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ライフハッカー編集部ライフハッカー編集部  - ,,,,,,,  08:00 PM

何が起きているの? ビッグデータと人工知能のいまを語る〜ドミニク・チェン

何が起きているの? ビッグデータと人工知能のいまを語る〜ドミニク・チェン

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起業家で情報学研究者のドミニク・チェンさんに、「ビッグデータ」「人工知能」を取り巻く環境や課題をわかりやすくナビゲートしてもらう本連載。

今回は、加速度的に技術革新が進む「ビッグデータ」「人工知能」の世界でいま何が起こっているのか、海外の事例を参考に話を聞きました。


ドミニク・チェン/起業家・情報学研究者
1512_Dominic_prof.jpg1981年、東京都出身(フランス国籍)。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)卒業、東京大学大学院学際情報学博士号取得。メディアアートのキュレーター・リサーチャーとして活動した後、NPO法人コモンスフィア理事として新しい著作権の仕組みの普及に努める。また、株式会社ディヴィデュアルの共同創業者として「いきるためのメディア」をモットーにアプリやウェブサービスの開発・運営なども行っている。2015年度NHK「NEWS WEB」ネットナビゲーター(木曜担当)。『電脳のレリギオ:ビッグデータ社会で心をつくる』ほか、著書・訳書多数。


脅威論を語る前に、目的とスケールに切り分けて見ていくべき


── 前回、「ビッグデータ」「人工知能」はあくまでも技術であり手段なので、何を目的に活用するのか冷静に見ることが、誤解や問題を生み出さないためにも重要であるという話を聞きました。

では、どのような目線で「ビッグデータ」「人工知能」の動向を見るべきですか?

ドミニク氏:2015年1月に『みんなのビッグデータ: リアリティ・マイニングから見える世界』という本を翻訳しました。MITにおけるビッグデータ研究の第1人者であるネイサン・イーグル(Nathan Eagle)は、この本の中で個人・近隣社会・都市・国家・世界規模というように、徐々にスケールを広げながらそれぞれのレベルにおける「ビッグデータ」の活用事例と問題点を詳細に解説しています。

なぜそうしているかと言うと、スケールごとに目的や意味、技術的な取り扱いが異なるので、きちんと切り分けてとらえないと、情報技術による社会改善の可能性や課題が正確に見えてこないからです。

現在、「コンピュータの知性が人間を超える」「人間がコンピュータのいいなりになる」という人工知能に対する脅威論がありますが、それはこれらのスケールをすべて一緒くたにしたテーマ設定なので、この問題の設定自体がとても危険ですし、なにより不毛だと思います。

ある目的のために「ビッグデータ」「人工知能」という手段を用いるわけなので、目的によっては危機意識を持って課題を克服するように務めるべきです。それを一足飛びに脅威論にしてしまうのは飛躍が過ぎます。

そうならないためにも、本来の目的とスケール感という目線はとても重要なことです。


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活用事例の効果と課題をひとつひとつ検証して改善していくしかない


── 具体的にどのような目的とスケールで活用されているのか、いくつか事例を教えてください。

ドミニク氏:では、イーグルの本の中で紹介されている世界規模な活用法から、都市部で行われている事例にスケールをズームインしてみましょう。


1. 疫病の拡散防止に活用

ある国で疫病が発生したとします。感染者がホテルや空港にいたり、飛行機で別の国へ移動すれば世界中に拡散するリスクがあります。そこで、疫病が発生したエリアで病原菌に感染したグループがどのような行動をするのか予測しながら追跡するために、携帯電話の発信記録データを解析して、そこから人の集団の移動や行動のを予測します。

蓄積されたデータを国連機関や国家、研究者が共同で使うことで、病原菌の拡散を最小限にすることができます。また、この仕組みは、人の移動をほぼリアルタイムで把握することで、台風や地震などの天災時に起こるパニックや被害を未然に防いで避難経路を知らせるシステムにも応用されています。


2. インフルエンザの流行予測に活用

これは広く知られていることかと思いますが、Google検索エンジンから派生したプロジェクトです。多くの人が「風邪」「インフルエンザ」「予防」「診断」などのキーワードで検索している地域は、感染率が高い、高くなる可能性があるので、アラートが世界中の医療機関に流れて注意喚起を行っています。


3. パターンを予測して犯罪発生率の削減に活用

アメリカのロサンゼルスには3つのギャングがいるそうですが、過去のその3組織による犯罪発生の相関関係がわかるビッグデータがあり、ギャングAがこう動くとギャングBが反発して、おおよそ何人ぐらいの死者が出るだろうという確率が知られています。

そこで、犯罪抑止や被害の低減を目的に、過去の犯罪発生率のビッグデータを活用して横断的に検索、パターンを予測して警察の取締りなどに活用されています。


4. 行政と市民による環境美化に活用

アメリカのある街では、公園や街路樹の周辺など街の環境が荒らされている場所で、市民がスマホで撮影した画像をアップロードすると、画像に付加されているGPS情報を基に、行政機関が担当者を現場に派遣するシステムを運用しています。

こうしたデータは同時に街全体の環境改善の歴史にもなるので、長期的なメンテナンスコストの削減にもつながりますし、都市環境の質と上記の治安維持との相関も見つかるかもしれません。


ドミニク氏:疫病や天災時に活用される携帯電話の発信記録は、匿名化されているので個人情報は守られていますが、一方で、人間が監視されてプライバシーがなくなるという問題も並行して存在しています。

また、犯罪抑止と犯罪発生率の削減に貢献しているビッグデータ解析ですが、警察が治安のために行う活動で弊害も生まれています。

ニューヨークでは1990年代からスラム地域の再生計画がはじまり、その過程で街中に警官が配備されるようになりました。そうなると街中で無実の人が職務質問される回数が増え、なかでも特に有色人種がされやすい傾向があるので、そのストレスから貧困層を中心に犯罪が起きやすくなっている現状があります。同じようにビッグデータに頼って警官が市民に疑いの目を向け始めるようになったら、本末転倒な状況が起きてしまうでしょう。

こうして、「ビッグデータ」「人工知能」をひとくくりでにしないで、スケールごとに見ていくことで、目的に対する効果と課題が浮き彫りにされてきます。しかし、こうした活用事例を単に良い悪いと決めるのではなく、どうすれば課題を克服してより良い社会のために改善できるかを考えるべきです。

「ビッグデータ」「人工知能」という技術が問題なのではなく、それを使う人間の問題、社会の問題ですからね。




情報技術は常に進化を続けているので、想定されるリスクを回避して実行しながら、見つかった問題や課題を克服して前に進むしかありません。

そして、「ビッグデータ」「人工知能」という技術とどう向き合い、どのような判断をくだすのかを人間は問われるような気がしました。

そこで次回は、「人工知能の脅威論を語る前に、人間が考えておくべきこと」をテーマにドミニクさんに話を聞きます。お楽しみに。


(香川博人)
Photo by Shutterstock.

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