• GIZMODO
  • DIGIDAY
  • gene
  • cafeglobe
  • MYLOHAS
  • Glitty
  • machi-ya
  • roomie
  • GIZMODO
  • DIGIDAY
  • gene
  • cafeglobe
  • MYLOHAS
  • Glitty
  • machi-ya
  • roomie

印南敦史印南敦史  - ,,,  06:30 AM

クックパッドの成功の秘密は、タイムリーなデータ分析力だった

クックパッドの成功の秘密は、タイムリーなデータ分析力だった

151029book_to_read1.jpg


「少し先の未来」を予測する クックパッドのデータ分析力』(中村耕史著、日本実業出版社)の著者は、日本一の料理レシピ検索サイト「クックパッド」のトレンド調査ラボ「たべみる」事業責任者。その仕事の内容を知るためには、まず「たべみる」について知っておく必要があるでしょう。

「たべみる」は日本最大の料理サイト、クックパッドの検索データから、料理をする人の「何を求めているか?」というニーズの変化を地域別に、タイムリーに捉えるデータサービスだ。(「プロローグーークックパッドのデータ分析サービス『たべみる』始動の日」より)

要するに「市場のニーズをいちはやくつかむ」という、新たな価値を提供するデータサービスだということ。

たとえば2015年には、「たべみる」の「きてるランキング」(「いま生活者が関心を持っている食に関するキーワード」を閲覧できる画面)で「甘酒」が検索人気ワードにランクインしていることを知った愛知県内の大手スーパー仕入れ担当者が、甘酒の販売を積極的に展開したところ、前年日150%の売り上げを実現したのだそうです。

この現象の背後には、東海地方のテレビの情報番組で「甘酒」が取り上げられたことの影響があるそうですが、それにしても効果の大きさには驚かされます。「たべみる」を利用すればこのように、地域別にタイムリーに検索されているワードを把握し、売り上げ向上に活用できるわけです。

つまり本書は「たべみる」リニューアルの経緯を通じ、著者がデータ事業の可能性についての考え方を記した書籍だということ。クックパッドの秘密を明かしたとおいうよりは、もっと視野の広い、「データ分析」の活用法を主軸としたビジネス書だといえるでしょう。

きょうは第4章「データはマーケティングにこう活かせ!」のなかから、「ニュースがないなら作る!」を引き出してみたいと思います。「サービス自体がニュースとなるようにする」ことを目指して行った、「データを活用したニュースづくり」「専門誌への記事やデータの提供」「業界イベントでのブース出展」「セミナーへの積極的な登壇」について解説された箇所です。


データを活用したニュースづくり


新しいことをはじめたからといって、必ずしもニュースになるわけではないのは当然のこと。「たべみる」もリニューアル時こそ複数のメディアに取り上げられたものの、充分にサービスの魅力を伝えることはできなかったそうです。

そこで2014年6月からスタートしたのが、「たべみる」で検索が伸びているキーワードをヒット番付として発表する「おうちごはん番付」。発表前の半年間の流行語を選定するとともに、次の半年でヒットしそうな兆しがあるキーワードを発表するというもの。発表を通じ、「たべみる」が「食のニーズのいまと未来を把握できるデータ」であることを知ってもらおうというわけです。

たとえば2014年の第1回目に「注目」と発表した「ガーリックシュリンプ」「豆腐クリーム」「チューリップ」「ひらたけ」は、いずれも次の半年で前年を上回る検索頻度を示したのだとか。また直近の2015年上期の番付では、「おにぎらず」を横綱として選定。近年のブームになっている料理に関するキーワードには、「ちょっと気になるネーミング」「写真映えがする」「身近な材料で失敗なくつくれる」という共通した要素があるそうです。

突如現れるブームは予測がしにくいものの、次なるブームも「気になるネーミング」「写真映え」「身近な材料」など、前述した要素を満たしたものになるだろう。(163ページより)

このように、トレンドを把握できるというデータの価値を実感しながら、「たべみる」を活用したニュースの配信を通じてサービスの拡大を図ってきたということです。(159ページより)


専門誌への記事やデータの提供


インターネットは、目的を持ってなにかを調べることには向いているものの、専門分野に関する質のいい情報を幅広く収集するには不向き。つまりその点においては、専門誌に勝てないということです。そこで「たべみる」では、インターネット上に紹介ページを作成して関心がある人を誘導する一方、専門誌に定期的に関連記事が載り、その存在に気づいてもらえる状態にしたいと考えたのだそうです。

あえて紙媒体にこだわったとは、活字離れが叫ばれている時代に逆行しているようにも思えます。しかしそこには、明白な目的と意味があるのだと著者。つまり専門誌に記事が掲載されれば、「たべみる」の存在を知らない人に情報を届けられるという効果があるという考え方です。しかも法人サービスである以上、導入するためには社内の決裁者を説得しなければならないのは当然の話。そんなとき、意思決定者になじみのあるメディアに記事が掲載されていれば、契約の後押しになるかもしれないと考えたからなのだというのです。

そして専門誌に掲載されると、はじめて訪問する営業先でも「記事で見たことがある」といってもらえるようになるなど、効果を実現することができたのだとか。また「たべみる」の契約企業でも、「この事例のように」と社内での利用を促す例として記事が活用されているのだといいます。

そんなことから、専門誌は自社のサービスを知ってほしい人に効率的にアプローチできる有効な方法だと著者は断言しています。(164ページより)


業界イベントでのブースに出展


ニュースの配信や専門誌への記事掲載が多くの人にリーチする「空中戦」だとするなら、展示会やセミナーは、サービスに興味を持ってもらいたい人にダイレクトにリーチするための「地上戦」であると著者は記しています。ちなみにここでいう「展示会」とは、食品メーカーや卸売業者が、食品スーパーなどのバイヤーに向けて行う展示会のこと。

こういった展示会への出展は、食品メーカーの営業部門の人たちに「たべみる」をアピールする目的があるだけでなく、食品バイヤーの人たちにサービスを知ってもらうことも重要な目的になるといいます。「たべみる」は、営業企画の実務で利用されるサービス。食品メーカーや食品流通業の営業担当者はもちろん、展示会を訪れるバイヤーの人たちがサービスを知らなければ、「たべみる」が食品業界の共通言語になることはできないわけです。

そこで、展示会には積極的に出展してきたということ。出展には手間がかかるものの、認知拡大のための機会としてのみならず、営業や売場づくりの一線で活躍する方々と直接話ができる重要な機会でもあるといいます。

サービスに対し、興味を持ってもらえるポイント、改善すべきポイントの情報収集源としても意味があるというわけです。展示会への出展は、プロモーションとしてだけでなく、貴重な情報収集の場として活用するのがいいだろうと著者は提案しています。(170ページより)


セミナーへの積極的な登壇


上記のような手段に較べると、一度にメッセージを伝えられる人数は少なくなるものの、セミナーも、サービスに関心が高い見込み客にピンポイントでアプローチできる方法。

すべてのセミナーに見込み客が参加してくれるわけではないとはいえ、わざわざ足を運んでくれるということは、それだけ関心を持っているということ。実際、複数の企業がセミナーをきっかけとして「たべみる」を導入しているのだそうです。また、予想外のテーマで話をする機会があれば、必然的にそれまでチェックしていなかったデータを見ることにもなり、それが新たな価値に気づくきっかけになることもなるといいます。(171ページより)




インターネットを用いたデータサービスには、どこかシステマティックなイメージもあります。しかし上記を確認していただければわかるとおり、データを活用しながら著者が行ってきたことは、むしろ地道で人間的。だからこそ、ここに書かれたことの多くは、さまざまなビジネスに応用することができるはず。特にマーケッターの方にはぜひ読んでいただきたい内容だといえます。


(印南敦史)

MORE FROM LIFEHACKER

powered by

Kotaku

© mediagene Inc.