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ライフハッカー編集部ライフハッカー編集部  - ,,,,,,,,,  09:00 PM

ブラジルではどうして爆発的にモノが売れるのか?専門家に「ビジネスの進出先として見たブラジル」について教えてもらいました。

ブラジルではどうして爆発的にモノが売れるのか?専門家に「ビジネスの進出先として見たブラジル」について教えてもらいました。

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リオのカーニバルのイメージから、ブラジルという国には陽気な印象があるかと思います。サッカーW杯のブラジル代表に誰が入るかなどは、日本人でも関心をもっている人が多いかと思います。また、リオ・デジャネイロのコルコバードのキリスト像を思い浮かべる人もいるでしょう。日系人が多いことでも知られ、なんとなく日本に親しみのある国なのではないでしょうか。

その一方で、実際にブラジルに行ったことがあるという人はあまり多くないように思われます。現地の人たちがどのような生活を営み、どのようなニーズをもっているのか。サッカーやサンバなどのイメージ以外に、ブラジルについて知っていることがどれだけありますか?

中南米・アフリカなど、欧米圏・アジア圏以外にもたくさんのビジネスチャンスが眠っていると言われています。『ASEAN/アフリカ/中南米 最新 海外市場ビジュアルデータブック』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)によれば、将来、こうした地域も巨大なマーケットに成長するであろうと述べられています。国民が平均して若く、教育水準が高まりつつあり、生活水準・給与水準が向上し、高度経済成長期の地盤が着実に形成されていっている段階なのだそうです。



ライフハッカー[日本版]では、欧米スタートアップの動向や、アジアにおけるビジネスの事例紹介などを中心に、海外のビジネスに関する情報を紹介してきました。今回は、それらの地域をあえて離れ、南米・ブラジルを取りあげてみたいと思います。BRICsの1国であり、広大な国土を有するこの国には、どのようなビジネスの可能性が眠っているのでしょうか? また、日本人であることはブラジルでのビジネスにどのように影響するのでしょうか? そこで、こうした疑問について、ブラジルでのビジネスに詳しい、海外M&Aのコンサルタントである片岡万枝さんにお話をうかがってきました。


ブラジル1国の中には10国入っていると思ったほうがいい


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片岡万枝(かたおか・かずえ)
プライスウォーターハウスクーパース(以下、PwC)のディールアドバイザリー部門に所属。先進国・新興国を含めたクロスボーダーディールに関与し、多国籍にわたるカーブアウト案件などの経験多数。社内のブラジルデスク担当。2010年~2013年までブラジルに赴任し、現地勤務していた経験あり。『ASEAN/アフリカ/中南米 最新 海外市場ビジュアルデータブック』共著者。

── ブラジルと言うと、リオのカーニバルとか、サッカーが盛んであるといったイメージはありますが、どのような国土で、どのような人たちが住んでいるのか、という点については思ったほど知らないように感じました。ブラジルとはどういう国なんでしょうか?

片岡:1回も南米に行ったことがないという人は多いと思います。私も仕事で行くまではそうでした。

ブラジルの国土は広く、5つの地域にわけることができます。GDPも1国でASEANのそれに匹敵します。「ブラジル1国の中に10国ほど入っている」と言ってもいいでしょう。


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地域別に色分けし、各地域のGDPがブラジル全体のGDPに占めるパーセンテージと、各地域の人口がブラジル全体の人口に占めるパーセンテージをまとめた。


サンパウロやリオ・デジャネイロがある南東部が経済の中心になっていますね。1人あたりGDPはマレーシアほどで、人口の半分とGDPの半分ほどを占めています。日系人は主にこの地方でビジネスを展開しています。南東部の主要な都市は以下のとおりです。

  • サンパウロ:ブラジル・中南米最大の都市で、経済の中心地。自動車、IT、家電など、さまざまな産業が盛ん。
  • リオ・デジャネイロ:かつての首都。石油・エネルギーや通信事業の中心地。
  • ミナス・ジェライス:マイニングの中心地で、かつては一攫千金を夢見て、多くの人が押し寄せた。

北東部は、1人当たりGDPが低く、「ブラジルの中の中国」とも言われています。現在、港湾地帯を工業地帯化していて、雇用が生まれてきているので、今本当にエマージングなマーケットはここですね。北東部は中国人が多いです。サンパウロは日系人コミュニティが強くて入れず、北東部に流れてきたようです。歩いていると、「お前、シネーザ(中国人)か?」なんて聞かれる土地ですね。

南西部などは農業地帯で、大豆価格が上がったりするとバブルになります。ブラジル全体では、GDP成長が低迷している中で、南西部は、GDP成長が続いている状況にあります。

サンパウロのある南東部はコンペティティブでもあるので、ほかの地方に着目するのもおもしろいでしょう。


日本人が外国人扱いされにくい土壌がある


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多くの日系移民が成功してきた歴史
学生移民でブラジルに渡り、民宿の経営に成功した方(日本人)が大学の同窓会を現地で開いたときの様子。現在はリタイアし、サンパウロ郊外に広大な土地を購入、農園と宿泊施設を運営している。ブラジルへの移民は明治時代に始まり、1960年代に軍事政権が始まるまでは、学生移民が認められていた。ブラジルには160万人の日系人がおり、人口の0.8%ほどを占めている。その中にはこのように成功を収めた人が多く、日系人への印象は全体的に良い。


1. ブラジル人の中に入っていくには、まず友だちになろう

── 日本人がブラジル人の中に入っていくことはできるのでしょうか。日系人が多いということは、メリットになりうるように思われますが、実際のところはいかがでしょう?

片岡:ブラジルも深く入りこもうとすると、難しい土地だと思いますよ。日本で言うと、京都みたいなところがあります。「あの人、お行儀悪いことで」みたいに言われちゃうような(笑)。

── それはちょっと予想外です。

片岡:一昔前の日本に似ていますね。最初に行くときは、いきなりビジネスの話をするのではなく、まずは「これからおつきあいさせていただきます、○○です」とご挨拶するところからになります。私が社会人になった頃は「手土産を持っていって、お茶菓子をいただいてこい!」などと言われたものです。それに似ているように思います。今の日本はもっとテンポ良く進みますよね。

「僕たちは仕事であってもアミーゴ(友だち)になろう」とブラジル人に言われたこともあります。「カズエ、あんたブラジル、好きか?」などと聞かれることも多いです。「この人とつきあえるかどうか」「この人は信用できるか」といったことが、とても重視されていると思います。

日本でもビジネス相手個人を見るといった目線はまだあると思いますが、ノリとしては昭和に近いという感じなのかもしれませんね。

コミュニケーションを重視するオーナー経営者がまだ多いというのも原因の1つでしょう。

日本人にとっては、「仕事=やらなきゃいけない」じゃないですか。でも、ブラジル人の場合は、「誰からの頼みごとか」ということがビジネスに強く影響してしまいます。相手によって対応の優先順位が大きく変わったりしますね。

私も社内のブラジル人にメール1本でお願いをして、無視されてしまったことがあります。同じ会社にいてもこういうことがあるわけです。以来、ブラジル人には必ず会ってから、メールを送るようになりました。

── 日本人はどのように見られるのでしょうか? 日本人であることは現地でメリットになりますか?

片岡:普通、外国に行けば外国人扱いされますよね。でもサンパウロでは、いきなり道を聞かれたりしますよ(笑)。風景の中に日本人がいても違和感がないんでしょうね。私が教えていいのかな、なんて思っちゃいますけども。

日本人が外国人扱いされない数少ない国なんじゃないかと思います。そういう意味では、日本人にとって居心地のいい国かもしれません。日系人の方たちがしっかりやってこられたという地盤があって、日本人への差別意識はあまりないと思います。


2. もちろん、ビジネスでは友だちであるだけではいけない

── ブラジル人の気質はどのようなものでしょうか?

片岡:日本人は「ルールでこうだ」と言われるとすぐ引き下がりますが、ブラジル人は前提がおかしいなら、改善するように働きかけたり、浪花節的に頼み込むといった昭和なところがあります。そのため、ロジカルに「こうだからこうでしょ」では通らない場面がありますね。

── 日本で言う「筋を通す」という感じでしょうか。

片岡:そうですね。今の日本はもっとビジネスライクで通じるようになっていると思いますが、ブラジルではもっとリレーションシップに投資することが大切です。

── ビジネス上でブラジル人と付き合う上で、注意が必要な点はありますか?

片岡:日本人とは違って、計画立てて物事を行ったり、細かなことを行うことが苦手な傾向が見受けられます。日本人のように細かな点にこだわったり、計画的にコトを運ぶというより、ブラジル人はフレキシビリティを重んじていると言えるかもしれません。

ブラジルでITビジネスに携わっている方とご縁があるのですが、その方は次のようなことに気づいたそうです。一例ですが、ご参考までにご紹介します。

  • 「ブラジル人は働かない」というイメージを持っている人もいるかもしれないが、実際は少し異なっている。「みんな一生懸命働いているが、努力の仕方を間違っているのか、全般に生産性が悪い」というのが本当のところだ。
  • 問題をリストアップすることは得意だが、自己解決するのではなく、ボスに報告して解決してもらおうとする傾向がある。階層社会の歴史の影響と思われるが、個別に正しいKPIを設定して自走してもらう必要がある。
  • 意見を述べることを好むため、社内の会議ではよく怒鳴り合いになる。間を取り持って、最終合意にたどりつかせるスキルが必要になる。自分の意見が採用されなかったからといって根に持つことはないので、時には本気を見せるために怒鳴ることも重要。
  • ブラジル人のボスになる場合、単にアミーゴになってしまうと言うことを聞かなくなってしまう。公私は区別する必要がある。その一方で、業務上の指導のために怒ることは、個人的な交友関係とまったく関係ないということを説明する必要もある。ブラジル人は怒られると「自分は嫌われている」と思い遠ざかっていくのが普通なためだ。

(IT系、40代、男性)


3. とにかく物を買う文化がある


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リオ・デジャネイロ全景。


── ビジネス相手や同僚との距離感は、日本とはちがった難しさがありそうですね。一方で、お客さんとして見たときのブラジル人には、どんな傾向があるのでしょうか?

片岡:日本の場合、所得中間層にボリュームがありますよね。一方、ブラジルでは、2009年から所得中間層がかなり増えています。可処分所得が増大しており、爆発的な消費を生み出しているという状態です。

その理由は2つあると思います。ブラジルは過去ハイパーインフレの時期があり、お金を物に即変えないと損をするという時期がありました。朝と夕方で物価が違ったりしたそうです。物の値段がどんどん上がっていくので、お金を持っていてもしょうがなかったわけです。そにため、子どもの頃に「お金をもらったらすぐ使え」と言われて育ってきた人が多く、ガンガン使ってしまう消費者文化があります。

現在、ブラジルでは預金率が14%ありますが、それでも物を追いかけてしまうんですよ。車を買ったり、アパートを買ったり、「どうやってマネージメントしているんだろう?」というくらい、とにかく買うんです。「今買ったほうがあとで買うより得」という考え方が染みついているんでしょうね。コンシューマーとしても、日本人とはまったく異なった傾向を示しています。

もう1つの理由として、日本の数十年前、高度経済成長期をなぞるような状況にあるということが挙げられると思います。たとえば、女性も可処分所得を持つようになってきて、洗髪剤などの需要が増えてきており、シャンプーやリンスのマーケットとしては2015年に世界一になると予想されていました(レアル安の影響で、順位は後退するものと予想されますが)。同様に化粧品も需要が増えており、欧州系の某社は2014年にも、ユーロベースで10%以上を達成しています。

── コモディティ以外のプロダクトを売ることも可能なんでしょうか? サービスやエンターテインメントなど。

片岡:ブラジルにはもともといろんな人が集まっていて、綺麗な人はとことん綺麗です。車などもデザイン性をとても重視されます。要は、いかにかっこよく見えるかが大事なんですね。

そのため、広告・プロパガンダがとても大切ですね。PwCブラジルも飛行機に広告を載せたり、グッズなんかも山ほど作っています(笑)。ブラジル人を相手にするときは、どう訴求するか、仕掛け方が重要だと思います。新しもの好きなこともあって、広まるときは一気に広まります。

── 直接製品を売るという形でなくとも、「手法を売る」とった形でも勝負できるかもしれませんね。

片岡:そう言えるかもしれませんね。


日系人によるビジネスの先例


── すでに成功を収めているビジネスとしてはどんなものがありますか?

片岡:ブラジル移民した人の中には、医療機器販売やプロポリスで成功した例があります。北東部地域に、日本のレジャーホテルの仕組みを持ちこんで成功したという方もいます。外食産業では、牛丼チェーン店や100円ショップも一気に拡大していますね。

「日本にあって、まだブラジルにない」というものを持っていったら成功する可能性があると思いますね。今、ブラジルの経済は停滞していますが、不況下に強い産業というのもありますよね。そういうビジネスは今が勝機だと思います。

── 日系企業も進出していると聞いていますが、どのような状況にあるのでしょうか?

片岡:某オートメーカーさんが二輪車で成功されています。マーケットシェアが70~80%あります。インスタントラーメンも大きなシェアを獲得しています。スーパーに行くと、日本でも有名なメーカーのロゴが入ったカップラーメンがずらっと並んでいます。味はローカライズされているので、チーズ味とかですが(笑)。

日本の自動車メーカーは、ブラジルで長く事業を展開しており、高級車ブランドのイメージがあります。ブラジルの自動車販売量は、世界4位で、ドイツより大きな市場です。日系企業のシェアは今10%ほどですが、これから伸ばしていく段階です。

日本の製品やサービスは、ハイエンドなものだと認識されていますね。ブラジル人は配慮の行き届いたサービスが苦手ですが、逆に日本人は得意なので、そういった点はビジネス上でも武器になるかもしれません。


アドバンテージがあるとはいえ、ブラジルにはブラジルの厳しさがある


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リオ・デジャネイロ市南東部に位置するリゾート地、コパカバーナ

── 日本人がビジネスを、企業人だけでなく、個人で行うことは可能なんでしょうか?

片岡:ブラジルのマーケットはとても難しいと言われています。まず、ボラティリティ(予測変動率)がとても激しいです。というのも、ブラジルは資源立国で資源輸出状況が影響するため、資源の値段やコモディティの値段を一国でコントロールできません。ブラジルの経営者は、その激しい景気の波を生き抜き、成功してきた人たちです。とてもタフですよ。

ブラジル人経営者は「ほかの市場に行っても成功する」とまで言われているほどです。日産自動車のカルロス・ゴーン社長などもブラジル出身ですね。ヨーロッパのタイヤメーカーで成功し、フランスの大手自動車メーカーに引き抜かれ、日本に送り込まれるほど活躍されています。

── もし日本から進出するとなると、そういった百戦錬磨のブラジル人が相手になると。

片岡:そうなります。また、慣行や教育の違いも、現地でビジネスを行う際に問題になるかもしれません。

ブラジル人はラテン系なので、生活のクオリティを重視します。正規雇用の人たちに対しては、1年間の労働に対して1カ月の休暇、1カ月分の給与を与える義務があります。社会主義の国でもあるので、労働者保護が重視され、労働者を雇用する局面で苦労する場合もあるでしょう。

英語を話せる人もまだ一部のエリートだけなんですよ。大学進学率はまだ十数%くらいです。義務教育のための学校が確保できておらず、1つの学校を朝・昼・夜間と3回転させているような状況です。夜間に働きながら通っている人がいるわけです。IMFが入って義務教育も改善されてはいますが、識字率も一定年齢層以上では高くありません。

ビジネスを行うに当たっては、現地のビジネス習慣や言葉を学ぶ期間を設けたほうがいいかもしれません。

── ビザ関係はどうなんでしょうか?

片岡:どこかの企業で働く場合は、雇用証明と証明プロセスを経れば大丈夫だと思いますが、ブラジルの法律には「外国人が働く場合は、外国で働いていたときにもらっていた額と同じ額を支払わなければならない」という定めがあります。現地の雇用を守るための措置ですね。ブラジルの企業で雇ってもらう場合には、日本人の給与は高いので、そこを払ってもらえるかどうかが問題になるでしょう。純粋にぽっと行って働くのは、向こうからオファーがないと難しいですね。向こうからこちらに来るのは大丈夫なんですが。

また、また、外国人がビジネスを起こそうとすると、永久ビザ取得のために預託金60万レアル(約2000万円)を入れないといけないというハードルもあります。

── 2000万円は結構なハードルですね。

片岡:もし個人でビジネスを行おうとするなら、現地の人と結婚するか、現地でビジネスパートナーを得て、その人に代表になってもらうかでしょうね。結局、「ブラジル人の信頼できるパートナーを作る」ことが必要になると思います。言葉も含めて、「ブラジルでのビジネスを学ぶ期間」が必要になるはずです。

── 学んで、ハードルを越えられれば、市場として非常に魅力的ですよね。爆発的に買ってくれ、自分のプロダクトが一気に広まる可能性があるように感じます。そういった流れは今後20年、30年と続くものなのでしょうか?

片岡:私はそうだと思っています。

── LH読者に向けて一言いただけないでしょうか。

片岡:たぶん、未婚の男性がブラジルに行くと、ブラジルの女性と結婚してしまうと思います(笑)。男性も女性も情熱的ですし、とにかく愛想がいいのです。コロッといってしまいがちです。大体はブラジルが好きになってしまうんじゃないかと思います。

嫌いなところでやっても仕方ないと思います。やるなら好きなところでやりたいものですよね。ブラジルは今いろんなビジネスが育っていく過程にあるので、ビジネスチャンスを手に入れてみたいという方は、アミーゴ、あるいはアミーガを得つつ、チャレンジしてみる価値のある国ではないかと思います。

※ブラジルは現在不況下にあり、販売不振が続いている分野もございます。


(文/神山拓生、撮影/香川博人)

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