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印南敦史印南敦史  - ,,,  06:30 AM

「コンシェルジュ」に学ぶ、サービスの本質

「コンシェルジュ」に学ぶ、サービスの本質

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お客様の"気持ち"を読みとく仕事 コンシェルジュ ホスピタリティのプロを目指すあなたへ』(阿部 佳著、秀和システム)の著者は、サービスのプロフェッショナルであるコンシェルジュ。

1992年にヨコハマグランドインター・コンチネンタルホテルにコンシェルジュとして入社したのち、コンシェルジュの世界組織である『レ・クレドール(Les Clefs d'Or)』国際会員となり、1998年に『レ・クレドールジャパン』プレジテント(会長)に就任したという人物です。

つまり、日本ではまだコンシェルジュの存在が認知されていなかった時代から、コンシェルジュの最前線で活躍してきたということ。本書では、そんななかで培った本当の"ホスピタリティ"のあり方を説いているわけです。

コンシェルジュとは何なのか、何をご提供するのが本当の意味でのホスピタリティなのか。(中略)どのようにクリエイティブなホスピタリティをご提供できるのか。欧米のコンシェルジュとはまた一味違った形をつくれるのではないだろうか。そんなことを考えながら、日々、コンシェルジュという仕事と向き合っています。(「はじめに」より)

こう記す著者のなかには、「試行錯誤を繰り返しつつ、多くの方々に支えられながら学んできたことを、後世に残したい」という気持ちもあるのだとか。そこで第2章「お客様の"立場"で考えるのではなく、"気持ち"に共感する 接客のプロとして、忘れてはいけないこと」のなかから、多くの人が応用できそうな要点を引き出してみましょう。


なにが正しい答えかは、お客様によって異なる


ヨーロッパには、「コンシェルジュになるのではなく、コンシェルジュとして生まれてくるのだ」という言葉があるそうです。つまりコンシェルジュとは、人が好きで、人に興味があり、人に喜んでいただくことを楽しいと感じる人に向いているということでしょう。

そしてコンシェルジュの仕事が他の接客業と大きく違うのは、「形のある品物や決まったサービスを提供するのではない」という点。いいかえればそのぶん、自分たちの創意と工夫次第によって、お客様により大きな満足と幸福を感じていただくことが可能。つまりはそこに、コンシェルジュという仕事のおもしろさがあるのだと著者は主張しています。

もちろん毎日の仕事の一つひとつは、お客様から尋ねられたことを調べたり、お客様の要望を確認して手配することなど。つまり、さほど難しいことではないといいます。とはいっても、「単なるインフォメーション係でも手配師でもない」というところが重要。

コンシェルジュという仕事の本質は、目の前にある一つひとつの作業にあるのではなく、サービスを通じて一人ひとりのお客様に"居心地のよさ"を提供することにあるというわけです。

お客様の依頼を解決するために、コンシェルジュは知識と経験、そして想像力に推理力や洞察力、直観力までも駆使し、あれこれルートを手繰っていくのだとか。なにが正しい答えかはお客様によって違い、答えを見つけられるかどうかは自分の発想次第。そういう意味で、とてもクリエイティブな仕事だともいえるといいます。(72ページより)


このお客様にはなにがベストか


お客様の要望を叶えるためには、何とおりもの方法が存在するそうです。そしてそれは難易度の高い依頼だけではなく、「ホテルから駅までの短い道のりを説明する」といった単純なことにもあてはまるのだとか。

駅までのルートを説明するにはいくつもの方法があり、間違えずに着ければそれで十分というわけではないというのです。「駅へは、どう行けばいいの?」とお客様から尋ねられた瞬間に、どのルートで案内するか、それをどのように説明するかを判断することが大切だということ。

たとえば荷物の多い方や高齢の方には、階段のないルートで案内する。若い女性のお客様なら、レディースのブランドやスイーツのショップを目印に。年配の日本の方には、老舗有名店を目印に説明するなど。同じ「駅まで」であっても、各人に適したいろいろなルートを事前に考えておかなければならないということです。なお外国のお客様なら、その国の有名なショップを目印に利用するのも効果的。イギリスの方だったなら、「ここにバーバリーがあります」などといった伝え方をするわけです。

でもなぜ、ここまでするのでしょうか? それは、お客様一人ひとりが違うから。同じように対応していれば合格点ということはなく、経験を積むことで手立ても増え、身についていくもの。ときに迷うことがあったとしても、どうすればお客様にもっとよいサービスを提供できるのかを、「お客様の気持ち」になって考え、一つひとつ判断していくべきだといいます。(79ページより)


お客様の「先の先まで」考える


お客様に「楽しかった! ありがとう」と声をかけていただくためには、ただ楽しい場所やイベントの情報を提供するだけでは足りないと著者はいいます。特にはじめての場所に行かれるお客様には、道中もずっと安心してスムーズに楽しめるように想像力を駆使し、お客様に必要だと思われるすべての情報を提供しなければいけないのだそうです。

はじめて訪れた日本で、少し離れた山奥にある秘湯温泉へ行ってみたいとおっしゃる方がいたとしましょう。まず考えるべきは交通手段ですが、電車やバスはどのくらいの本数あるのか、乗り換えなどの案内は英語で表示されているのか、道中に迷うような場所はないか、食事や休憩をとる場所はあるか、帰りの交通はどうなっているかなど、調べることは多数。

帰りが遅くなりそうなら、ホテルや近隣のレストランの閉店時間や、ルームサービスは何時まで利用できるかといったこともお伝えするのがプロの仕事。目的地に行かれるだけでなく、山里の温泉体験をより楽しい思い出にできるように、周囲のことにも思いをめぐらせてご案内する必要があるということです。(104ページより)


お客様の願いを叶えるために全力を尽くす


外国からのお客様は、「日本ではこんなことをしたい」といった夢を描いて来日するもの。ショッピングが目的の場合、日本のファッションブランドや化粧品など、たいていはその対象が具体的なのだとか。世界的に知られたものであることが多いそうですが、ときには例外も。

たとえば著者は、ひとりで訪れた50歳くらいのアメリカ人男性から、「名前はわからないけれど、昔、日本で食べた小さなお菓子を見つけてほしい」という依頼を受けたことがあるのだそうです。漠然としすぎているように思えますが、それがどんなものであれ、お客様が探しているものを見つけ出すために、あらゆる知恵をしぼるのがコンシェルジュのチーム。

「探していらっしゃるお菓子の手がかりを少しでも得られれば」ということで、味や形、どこで買ったのかなど、周辺情報も含めてお客様に話をうかがい、絵も描いてもらったのだといいます。とはいえ記憶はあやふやで、食感もはっきりとはおぼえていない状態。どうにかわかったのは、そのお菓子はロール状で、なかに抹茶味のクリームが詰まっており、箱に入っていて、デパートで買ったということことだったそうです。

そこでお客様の滞在期間2日以内に見つけ出そうと、スタッフ全員で捜索開始。ところが、デパートで買った抹茶味のお菓子なら簡単に見つかるだろうと思っていたものの、すべてのデパートに問い合わせてみてもそれらしいものは見つからず、図らずも暗礁に乗り上げることに。

「これ以上、どこを探せばいいのだろう?」という状態だったそうですが、そこで改めて「もしかすると、私たちがなにかを見落としているのかもしれない」と思い、お客様から得た情報を改めてすべて確認したのだそうです。するとお客様の口から、「そういえば、あのお菓子は袋に入って、箱に入っていた」という言葉が出てきたのだといいます。

そこで、「袋入りなら、もっと手軽なお菓子かもしれない」「デパートで買ったというのは思い違いかもしれない」と違う角度から考えてみたところ、ついにお客様が探しているお菓子を発見。それは抹茶味のグリコ「コロン」だったのでした。しかしメーカーに問い合わせたところ、それは京都近郊でしか販売されていない商品。滞在期間を考えるとメーカーから送ってもらうのも間に合わなかったため、京都にいる知り合いのコンシェルジュに電話をすると、「駅に行けば、いくらでも売ってるよ。送ろうか?」ということになり、一件落着したのだといいます。結果、抹茶味のコロンを口にしたお客様からとても喜ばれたのだとか。

「お客様の望みをかなえたい」という気持ちは、むろん、お客様のためですが、同時に私たちの楽しみでもあります。これがコンシェルジュの原動力なのです。(91ページより)

と著者はいいますが、想像しただけでも気の遠くなりそうな作業です。しかしたしかに、それを楽しめることこそがコンシェルジュの、ひいては接客業全般の魅力なのかもしれません。(87ページより)




当然のことながら、本書にいちばん共感できるのはコンシェルジュとして働いていらっしゃる方々でしょう。しかし同時に、すべての接客業、そして営業マンなど人づきあいと向き合っている人にとっても、大きな力になると思います。


(印南敦史)

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