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金本太郎金本太郎  - ,  12:00 PM

誤解の多いマイナンバー制度の実像を税理士に聞いてみた

誤解の多いマイナンバー制度の実像を税理士に聞いてみた

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「行政の効率化」「行政サービスの利便」などを目的として、国民一人ひとりに12桁の番号を割り振る、「マイナンバー(個人番号)制度」。そろそろ、手元にナンバーが記された通知カードが届き始める時期になりました。

マイナンバーの概要については政府広報オンラインにまとめられていますが、一部では「プライバシーやセキュリティは大丈夫なのか?」という声も聞きます。

しかし、実際問題、マイナンバーの導入によって私たちの生活はどのように変わるのでしょうか? 税理士の山内さんにお話をうかがいました。


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山内真理:公認会計士・税理士


公認会計士山内真理事務所代表。ITやデザイン、出版、広告などのクリエイティブを中心とする法人の税務や、デザイナー、建築家、漫画家等を中心とする個人の税務に従事。

山内:番号法で定められている、制度スタート時におけるマイナンバーの利用範囲は、「社会保障」「税」「災害対策」の3分野です。たとえば「社会保障」は年金や保険の資格取得や給付など、「税」は確定申告や各種届出、調書など、「災害対策」は被災時の支援金給付などですね。番号法によれば、同法で具体的に定められる事務以外に自治体の条例で定められる事務にも利用されることになっています。

法律は個人番号の利用範囲を制限しており、スタート段階で利用が認められるのはあくまで上記のものですが、今後の利用拡大を目指して現在検討が進んでいます。本年9月には「2018年から預金への任意の付番を認める」などの改正法が成立しましたが、さらなる利用範囲の拡大には法律・条例の改正が必要となります

誤解も多いですが、「コンビニで住民票などの交付が受けられるようになる」とか「民間のオンライン取り引きで利用できるようになる」といった、今後の利便性向上につながると言われている部分の多くは、個人番号そのものが利用されるのではなく、マイナンバーカードに搭載される「公的個人認証」の仕組みが開放されることによって、もたらされる可能性のあるものだと思います。e-taxを利用して確定申告をしている方にとってはすでにお馴染みかもしれませんが、普及が進まなかった住基カードに代わり、通知カードと引き換えに希望者が交付を受けるマイナンバーカードには電子証明書の機能がもれなく搭載されることになります。

マイナンバー制度を国民に受け入れてもらい、しっかり普及させていくために、政府は様々なメリットを示すことで利便性をアピールする必要がありますから、現在は構想・検討段階のものを含めて様々な利用想定に関する情報が飛び交っています。一方、いたずらに利用範囲が拡大されて、すべての情報が紐付き、プライベートが筒抜けになるのではないか...などと運用面に不安の声も聞かれます。個人番号そのものについてだけでなく、通知カード、マイナンバーカードに公的個人認証と...制度に関連して語られる側面も多様ですので、その結果、誤解や混乱も一部で生じている、というのが現状なのかもしれません。


プライバシーリスクはどの程度か?


山内:マイナンバーの話題の中でも特に大きいのが、セキュリティのお話ですね。たとえば、マイナンバー関連の事務を行う民間事業者などには、番号確認だけではなく身元確認(その番号が提供者本人のものであることを確認すること)も同時に行う義務が課せられていて、個人番号のみではなりすましが行われないよう、ブレーキがかかる仕組みになっています。

また、「マイナンバーに紐づく個人情報はどこか特定のサーバーで一元的に管理され、そこがハッキングされるとすべての個人情報が流出してしまう」という誤解もありますが、実際は、所得税は各税務署、住民税は各自治体、年金は日本年金機構...というように、個人情報は分散して管理され、符号を用いてネットワーク上で情報連携されます。特定の役所で一元管理されるわけではないということです。

さらに、マイナンバーカードについては「カードのICチップを通じて、あらゆる個人情報が漏洩する」と心配する方もいらっしゃいますが、ICチップには税や年金、病歴といったプライバシー性の高い情報は記録されません

カードを紛失した場合に取得される情報は、表面に記載されている住所・氏名・生年月日・性別、顔写真などの情報と、裏面のマイナンバー、公的個人認証のための情報まで。私は情報セキュリティの専門家ではないので、認証方式などの詳細は他の専門家に委ねたいですが、公的個人認証については、マイナンバーカードを盗んで別人になりすまし、不正に電子的な手続きを行おうとした場合には、あらかじめ本人が設定したパスワード・暗証番号が必要になるなど認証面でハードルが設定されています。

不正な個人情報の取得や利用には厳しい罰則がありますし、2017年からはマイナポータルを通じて、個人番号などの情報の利用履歴を本人も確認・監視できるようになることが予定されています。


源泉徴収票や支払調書、確定申告のためにマイナンバーが必要になる


山内:税関係の事務に関してですが、まずは2016年から、雇用者は従業員のマイナンバーを把握し、それが本人のものであるかを確認する義務が生じます。翌年1月までに税務署に提出する源泉徴収票などに記載が求められるからです。また、組織から個人へ源泉徴収の対象となる報酬を支払う場合にも、発注主はマイナンバーを確認しなければなりません。支払調書への記載も必要となってくるからです。

フリーランスの方はとくに影響が大きく、確定申告にマイナンバーが必要になるほか、源泉徴収の対象となる報酬を受け取るクライアントそれぞれに対して、ナンバーを通知することになります。また、発注主である組織も同じで、出版社やITなど、ライターやカメラマン、デザイナーといったフリーランスとの取り引きの多い会社は、事務処理が大変になることが予想されます。管理上の安全措置も求められますし、やり取りにも工夫が必要となるでしょう。


副業がバレるのではなく申告漏れが防止される


山内:あとネットで盛り上がっている、と感じたのが「副業が会社に知られてしまう」というものですね。これも少し誤解があるようで、マイナンバーの導入自体は、直接的に副業がバレる原因にはならないと思います。

副業をしていて、その収入・所得が一定額を超えると確定申告が必要になるのですが、そうすると住民税の金額も変動します。会社から給料をもらっている場合、住民税の通知が勤め先に行くので、このときに「当社の給与以外に収入があるな」というのが間接的にわかるわけです。これは確定申告をきちんとしていれば、以前からあることです

マイナンバーが導入されると、マイナンバーを通じた紐づけにより、副業の収入の申告漏れが従来より発覚しやすくなり、申告漏れが抑制される、その結果として会社に副業が知られやすくなる、という側面はあるかもしれません。しかし、これ自体は、より公正に税がおさめられるようになる...というマイナンバー導入本来の目的です


マイナンバーは省庁の連携を省力化・徹底するツール


山内:個人のお金の流れのうち、所得税の情報だったら税務署にあるし、地方税の情報だったら各自治体と、情報は各行政機関に分散されて管理されています。そのため、いままではあらゆる面で役所をまたぐと情報が効率的に手に入らない...という弊害がありました。

マイナンバーがあれば各システムが連携しやすくなり、いままでとても手間がかかっていた照会作業が省力化され、不正受給などが防止され、行政のリソースを必要な分野に効率よく振り分けられるようになる、というのが、国がまず想定するマイナンバーのメリットのようです。

一方、国民のメリットも最初のうちは「行政手続きの省力化・効率化」にとどまりそうです。たとえば、確定申告で住宅ローン控除を受けたい場合、住民票の添付義務が不要になる、といった具合です。しかし、その後は公的個人認証の開放などによって、さらなる利便性につながっていくものと思われます。

個人的には、マイナンバーは壮大な社会実験のようなもので、普及が進んでこそ利便性が高まっていくものだと思います。国は電子政府の確立を目指していますが、電子化先進国に大きく後れをとっている状況ですから、制度は良い・悪いではなく、時代の要請だなと感じます。

将来の利用範囲拡大などは、これからの普及や運用の状況を見つつ決まっていくものだと思います。本当に国民の利便に資する、かつ安心できる制度にしていくために、私たち一人ひとりが注意深く監視していく必要がありますね。




私(金本)の理解では、マイナンバーはあくまで「住民ひとりひとりにナンバーを割り当てるシステム」で、状況に応じて変わる氏名や住所に頼らず、個人を同定するためのコードでしかない、というもの。スタート段階ではおもに税金や労務などの事務に利用されるため、そのための管理制度としての色合いが強いようです。

今後、システムの上でどういったサービスが実現するかは、議論や検証を重ねて決まっていきます。日本は国民番号制については後発です。海外の事例のよい面や失敗例、課題なども慎重に参照しながら、よりよい運用ができるよう、法案などをチェックする必要があるでしょう。


(金本太郎)

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