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開發祐介開發祐介  - ,,,,  09:00 AM

ライゾマ齋藤氏とナリワイ伊藤氏が語る、「専門分野に囚われない」という考え方

ライゾマ齋藤氏とナリワイ伊藤氏が語る、「専門分野に囚われない」という考え方

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去る9月7日、東京理科大学にて「学彩の王国へ~境界領域学入門~」と題した特別講義が行われました。「境界領域」とは複数の分野にまたがる学問分野のことで、たとえば物理化学(物理学+化学)や古生物学(地質学と+生物学)などを指します。今回は3日間にわたり、さまざまな分野で活躍する9名のクリエイターや起業家、研究者たちによる90分間の講義が行われ、これから社会へ出ていく学生たちへ「仕事」や「働き方」についてお話をされていました。

この記事では、初日に行われた株式会社ライゾマティクス代表の齋藤精一氏と、ナリワイ代表の伊藤洋志氏による講義の模様をお届けします。


今まであった"分野"の境界線がなくなってきている


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株式会社ライゾマティクス代表・齋藤精一氏


ライゾマティクスはアート、コマーシャルの領域で数々の作品を作り続けているクリエイター集団。国内外で多数の広告賞の獲得実績があります。

齋藤氏の講義テーマは「境界を超えた未来の仕事を考える」。このテーマの趣旨について齋藤氏は、以下のように語りました。

齋藤氏:境界を超えた未来の仕事を考える」というテーマは、今いろいろな場所で起こっていることです。たとえば、最近あるハッカソンの審査員をしたのですが、参加者にはアーティストやテレビに出ているタレントもいれば、建築系やプロダクト系、デザイン系などさまざまなクリエイターもいて、いろいろな人が一緒にモノをつくるという環境でした。また、半年前にMIT(マサチューセッツ工科大学)のレクチャーを聞いた時も、たとえばバイオテクノロジーの分野において、細胞をプリント出来るようなプリンターデバイスを創る時、バイオロジーだけではなく電子工学の知識も持ち合わせることで初めて実現する事ができたという話を聞きました。

このように、今まであった分野の境界線がなくなってきています。たとえば生物学に加えて電子工学の知識を得ると、また違うものづくりの発想ができるということです。これは教育論としてもよく言われていることで、それを象徴する言葉として「アンチ専門主義」があります。これはMITメディアラボ所長の伊藤穰一さんの言葉です。もちろん専門主義は土台作りとして大事ですが、それを身に着けた上でさらに違う分野を少し学んでみると、まったく新しいモノやサービスが生まれてくるのではないかと思います。

そんな齋藤氏自身、「アンチ専門主義」を地でいくような経歴。

齋藤氏:東京理科大の工学部建築学科からコロンビア大学の建築学科へ進み、建築事務所に就職しました。しかし、「建築というのは考えてから実現するまでにすごく時間がかかるな」と思うようになりました。たとえば都市計画でも、計画してから土地を買収して...などとやっているうちに、10年や20年かかってしまいます。このスピードが遅いなと感じ、別のことを模索しようと広告代理店に転職しました。

すると今度は、「広告主とモノをつくるよりも自分でモノをつくりたい」と思うようになり、越後妻有アートトリエンナーレに美術作家として参加。その後フリーランスとして活動し、2006年にライゾマティクスを設立しました。これだけ紆余曲折したことについては「うまい時間の使い方ができなかった」と思いつつも、いろいろな仕事したおかげで違う知識や思考を持つ人に出会えたので、その点は良かったなと思います。

アートの分野に踏み込んだものの、それだけではなかなか食べていけず、ほかの仕事をしながらアーティストをやるという人がほとんどです。僕も同じで、だからライゾマティクスという会社をつくりました。今は社員は37名で、フリーランスを含めると50名強。海外含めいろんなクライアントと仕事をしています。「Art+Commercial」をかがげ、美術作品などつくりたいものを作り続けつつ、お客さんありきの仕事もする。そこでお金を稼いで自分たちのやりたことをやる。2つの柱で会社を運営してます。今年で10年目に入りますが、ありがたいことにそうした仕組みがうまく回っています。

齊藤氏は最後に学生へ向けて「TOWARD/BEYOND2020」と題したメッセージを送りました。

齋藤氏:君たちが社会に出て数年経つと、東京オリンピックがあると思います。今いろいろと議論が起きているけど、2020年がひとつのきっかけになってまちづくりがさかんになるとか、企業が2020年に向けていろいろなものを開発するとか、1つの大きな"橋桁"のような存在になっているのは確かだと思います。

だから「2020年」を意識しながら将来を考えていくと、面白い発想とか新しい発想が持てるんじゃないかと思います。僕がよく言っているのは、オリンピックというのはさまざまな要素が入っているものだということ。たとえば映像制作なら「フェンシングは動きが早すぎるから、もっとわかりやすく見せるためにハイスピードカメラでトラッキングしながら編集すると面白いんじゃないか」とか、いろいろなテクノロジーが関わってきます。

あとは、パラリンピックが普通のオリンピックを超えるエンターテイメントとして盛り上がる日が来るんじゃないか、と言われていますよね。たとえばアスリートの「義手」がさらに発達するとか。アートや美術的な思想も、まちづくりの中で有益に使われていくと思います。建築もそうだし、デザインもそう。ものづくり以外でも、プロデュースとかプランをつくるといった発想も大事になってきます。いろいろな形でオリンピックに関わっていくことができます。せっかくこの時代に日本人として生まれたなら、ぜひ2020年の東京オリンピックを意識して、将来を考えていくといいと思います。


その他、ライゾマティクスがこれまで手掛けてきたさまざまな作品の紹介もされ、学生たちの関心を引きつけていました。


合わせ技で新しい仕事をつくる


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ナリワイ代表・伊藤洋志氏


一方、伊藤氏は「やればやるほど技が身につき頭と体が鍛えられ、仲間が増える、生活と仕事が一体化した仕事」を"ナリワイ"と定義し、現代で実現可能なナリワイのモデルを研究開発し、実践しています。

伊藤氏の講義のテーマは、「生活と一体化した仕事のつくりかた―ポストグローバル時代の生活経営論」。

伊藤氏:今回のテーマは「境界領域学入門」ということで、特定の分野だけでは解決できない問題が出てきているという要請から、こうした講義が組まれたのだと思います。僕自身は農学部を卒業したものの、自分の興味関心のある就職先が社会に用意されてないらしい、ということに大学在学中に気付き、自分で仕事をつくることにしました。

普通の会社員だと毎月いくらかの給料が定額で振り込まれますが、いわゆるフリーランスや起業家など、自分で仕事をつくるとなると、どうしても「収入だけでなく支出をどうコントロールして面白くするか」ということが実は稼ぐよりも強力な技です。ということで、本講義の私からの課題は「遊びを考える」です。娯楽を自作できる人がこれからは強い。さて、個人で仕事をすると屋号が必要となりますが、「自分がこういうことをしたい」ということが、パッと聞いてわかるように名前をつけるというのは重要です。大学の学部名と一緒ですね。

僕の場合はビジネスではなく"ナリワイ(生業)"をつくるという意識でやっており、これは会社名というよりプロジェクト名とかチーム名のようなものです。いろいろなプロジェクトを進める中で、この仕事にはこの人が必要だ、という人をスカウトしています。いい名前がつけられると、自ずとやることが絞りこまれるので便利です。

専門分野も大事ですが、それはある時代に必要とされたカテゴリーであり、現代社会は変化し続けていますから、時代の最先端におられますみなさんの興味関心でカテゴリーは更新していく必要があります。1個だけしかないと思って突き進むよりは、2つとか3つとか考えとく方が、あとでどうにかなるという特典もありますね。

伊藤氏曰く、年々「職業の数」は減ってきたのだと言います。大正9年の国税調査で国民から申告された職業は3万5000種でしたが、現在の厚生労働省の「日本標準職業分類」よれば、なんと2167職種まで減っているそう。

伊藤氏:江戸時代以前は、農家をやりながら大工したり染物屋したりとか、意外とみんな副業していました。1人が1つの仕事だけをして専門性を高めていくという時代はここ100年くらいの話で、それ以前は1人で何役もやるというのが普通だったわけです。その頃に戻してみたらどうかなと思うんです。

基本は農業をやるけど、他にも民宿をやったり行商してたまに一山当てたりとか、冬になって暇になったら「神楽」を結成して全国を回ってお金を稼いで帰ってくるとかもあったそうです。割と長期休暇もあって、冬の農業ができない時期は1カ月くらい温泉地に行ってのんびりしたりとか。そういう働き方がむしろ人間にとって自然で歴史が長い、僕はそれを現代に合わせた形を一人で研究開発する活動しています。いま、様々なメディアで働き方が話題になるということは、働くことの矛盾が大きいということ。その大きな要因は、長らく人間の性質に合わせていろいろな仕事を組み合わせて生活をしていたのを、急激に6、70年で変化させてしまったので、ついていけなくてみんなキツいからだと思います。ある面では、しんどいのは当たり前のことをやっている時代であるという認識が大事と思います。その上でどうするか。

仕事に多様性がないというのはあまり人間のつくりに合っていない。もともといろんなことをしていた原始時代にいまの人類の脳や身体のつくりは完成していおり、そこから変化していません。不自然なことをしていれば、精神的に辛くなる人も出る。さらにあんまり1つに頼っていると、仕事がなくなった時に対応できないという現実的な話もあります。実際いろいろなテクノロジーがこれだけ発達しているので、ある日突然、その仕事が消えるということが多々起きます。だからなるべく3つくらいは自分のできることを磨いておきながら、時代と合わせて工夫していくといいのではないかと思います。たとえば会計事務員という仕事がありますが、2000年以降、5年くらいの間に30万人ほど減少してしまいました。これは当然パソコンが普及して手書きの帳簿が要らなくなったからだと思われます。多分、こういうことがこれからも起きて来る。空いた時間に、人間は何をするべきなのか。これは専門領域にいるだけでは解は出てこない。

ビジネスとプライベートとかオンとオフとかワークライフバランスとか、仕事と生活を別々にしてバランスをとっていくみたいな考え方や、貯蓄や勤勉はよいことだ、という思想も、人類史からすればごく最近、日本だと江戸時代以降に出現したものです。今一度、仕事について再考し、生活と仕事が一体化して、生活していく中で誰かの役に立ち、それが仕事になる、というくらいのところを狙っていくのがいいのではないかと思うのです。

伊藤氏が推奨するのは、合わせ技で新しい仕事をつくる、ということ。

伊藤氏:たとえば塾講師+大工。これは僕の知り合いで実在します。素人にわかりやすく教えることができて、かつ実際に大工仕事ができるという人はあまりいません。大工さんというのは素早く仕事を施工するということが求められて、わかりやすく仕事を説明するということはあまり求められていないですよね。

でも今は大工に任せっきりでなく、自分でも家をつくりたいという人が増えてきています。そんな中で、教えることができて大工仕事もできるという人はほとんどいないので、そこに穴があるわけです。塾の講師と大工、2つできることがあると新しい職業をつくることができるのだという、1つの例ですね。1つの専門性だけで勝負するよりは、2つか3つ、どれを組み合わせたら面白くなるかな、ということを考えていくと、皆さんも活躍の場が増えていくのではないかなと思います。




一般的には特殊に見えるキャリアを持ち、独自の活動を行うお2人ですが、共通するのは専門性を重視しつつも1つだけではなく複数のスキルを習得し、さらにそれらを組み合わせることで新しいなにかが生まれるのだという考え方。

伊藤氏が言うようにそれは時代の要請でもあり、AI(人工知能)の発達などによってますます自動化が進む現代で自分の仕事を失わないための、時代を生き抜くサバイバル術と言えるかもしれません。


(開發 祐介)

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