「ミニマリズム」ともつながっているようにも思えます。


(印南敦史)

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